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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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再謁

今日は5月1日 日曜日。あ、ここでは、Sの日(おひさまのひ)だった。


「そういえばユリ、誕生日にキボウに貰った木の実は何だか判ったの?」

「え? あー。そのままになっているわ」


ソウと話していると、キボウと出掛けようとしていたユメから声をかけられた。


「キボウと一緒に世界樹様のところに行って、質問すると良いにゃ」

「それしたら、1か月過ぎちゃわない?」

「今は、プラタナスのために時間の流れを変えているからにゃ。大丈夫だと思うにゃ」

「そうなの!?」


ユメが服のポケットをあちこち探していた。ユメの服には、たくさんポケットがあるらしい。


「それとにゃ。これ、メイプルからの注文書にゃ。サンダーソニアの同意も得てるにゃ。渡すのが遅くなってごめんなのにゃ」


ユメから受け取った手紙を読んでみると、5月5日(Tの日(じゅもくのひ))が、ハイドランジアの誕生日で、直接渡せないから何かお菓子を作って欲しいという、メイプルとアネモネからの依頼書だった。


「どんなものが良いか、リサーチしたいわね」

「なら、みんなで行くか」

「いっしょ、いっしょー!」


ユメの助言で、メイプルたちには直接会えるわけではなさそうだからと、ミニホワイトボードも持参した。

ユリとソウも手持ちの正装に着替えてきて、皆揃ってユリの魔力で転移した。


世界樹の森の前に到着し、やっと気がついた。 

「あ!今日、1日だったわ!」


結界がないのだ。ユリには、白い柔らかそうな(ゆか)に見える。


「キボウ君、本当に、ご訪問しても時間過ぎない?」

「だいじょぶ、だいじょぶ」

「キボウ、俺も着いていって、良い?」

「だいじょぶ、だいじょぶ」

「私が一緒に行っても失礼にならないにゃ?」

「だいじょぶ、だいじょぶ」


ユリとソウとユメは、キボウを信じ、足を踏み入れた。


キボウに連れられて、以前世界樹様に会った場所まで来た。ユリには相変わらず白い床だし、ユメとソウには綺麗な芝生だ。


「ここー」


キボウは、待機場所を案内すると、さっさと行こうとした。


「キボウ、待つのにゃ。今日のパスタにゃ」


ユメは、リュックサックごと渡していた。


「あ、キボウ、メイプルに会うなら、このボード持っていってくれる?」


ソウは、持っていたミニホワイトボードに何か書いてから、キボウに渡していた。


「わかったー」


キボウだけ奥に進んでいき、ユリには塔に入ったのが見え、ユメとソウからは姿が見えなくなった頃、世界樹様の声が聞こえてきた。


「魔法の実の件であるな」


ユリは急いで、正座をして三つ指ついて頭を下げた。


「お久しぶりにございます」

「頭を上げて良い。ソナタの服、民族衣裳であるか?」

「はい。元居た国での正装でございます」


ユリは、黒留袖を着ていた。これは、母親の形見だ。


「次回来ることがあれば、楽な装いで構わぬぞ」

「かしこまりました。ありがとうございます」


日本式の挨拶は、格式が重すぎたらしい。

挨拶を交わしたあと、キボウから貰った木の実の扱い方を尋ね、日頃キボウが持ち込む料理やお菓子について、お礼を言われた。


「どうもありがとうございました」

「又、来るが良い」


ユリが謁見のお礼を言うと、少しだけ感じていた空気の重さがなくなり、体が軽くなった。同時に世界樹様の気配が消えた。


「これー」


キボウが、ミニホワイトボードを持って待っていた。


「あ、キボウ、ありがとう」


少しぼんやりしたソウが受けとり、書かれたものを、そのままぼんやり見ているようだった。ユメに至っては、全く動かずに居る。


「ユメちゃん? ソウ?」


ユリが声をかけると、2人は急に覚醒したのか、目をパチパチしていた。


「2人とも、大丈夫?」

「大丈夫だ。少しボーッとしてた」

「大丈夫にゃ。ユリは何ともないにゃ?」

「私は何ともないわ。ソウ、メイプルさんのお返事はなんて書いてあったの?」


慌ててソウは、ミニホワイトボードを見て、内容をユリに伝えてきた。


賄賂などがあると困るので、好きなものを公表はしていないけれど、果物やナッツが好きらしい。他に、目新しいものや、知らないことを知るのが大好きだと、事細かに書いてあるようだ。

最後に、このボードを譲って欲しいと締めてあった。


「キボウ、これ、メイプルに渡せるか?」


ソウは、何か書き換え、キボウに渡していた。


「いーよー」


ミニホワイトボードを受け取ったキボウは、塔に入っていった。


「ユリ、買って返すから」

「返さなくて大丈夫だけど、メイプルさんが欲しいということは、カンパニュラちゃんも欲しいのかしら?」

「あー。そうかもな。なら、大量に買ってくるよ」


すぐに戻ってきたキボウをつれ、世界樹の森を後にし、転移陣の上から城へ転移した。

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