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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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夕飯

「ユリ様、夕飯は何を作るんですか?」

「予定はパスタだけど、ミートソースと、カルボナーラなら、どっが良いと思う?」

「うわ、どっちも食べたい」

「んー。なら、双方作って、食べたい方を聞いて回る?」

「私、聞いてきます!」


リラは、みんなに確認に行ってしまった。


「シィスルちゃんとマリーゴールドちゃんは、どうするの?」

「お店で食べようと思って2人で来たんですけど、うっかりエプロンに魅入(みい)ってしまいまして」

「あら、そうなの? だったら食べていくと良いわ。全員分のサラダを作ってくれる?13人前よ」

「はい!」「はい」


今日は、レギュムとクララが夕飯時に居ないので、各自夕飯を食べる予定だと言っていた。昼にレギュムが荷物を取りに来たので、届けるための遠出なのかもしれない。


「ユリ様ー、全員、半分ずつ食べたいそうです!」


リラが戻ってきて報告していた。


「全員って、シィスルちゃんとマリーゴールドちゃんに確認していないわ」

「あれ? シィスとマリーも食べていくの?」

「はい」「はい」

「両方食べたいよね?」

「はい!」「はい」


「だそうです!ユリ様」

「ソウとキボウ君の分も半分ずつにして、どちらかを選ぶようなら、んー、多めに作れば良いわ。では、10人分ずつ計量お願いします」

「はい」


リラが野菜を取りに行き、ユリが粉チーズとベーコンと卵と生クリームを用意していると、サラダの用意が終わったらしいシィスルとマリーゴールドが、ユリに頼んできた。


「ユリ様、覚えたいので、手伝わせてください」

(わたくし)もお願い致します」

「なら、まずは、野菜を切ります。玉ねぎ、ニンジン、マッシュルームを、みじん切りです」


手早くみじん切りを作り、鍋に入れ挽き肉と共に炒め始めた。トマト缶とトマトピューレを開け、コンソメと一緒に加え、赤ワインと少量の砂糖を加え、少し煮詰める。


2kgのパスタを1kgずつ、2つの鍋で茹で始める。


粉チーズと卵黄と生クリームを混ぜていると、メリッサが挨拶に来た。


「イポミアは食べていきますが、私はそろそろ帰ります」

「半鶏丼は余った?」

「12個余ったにゃ」


ユメが数を報告してくれた。


「メリッサさん、夕飯は間に合わないから、良かったら半鶏丼4個持って帰って良いわよ」

「ありがとうございます!」


メリッサが帰ったあと、夕飯が出来上がった。

ユリがソウとキボウを呼ぼうとすると、二人が丁度来た。


「ソウ、キボウ君、ミートソースとカルボナーラなんだけど、半分ずつ食べる?どちらか一方を食べる?」


「俺、半分ずつ!」


ソウはすぐに決めた。


「なにー?」

「ミートソースはトマト味で、カルボナーラはベーコンが入っているわ」

「キボー、たべるー!」

「両方半分ずつで良い?」

「いーよー」


人数が多いので、どう座ったら良いかとユリが悩んでいると、リラが弟子とイポミアを誘って、4人でテーブルに座った。

マーレイとイリスが、2人がけに座り、お手伝い組は、カウンターに座るのだった。


味が違うので、フォークを2本ずつ添え、飲み物は、イリスが用意してくれた冷茶で、サラダとデザートを添えた。

デザートは、休み明け販売分の今日作ったものだ。


「お店で見たことがない食事!?」

「お店で見たことがないデザート!?」

「ハナノ様、こちらはなんでしょうか?」


お手伝い組が、騒いでいる。


「双方スパゲッティで、赤っぽい方が、ミートソース。トマト味で、みじん切り野菜と挽き肉を煮込んだものです。白っぽい方が、カルボナーラ。お店のピザトーストにのっているベーコンと言うお肉と、粉チーズや生クリームを和えたものです。デザートは、休み明けの販売分です」

「なんと!?」「凄い!」「役得です!」


食べ始めると、とても気に入ったらしく、食べ終わるのが物凄く早かった。


「ハナノ様、こちらは、販売はされないのですか?」

「ミートソースの方なら出しても良いけど、カルボナーラは、1回作ると2~3人前くらいが出来上がるから、出すのは面倒なのよね」

「販売に使った魔道具の鞄に入れるのは、駄目なのでしようか?」

「あー、うん、そのうち考えておくわ」


3人はニコニコしていた。見知らぬ美味しいものを食べた説明は難しい。美味しいものを先に食べた自慢は、実物を食べさせれば良いだけなので、簡単だ。


「大変美味しかったです。本日はありがとうございました」

「え?お礼は私が言う方なのでは? 帰るのでしたら、半鶏丼、いくつかあるのでお土産にどうぞ」

「ユリ、残り8個にゃ」

「あら、割りきれないわね」


「私は2つで構いません。お2人は3つずつどうぞ」

「良いのですか!?」「ありがとうございます」

「私はパープル侯爵の屋敷に部屋を貰っているから、家族は同居していないんだよ」

「ありがとうございます」


貴族の三男だと言う男性が遠慮してくれて、無事に分けられた。


「こちら、今日の報酬です。お手伝いありがとうございました」


ユリは、2万(スター)を小袋に入れ渡した。


「いつでもお声がけくださいませ」

「私もいつでも手伝います!」

「私も、手伝いたいです」

「またそのうち、持ち帰りを大量に販売するときにお願いしますね」


お手伝い組は、帰っていった。


ユリが振り返ると、イポミアが残念そうに項垂れていた。


「イポミアさん、どうしたの?」

「あ、いえ、」


イポミアは、はっきり話さなかった。すると、ユメが解説してくれた。


「ユリ、イポミアは、鶏丼が欲しかったのにゃ」

「あら、そうだったの?だったら、器を返してくれれば、1人前の方を持ち帰って良いわよ」

「え!良いんですか!?」

「いくつ欲しいの?」

「両親の分で、2つお願いします!」


ユリは、自分の鞄から鶏丼を2つ取り出し、イポミアに渡した。


「ありがとうございます!」


イポミアは元気にお礼を言うと、お手伝い組の皿も片付けて洗い、帰っていった。


「ユリ様、ちょっと良いですか?」


シィスルに呼ばれ、ユリがシィスルに説明している間に、リラとマリーゴールドが残りの片付けをし、解散になった。


シィスルの質問は、エプロンを仕上げてみたいらしく、先ほどの説明で分からなかったところの確認だった。

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