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「少し早いけど、みんないるし、お昼にしましょう」
ユリは手早く作ったお吸い物と、生春巻をカットした端を集めた野菜に、玉子サラダを加えてサラダに作り直したものを出し、巻き寿司の詰め込みを終えた皆に声をかけた。
皆の分は、少し失敗したものを含め、皿盛りにしてある。
「量的にはしっかりあるんだけど、お寿司はご飯を詰め込んでいるので少なく感じます。食べ足りない人は、声をかけてください。何か出します」
ユリがデザートのイチゴババロアを持ってくると、ユリを待っていた皆は、一斉に食べ始めた。
「ユリ、これ同じにゃ?」
「ん?あー、この黄色い花の玉子の部分が、薄焼きだったのを、厚焼きに変えたわ」
「それ以外同じなのにゃ?」
「まあ、そうね」
「何で変えたのにゃ?」
「手間が多すぎて、実用的じゃなかったのよ」
ユメの質問が終わると、メリッサからだ。
「ユリ様、明日も手伝いたいです!」
「あら、ありがとう」
「これは、すべてお花なのですか?」
「端から、菊は洋風だし巻き玉子、挽き肉入り茶飯、海苔。
梅は梅味ご飯、厚焼き玉子、海苔。薔薇は超薄切りハム、マッシュポテト、胡瓜、海苔、白酢飯。緑はリーフレタス、ハム、赤と黄色のパプリカ、アボカド、ゼリー、生春巻の皮。藤は紫酢飯、ツナマヨ、海苔。よ」
ユリは指差しながら、中身を説明した。
「え?菊と梅のこの玉子焼き、違うのですか?」
「そうね。簡単に言うと、塩味系と、甘い系ね」
感心しているメリッサの次は、シィスルだった。
「ユリ様、マリーにお土産で買って帰っても良いですか?」
「あー、そうよね。買わなくて良いから、ひとつ持って行くと良いわ」
「ありがとうございます!」
シィスルがニコニコしていると、今度はイリスが申し訳なさそうに申し出た。
「あの、ユリ様、私も早く来たら、海苔巻きを教えていただけるのでしょうか?」
「どれが知りたいの?」
「どれでも良いです。私に出来そうなら」
「では、まず、藤から作りましょう。数が必要なので、いくら人手があっても足りないくらいです」
「はい!おねがいします!」
ユリが希望者を聞いたとき、イリスは遠慮していたらしい。
藤は、他の海苔巻きの6倍必要になる。
今度は、マーレイだ。
「あの、ハナノ様、私も早く来た方がよろしいでしょうか?」
「マーレイさんが来てくれると、とても助かるけど、無理せずに来てくださいね」
「はい。ありがとうございます」
マーレイが、少しホッとしたように見えた。
「なら、俺、明日は早くから手伝うよ」
「ソウは、お休みなの?」
「朝一の配達だけだな」
「ソウも無理しなくて良いからね」
「了解」
もくもくと食べていたキボウが、空の皿をユリに差し出した。
「キボー、たりなーい」
「キボウ君、食べたいものはある?」
少しキョロキョロしたキボウは、まだ食べ終わっていない人の皿を指し、答えた。
「これー、これー」
「梅と菊?」
「あたりー」
「私のをあげるわ」
ユリは、まだ食べていない自分の皿から、キボウが望んだものを取り分けた。
「ユリー、ありがとー!」
「どういたしまして」
「ユリ、俺も何か食べたい」
「鞄の中の物で良い?」
「何でも良いよ」
ユリはソウに、鞄から、カレーライスや牛丼や親子丼などを出し、選ばせようと思った。
「半盛りの無いの?」
「鶏丼が半盛りだけど、木、金と、鶏丼なのよ」
「ホットドッグは無いの?」
「有るわよ。パン類は、ロールイッチと、フレンチトーストがあるわ」
「なら、フレンチトーストで!」
ソウに、フレンチトーストを渡すと、シィスルから質問された。
「ユリ様、今仰った、ロールイッチとは何ですか?」
「巻いたサンドイッチよ。はいこれ、どうぞ」
ひとつ取り出し渡すと、受け取ったシィスルは、ニコニコして食べ始めた。
「うわー!面白い、美味しい!」
結局、全員にロールイッチを渡し、お昼ご飯を終えたのだった。




