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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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漬物

「まだ少ししか手伝っていないのに、私も食べて良いんですか?」


イポミアが、自分の席があることを疑問に思ったらしい。


「あら、メリッサさんから聞いていないの?」

「メリ姉、いえ、メリッサさんから、食事つきの臨時仕事があると言われましたので、仕事上がりに食事が出るのだと思っていました」

「もう、お昼ご飯は食べたの?」

「いえ」

「お腹が空いていないなら無理にはすすめないけれど、食べられるなら食べたら良いわ」

「ありがとうございます!是非食べてみたいです!」


4人がけのテーブルに椅子をひとつ足し、マーレイたちと5人で座ることにしたらしい。


従業員がマーレイとリラしかいなかった頃、そんな風に5人で座っていたことを思い出した。


ぴったり12時に、ココナツ食器店の荷馬車が来て、約束分の半鶏丼を引き取っていった。


全員が席につき、食べ始めると、ものすごく喜んでいる声が聞こえ、ユリは嬉しかった。


「サクラムースも食べてみてね」

「やったー!」


イポミアが、声に出して喜んでいた。


「ユリ、漬け物とか作らないの?」


ソウに質問された。


「今からでは間に合わないわ。でも、何か食べたい漬け物があるの?」

「浅漬けでも良いんだけど、大根のビール漬けが旨かったなあって」

「今時期は、冷蔵で1~2週間かかるわよ?」

「1~2週間かぁ」


するとキボウが声をあげた。


「キボー、てつだう?」

「キボウ、手伝ってくれるのか?」

「いーよー」

「食べ終わったら、俺、大根とビール買ってくる!」

「洋辛子も無いわよ」

「了解!」


ソウはさっさと食べ終わり、階段を上がっていった。

ユリが食べ終わる頃、大根5本とビール1箱を担ぎ、戻ってきた。


「8等分に切っておけば良い?」

「あ、ありがとう」


先に食べ終わったらしいマーレイが手伝って、ソウと二人で良く洗った大根をカットしていった。


「ユリ様、ホシミ様は何を作られるのですか?」

「マリーゴールドちゃんは食べたことなかったわね。大根のビール漬けという名前の漬け物よ。ビール味はしないわ」


ユリは漬け物の用意をし、切った大根をザルに並べたあとで、キボウに、まずは外で1時間唱えて欲しいと頼んだ。


勝手を知っているイリスがザルを持ってきて切ったものを並べていき、ユメの先導でメリッサとイポミアも手伝い、ザルを外に運んだ。


ついてきたキボウが、順番に時送りをし、それを厨房に持ち帰ってきた。

その間に、ユリとマリーゴールドで漬け込みの材料を計量しておいた。


戻ってきた大根を、ユリがせっせと漬け樽に詰め込み、砂糖1kg、塩175g、ビール350ml、お酢250ml、洋辛子少々を混ぜたものを加え、 漬け込んだ。


「キボウ、1週間頼めるか?」

「わかったー。いっしゅうかーん」


「キボウ君、どうもありがとう。お酒の味はしないはずだから食べてみる?」

「たべるー!」


ユリは、漬かりふやけた大根を取りだし、皆が食べやすいように切った。


「はい、どうぞ」


ユリは最初にキボウに皿を差し出し、次にソウに渡した。

ソウはいくつか取ったあと、ユメに皿ごと渡し、ユメは皆に皿を持って配っていた。


「旨いなあ。キボウ、ありがとな!」

「よかったねー。なーにー」


キボウも歯応えが気に入ったらしい。


「これは、大根のビール漬けよ」


ユリの言葉を自分のなかで反芻したのか、キボウが聞き返してきた。


「だいこん、のびーる、づけー?」


キボウには、「ビール」の概念がないらしい。


「キボウ、切るとこがおかしいにゃ」


ユメが冷静に突っ込んでいた。


「大根の、ビール、漬け、ね」

「わかったー」


「ソウ、作ったけど、残りはどうするの?」

「え、売って構わないよ。鶏丼と合うだろ?」


今食べたのは、全体の1/40だ。まだカットしていないのが、39個有る。


「2カットくらいを店売り分につけて、追加は、5カットで100(スター)くらいかしらね?持ち帰りは無し、お一人様1回までとします」

「ユリ様、何にのせますか?」

「サービスの方は、ココナツ食器店さんの小皿で良いと思うわ。販売分は、小鉢にのせましょうか」


ユリが話している内に、ソウはイポミアを厨房に(はい)れるようにしてくれた。


「申し訳ないけど、今の分は残業でつけるので、13時からお店を開始できるように昼休みを切り上げてください」


全員が昼休憩に入った。


ユリは大根のビール漬けに姫フォークを添え、外の二人に持っていき、お茶請けに食べてくださいと置いてきた。


外おやつも先に出し、準備万端にして戻ってきた。

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