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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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免許

誤字報告いつもありがとうございます。

先日、5件同時に報告が来ていて、あまりの自分のミスに少し反省しましたが、本当にありがたいと感謝しました。

今後とも、どうぞよろしくお願い致します。


ユメの作ってくれたピザトーストを食べ終わり、キボウのリクエストでキャラメルポップコーンを作り、それを持って2人は出掛けていった。


「そういえば、さっき、何を言いかけたの?」


ユリは気になり、ソウに尋ねた。ソウが「寿さんと言えば、」と言ったところでキボウが来て、話を中断させていたからだ。


「あー、ユリ、調理師免許持っているんだよね?」

「うん。一応持っているわよ」

「お菓子の免許も取れば?」

「え?製菓衛生師?」

「あ、そういう名前なんだね」

「本当は調理師もそうなんだけど、受験資格がないわ。2年以上の勤務実態か、専修学校を卒業する必要があるのよ」

「受験資格は大丈夫。座学だけ勉強すれば、受験できるよ」


どうやら、ソウビから奨められたらしい。

詳しい話を聞くと、寿夫妻に面会したソウビが、ユリの話を出すと、ユリに受験を奨めてきたそうだ。


ユリが両親の事故で、寿夫妻の洋菓子屋を辞めたすぐ後に、夫妻は急病で店を畳んでいたらしく、行き違いでユリとは連絡がとれなかった。退院後は、製菓学校で講師をしていたそうで、お世辞抜きにして、ユリの方が生徒より優秀だったから、今もお菓子を作っているのなら、免許を取得すれば良いのにと語っていたのだとか。


ユリはアルバイトで手伝っていただけのつもりだったが、寿にしてみれば、本気で弟子の育成をしていたらしい。

ユリは、当時のソウの私設ファンクラブのメンバーの嫌がらせや、それに伴う評価の辛辣さで、あまり友人を作らずに生きてきたので自己評価が低く、自分の腕前がプロレベルであると理解していなかったのだ。


ソウは、栄養学や衛生講習の教科書の他、和洋菓子の教科書も持ってきていた。


「うわ!本物!」


ユリとしては、少しあやふやな製菓知識を勉強しなおしたり、自信をもってリラに教えることが出来る。


「ソウ、ありがとう!ソウビさんによろしくね。寿さんには、自分でお礼を言いに行きたいわ」

「その教科書を提供した学校がね、時間があるときに見学にいらしてくださいって言っているらしいよ。何か質問があれば、何でもお答えしますって、やたら乗り気らしいよ」

「え、何で?」

「お菓子の業界では、ユリのことは有名だからね」

「そうなの?」

「向こうに出回っている、女神の慈愛・パウンドケーキを知らないお菓子屋さんは居ないからね」

「そ、そうなのね」


それは、商売敵(しょうばいがたき)的な有名人ではないだろうかと、ユリは少し心配になった。

まあ、でも、本拠地はこちらなので、問題ないかな。と思い直すのだった。



「ソウ、この中から、好きな柄を選んでくれる?」


ユリが提示した布は、紺色のデニム柄、水色地にカラフルな水玉柄、薄紫の地に小柄な花模様、白と透明で出来たレース柄の布だった。表面がつるてるしていて、ビニールと布の間の子のような感じだ。


「へえ、こんな布があるんだね」

「何かのカバーを作ったり、鞄を作ったりする布なのよ」

「これをエプロンにすれば、洗い物をしても濡れないな」

「ハトメをつけて、太めの紐を通して、いつも使っているエプロン型に仕上げるわ」

「店に出ないから、これ4枚とも作れば?教えてくれれば、カットとか、ハトメとかするよ」


ハトメとは、穴を補強する金具だ。


「ありがとう。マーレイさんの身長分かる?」

「俺より少し高いよ。多分180cmくらい」

「全部同じサイズで良いかしら」


150cmのユリにしてみれば、175cmも180cmも、背の高い人枠で、あまり違いが分からないのだ。女性のワンピースを作るわけではないので、1cmや2cmが影響しないだろうし、大体で良いかな?と考えているのだった。


洗い物による水濡れ防止のエプロンなので、膝が隠れる長さが必要だ。

ソウに胸当ての高さに布を持ってもらい、長さを決めた。

短ければ、首にかける紐の部分を長目にとれば良いのである。


「あ、そうだ。パープル邸には、いつ行くの?」

「希望時間は、11時30分頃。だからまだ早いよ」

「そうなのね。では、カットとハトメお願いします」

「おう。任された」


ユリは、メモと折り紙で作った見本と、布とハサミとハトメの道具をソウに渡した。



ユリがエプロンを仕上げ、ソウがカットと補強布とハトメをつけ終わった頃、ユメとキボウが戻ってきた。


「ぽっぽぽーん、ぽっぽぽーん!」

「ポップコーン、大人気だったにゃ」

「それは良かったわね」


ユリは紐を通しながら話していた。


「なーにー?」

「これは、ソウとマーレイさんのエプロンよ。この後、回りを縫うけどね」

「エプロンー?」


そう言いながら、キボウが被ってみた。

布の半分以上が床の上だ。マーレイ(180cm)の身長のちょうど半分のキボウ(90cm)では、長すぎる。


「キボウ君には長すぎるわね」


ユリは笑いながらキボウから受け取り、愚かにも自分で被ってみた。


ユリでも布が床につく。


「うわー!長すぎるわ!ソウとマーレイさんって、本当に背が大きいのね!」

「にゃーあ」


ユメに呆れられた。

┌─────────────┐

│世界が平和でありますように│

└─────────────┘

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