鶏丼
厨房に戻ると、絹サヤを茹でてカットや、卵焼きや挽き肉のそぼろの調味料の計量などを終わらせてあった。
計画した予定をユリが話すと、イリスとメリッサに、てんてこまいにならずにすみそうです!と喜ばれた。ユリは早速外に並んでいる人をイリスに呼んでもらい、整理券配布のアルバイトをしないかと相談を持ちかけた。
是非手伝いたいと即答され、内容を話すのだった。
「合計2食分迄なので、買うだけの人には、持帰り用の券を4枚迄。店内でも食べる人には、店内用の券1枚と、持帰り用の券2枚迄を渡してください」
「はい!」「はい!」
「お二人ともにお願いできるのでしたら、13時までよろしくお願いします」
「あの、お弁当を受け取ったら、一旦家族に持ち帰りますが、交代で持帰り、その後も券を配るお手伝いをさせていただきたいと思います」
「え!良いんですか?」
「はい」「あ、私も引き続きお手伝いしたいです」
「ぜひおねがいします!よろしければ、お夕食もお出ししますよ」
「ありがとうございます!」「ありがとうございます!」
「では、11時には食べられるようにしますので、お二人で11時から13時の間に合計1時間の休憩をとるようにしてください。持帰り分は、いくつ用意しておけば良いですか?」
「自分の分を入れないなら2つお願いします」
「私は、自分の分を入れないで、3つお願いします」
「では、持帰り分を5つ用意しておきますので、声をかけてください」
「はい!」「はい!」
「もう少ししたら、配る券を持ってきますからね。お店の椅子に座ってお待ちくださいね」
「はい!」「はい!」
座らせたあと、ユリは厨房へ行き、イリスに頼んだ。
「飲みたいものを聞いてきてもらえるかしら?」
「かしこまりました」
「ユリ様、ずっと外で券を配るのでしたら、折り畳みテーブルを出されては如何でしょうか?」
「それ良いわね!倉庫に有るから後で出しましょう」
マリーゴールドから提案され、了承した。
仕事が早いソウは、既に券を作り持ってきた。
「ユリ、こんな感じで良い?」
「うわー!凄い。とてもさっき頼んでこの短時間で作ったとは思えないクオリティー」
時間ごとに色を変えてあり、とても分かりやすく作ってあった。
「ソウ、どうもありがとう!」
「このくらい、いつでも頼んでよ」
やはり忙しいのか、券を渡すと、ソウは2階に戻っていった。
「ホシミ様、凄いですね!魔法使いみたい!いえ、魔法使いですけど、あ、あれ?」
メリッサが、誉めようとして混乱していた。
「イリスさんとメリッサさんも、一緒に来てください」
店に行き、券を見せながら4人に説明した。
ユリは、ユリが聞いている予約分等の紙を抜き取り、手伝いの二人にも、合計5枚抜くように言った。
イリスとメリッサに、折り畳みテーブルをたのみ、ユリは厨房へ戻った。厨房には、リラとシィスルが来ていて、マリーゴールドと話していた。
「リラちゃん、鶏丼、8人前で足りる?」
「え!用意してくださったんですか?」
「作るのはこれからだけど、数に入れてあるわよ」
「えっと、誠に申し訳ないのですが、7人前にしていただけますでしょうか?」
「あら、7人分なのね。お店に行って、店内用予備に1枚券を返してくるわ」
「券ですか?」
「整理券を配ることにしたのよ」
ユリは店に行き、店内用の券を1枚返した。
「外に、他に並ぶ人が来たら、配り始めてくださいね」
「はい」「はい」
「飲み物は、イリスさんかメリッサさんに注文してくださいね。仕事に支障がない程度なら、いくら飲んでも構いません」
ユリは厨房に戻り、予定より増やした分の鶏肉の調理を、マリーゴールドに指示した。リラたちは、マヨネーズを作り終えたのか、姿がなかった。
鶏肉は一度に焼いているが、挽き肉のそぼろや、玉子焼きは、順次作っていく。
「イリスさんとメリッサさんは、もう始めますか?」
「はい」「はい。なんでもします」
「では、鶏挽き肉を作るのと、卵を割るのを、お願いします」
ユリは焼けてあら熱のとれたチキンをカットし、トレーにのせ、指輪を杖にして鞄にしまった。
追加の鶏肉をオーブンに入れたマリーゴールドに、鶏挽き肉のそぼろの作り方を教え、ユリは玉子焼きを天板で焼き始めた。約100人前くらいずつ仕込んでいる。
玉子焼きと、マリーゴールドの作る鶏挽き肉のそぼろが出来上がったので、イリスとメリッサに作業を途中で止めてもらい、器にごはんを盛り付けてもらった。
「では、まずは、持ち帰り用200個から作ります。見本の量を参考に、盛り付けてください」
4人がかりで作り始め、ある程度の数ができたところで、以心伝心を使い、ユメを呼び出した。
『ユリです。持ち帰り用の半鶏丼ができたので、取りに来てください』
『わかったにゃ!』
ユメはキボウと一緒に戻ってきた。
「来たにゃ」
「キボー、きたー!」
「結局、何個持っていく?」
「50個くらい貰っても良いにゃ?」
「構わないわよ」
出来上がっている半鶏丼50個を、ユメのリュックサックにしまった。
「ありがとにゃ!配ったら戻って手伝うにゃ!」
「ありがとー、ありがとー」
ユメとキボウは、再び城に行った。
仕込みを再開し、次の100食分は、全て1人前の鶏丼を作った。器を買い足しておいて本当によかったとユリは思ったのだった。それらもユリの鞄にしまい、次の仕込みを始めると、ユメとキボウが戻ってきた。
マーレイもちょうど来て、作り方などは、ユリが居なくても差し支えなくなったので、ユリはサクラムースの仕上げを始めた。
「ユリ様、少々拝見していてもよろしいでしょうか?」
「はいどうぞ。少し見たら、作ってみてね」
「はい」




