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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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総出

8:30頃、マーレイが納品に来た。


「追加分持って参りました」

「マーレイさん、ありがとう!助かるわあ」

「今一度市場に戻り、10時過ぎには来られると思います」

「大変助かるけど、無理しないでくださいね」


レタスなどの野菜の追加を持ってきてもらったのだ。


ユリは炊けたご飯にすし酢を混ぜたり、新たに炊いたり、雑用もしながら行程を進めていたところ、9:00少し前にメリッサが出勤してきた。


「おはよ、うわ!リラがいる!」


厨房は、本来9:30からなので、9時前からリラが作業しているとは思わなかったらしい。メリッサにしたって、普段は10時からだ。


「メリッサさん、早いわね。おはよう」

「お、おはようございます」


「えへへ、少しだけ早く来たんだぁ。メリ(ねえ)おはよう」


そうか、リラちゃん的にはあれは少しなのね。

ユリがそんな風に考えていると、なんとイリスまで早出で出勤してきた。


「おはようございます」

「イリスさん、ずいぶん早いですね。海苔巻き作りますか?」

「はい!お願いします!」


イリスに至っては、普段は12時から来る。


リラにどこまで終わったか確認すると、パプリカとアボカドのカットがまだ残っているらしい。リラは、薔薇用の胡瓜と、緑用のゼリーをカットしてくれていた。確かにこの2つは少し難しいので、ユリかリラが切らないと使えないだろう。


「メリッサさんは、希望有るの?」

「海苔巻きでも野菜切りでも何でもします」


ちらっとソウを見ると、まだ海苔と格闘しているようだった。10枚ずつ重ねて切ったとしても、73回ほどかかる。恐らく、数えるのに一番時間がかかっているのだろう。


「メリッサさんは、パプリカをカットしてください。イリスさんは、外おやつ用のツナマヨ巻きか、藤の巻物か、どちらが良いですか?」

「より簡単な、失敗しにくい方はどちらですか?」

「藤の方が、簡単かしら」


ユリはメリッサとイリスに作業を教え、カットし終わった玉子焼きを海苔で巻くため、ソウに海苔をもらいに行った。


「ソウ、四つ切り全部と、三つ切り50枚ください」

「まだ切り終わっていない分があるから、切れたら残り持っていくよ」

「ありがとう」


ソウは、藤や外おやつから作ると考え、半切りを先に作っていたのだ。

ユリは、切り終わった海苔だけもらい、玉子焼きを巻くのだった。


胡瓜とゼリーをカットし終わったリラが、ユリに確認しに来た。


「ユリ様、マヨネーズはどの油ですか?」

「冷蔵庫の、ツナ缶のオイルを混ぜてくれる?」

「それ以外普通にマヨネーズですか?」

「その通りです」


リラがマヨネーズを作り終わる頃、イリスから呼ばれた。


「ユリ様、ツナマヨがなくなりました」

「今リラちゃんが作ったのをもらってくれる?」

「はい」


するとリラが慌てて発言した。


「ユリ様、まだツナと混ぜてません、少しお待ちください」

「ツナは潰してほぐしてあるから、混ぜればすぐ使えるわ」

「うわ、本当だ!」


慌てて冷蔵庫にツナを取りに行ったリラが、感激していた。

ツナマヨをリラが作り、イリスに渡してくれた。


その後、リラはマッシュポテトを作り、ユリは、菊の挽き肉入り茶飯を巻いた。

メリッサは、2色のパプリカを切り終わり、外おやつ用のツナマヨ巻きを作ると言って、ユリに教わりに来た。


「ただいまにゃー!」

「ただいま、ただいまー」

「突然の訪問、大変申し訳ございません!」


店の方から、ユメとキボウと、知らない人の声が聞こえた。


「あ、俺が見てくるよ」


緑の、野菜の生春巻きを作る準備をしていたソウが、店を確認に行ってくれた。


ユリは、メリッサにツナマヨの細巻きを教えたあと、そっと店を覗いてみた。


帯刀した王国の騎士らしき人が、ソウと話していた。


「ユリー」

「はーい」


ソウに呼ばれたので、行っても良いのだろうと思い、顔を出してみた。


騎士らしき相手は、ユリを見ると即敬礼し、訪問の理由を話してくれた。


どうやらこの人は、カンパニュラの護衛騎士で、今日はお使いで来たらしい。昨日ユメとキボウが、カンパニュラの分だけ持っていったお弁当を買うために来たそうだ。


「あなたも召し上がるのかしら?」

「いえ、姫様が、『お爺様だけお召し上がりになれなかったので、手に入るのならば、手にいれてちょうだい』と、(おっしゃ)いまして、国王陛下に、姫様からの贈り物として入手致したく、こちらに参りました!」

「あなたは、召し上がらないの?」

「ユメ様から伺いましたが、購入制限があるとの事。(わたくし)は遣いですので・・・」

「あー、そういうことね。少し待っていられる?まだ出来上がっていないのよ」

「はい。ご迷惑でなければ、いつまででも待っております」


ユリは厨房へ戻り、リラに伝えた。


「リラちゃん、巻物、各2本ずつ、先に仕上げてくれる?」

「はい!」

「メリッサさん、少しイリスさんを手伝って、合計12本先に作ってもらえるかしら?」

「はい!」


ソウも店から戻ってきて、野菜の生春巻を作ってくれるらしい。キボウもついてきて、皮を水で戻す作業を手伝ってくれるそうだ。


ユリが菊を作り、リラが薔薇を作り、ソウが緑を作り、イリスとメリッサが藤を作り、先に作業を終えたユリが梅を作っていると、終わったリラが手伝いに来て、梅の部品を作り終わり、組み立てはリラに任せて、ユリはカットを始めた。

藤を作り終わったイリスとメリッサが、箱を組み立て、カットしたものから箱詰めし、あっという間に12箱が出来上がった。


ユリは店に12箱持っていき、騎士に渡した。


「12人前ありますので、10人前は私からの差し入れで、1人前は、カンパニュラちゃんが買ったものとし、残りの1人前は、あなたが食べたら良いわ」

「え、え、よろしいのですか?」

「買いに来た本人が食べられないのは、なんか違うと思うのよね」

「ありがとうございます!」


お使いに来た騎士は、ニコニコしながら帰っていった。

ユメによると、パープル侯爵のところの転移陣から帰るそうだ。

転移陣を使って買い物に来ると、かなり高い買い物になる。それでも欲しかったらしく、そもそも来る時はユメが誘ってキボウが連れてきたが、最初から転移陣で行き来するつもりだったらしく、片道でも連れてきてもらえて、物凄く感謝していたらしい。


ユリは厨房に戻り、皆に感謝を伝えた。

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