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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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油漬

食べ終わり、片付けをした後、全員が休憩に入った。

取り敢えず、今、出来ている細工巻きのお弁当93食は、取り出しやすいように、ユメのリュックサックに入っている。


「ユリ、生春巻の皮は、何で出来ているのにゃ?」


ユリが階段を上がろうとすると、ユメから聞かれた。


「お米の粉を蒸して作ると思ったわ。巻く前の状態は、ライスペーパーと呼ぶのよ」

「作ったことないのにゃ?」

「そういえばないわね。今度作ってみようかしら?うふふ」


片っ端からなんでも作ったことがあると思われているらしい。ユリは、自分が興味があるか、誰かから頼まれたものを作っているだけで、何でもかんでも作っているわけではないのだが、回りからはそう思われていない。


全員が休憩に入ったので、ユリも部屋に戻り、しっかりと体を休めることにした。

ベルフルールに戻って休憩してくると言うシィスルには、マリーゴールド用の細工巻きのお弁当を持たせておいた。



昼休み明け、少しだけ早く戻ってきた来たユリは、外おやつ用のツナマヨ巻きを自分の鞄から取り出し、半分にカットし、お茶と一緒に置きに行った。大皿を持ったユリに気がついたマーレイが、夏板とお茶のやかんと、冷茶のタンクを持ってきてくれた。


持ってきたものをツナマヨ巻きだと説明すると、歓喜をもって歓迎された。


「伝説のツナマヨ巻き!」


騒ぎを見て、覗き込んできた貴族風の男性が聞いてきた。


「ハナノ様、(わたくし)たちにも、販売をしていただけるのでしょうか?」

「お店の方は持ち帰り専用の、細工巻きを販売します。その中には、ツナマヨ味もあるので、そちらをご購入くださいませ」


ユリとマーレイは、踊るように騒いでいる皆を尻目に、そっと店に戻った。

厨房には、全員戻ってきていた。


「ユリ様、購入制限はありますか?」

「お一人様おひとつ限りの予定ですが、」


メリッサに聞かれ、ユリは思った。外では、暴動でも起きそうなほどの騒ぎだったことを。


「店内、持ち帰り、お一人様おひとつずつ迄としましょう。店内分は、皿盛りにします」

「はい!」


ユリは振り返り、マーレイを見た。


「マーレイさん、海苔巻き、巻かない?」

「かしこまりました。ご指導ください」


少し驚いた風のマーレイは、すぐに了承してくれた。


お店が始まると、まずは、持ち帰りの客で溢れた。

その間に、ユリとシィスルとマーレイで、取り敢えず、細工巻き3本ずつと、藤型の細巻き15本を作り、皿盛り分15食を用意した。

ソウとキボウが、皿盛りをしてくれている。

マーレイは、特に教えなくても、藤型の細巻きを何本か作ってくれた。見ただけで理解していたらしい。


「さあ、この後も作り続けるわよ!」


店の注文が入ってきて、飲み物やイチゴババロアの仕上げをしながら、細工巻きを作り続けた。


途中、注文したものを取りに来たイリスが、マーレイが海苔巻きを作っていたことに驚いていた。先を越されたと思ったのかもしれない。


「余るようなら明日売るから、材料の用意がある、240食分作るつもりで頑張りましょう」

「はい」「はい」「わかったー」「りょーかーい」


キボウは珍しく、ずっと皿盛りや箱詰めを手伝ってくれていた。キボウ的には、3つずつ重ねて切った藤を、左右合わせて花にするのが、楽しいらしい。


「ユリ、詰めるものないから、俺も巻いてみて良い?」


どうしたって、巻く方が時間がかかる。


「ありがとう!お願いします。どれ作りたい?」

「一番簡単なのは?」

「藤、緑、薔薇、菊、梅の順かしら」


ソウは、マーレイに代わってもらおうかと考えたようだが、考え直したらしい。


「じゃあ、緑で」

「キボー、てつだうー!」

「お、キボウ、ありがとう」


ユリが作り方を一通り説明すると、キボウが後を引き継いで、慣れた様子で生春巻の皮を水に浸していた。


「ハナノ様、もう少しでツナマヨがなくなりそうです」

「はーい。作っておきます」


ユリが、冷蔵庫に保存した油を持ってきた。すると、ユリを見たシィスルが質問してきた。


「ユリ様、その油は何の油ですか?」

「これはマグロのオイル煮の油です。簡単に言うと、ツナ缶を絞った油よ」

「何に使われるのですか?」

「ツナマヨ用のマヨネーズを作るときに混ぜているわ」

「そうだったんですか!?」


それで味が濃いのか。と、シィスルはブツブツ呟いていた。


「あら?ベルフルールでは、ツナ缶の油、どうしているの?」


アルストロメリアではランチ営業をしなくなったので、ベルフルールにツナ缶を提供している。


「スープに足したり、炒め物に使っています」

「あ、そうよね。マヨネーズって、朝ここで作っているんだから、使ってないわよね」

「はい」


話ながらもユリは、マヨネーズを仕上げた。

マヨネーズと()える前にツナを良くほぐし、調味料も足し、全てを良く混ぜ、絞り袋に入れ冷蔵庫にしまった。


「マーレイさん、冷蔵庫に入れておいたわ」

「ありがとうございます」

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