旅程
『選抜試験に合格おめでとうございます』
そう書かれた書類内には、持ち込める物、持ち込めない物の一覧や、通貨の説明、希望する居住区についてなど、色々な書類が入っていた。
「あれ?私は試験なんか受けていないけどなぁ?」
最後まで埋まらなかったらしいから、誰でもよかったのかしら?
事前の手続きはソウが勝手にやっていたのでユリには色々わかっていないことがあった。
まさかソウの特権で色々免除されていたとは気づいてもいなかった。
書類を見ながら持って行きたい物を用意する。
基本的な生活道工って何の事かしら?
洗面用具とかかな?
持ち込めない物一覧はえーと、
家電、電子機器、携帯電話、煙草、違法薬物、電池、バッテリー、自動車、バイク、電動自転車、・・・etc.
結構あるのね。
条件付き許可に、ライターってあるけど、あれってガスが無くなったら終わりよね?
マッチとか良いのかしら?もしかして、火打ち石だったりするのかしら?
料理道具は電気やガスを使用しないものは許可なのね。
へえ、3m四方の箱に入りきる荷物は無料で送ってくれるのね。
あ、料理人は優遇措置で二箱無料なのね。
料理道具があるからかしらね?
挽き肉作るのに、手動のミートミンサーとかあったら便利よね。いくつか用意しましょ。
製麺器もあった方が良いわね。
林檎の皮剥き器はどうしよう?
なくても困らないけど有ると便利なのよね。
荷物に空きがあるようなら持っていこうかしら。
手動のフードチョッパーも用意しなくちゃ。
以外と器械物多いわね。
鍋、圧力鍋、寸胴、フライパン、レードル、ポテトマッシャー、ホイッパー、この辺は持っている物で良いかな。
レンタル倉庫から出してこなくちゃ。
カトラリーはどうしようかしら。
あちらにもありそうだけど30セットくらいは持っていこうかな。
お皿やグラスはどうしようかしら。
そもそも、ガラス製品は良いのかしら?
書いていないわね・・・。
思いきって問い合わせてみた。
問い合わせてみたところ、クリスタルガラスなどの高価なものでなければokのようだった。
缶詰や食料品は賞味期限の範囲で最大数を直接注文し、包装資材などは自分で買い集めた。
とにかく必要そうなものを1m四方の木箱に毎日箱詰めし、期限ギリギリまで何度も取りに来てもらった。
希望の居住地は、「自分の店舗の上に住みたい」と記入して提出し、旅立ちまではあっという間だった。