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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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太巻

お休み明け、シィスルが思ったよりも早く出勤してきた。


「おはようございまーす!」

「シィスルちゃんおはよう。こんなに早く、どうしたの?」

「細工巻きをするのが楽しみで、早く来ました!」


物凄くニコニコしてシィスルは答えていた。


「私が教えられる種類には限度があるから、時間までこれ読んでいたら良いわ」


ユリは、巻き寿司の本をシィスルに渡した。


「うわー!凄ーい!」


表紙から豪勢な巻き寿司の写真なので、シィスルは大喜びだ。

しばらくすると、リラとマリーゴールドが来た。


「うわ、シィスこっちにいた。朝ご飯の後、居ないと思ったらもう来ていたのね」

「リラちゃん、マリーゴールドちゃん、おはよう」

「ユリ様、おはようございます」「ユリ様おはようございます」


シィスルは読書に夢中で、リラたちに気がついていないようだ。


「ユリ様、この黄色い『おしんこ』とはなんですか?」

「お新香は、干した大根の漬け物よ」

「キュウリを巻くと、どうしてカッパというのですか?」

河童(かっぱ)と言う空想上の生き物の好物が、胡瓜(きゅうり)なのよ」

「この、ペンギンと言うのはなんですか?」

「そういう、大きな鳥が居るのよ」

「知らないものだらけで、面白いです!」

「良かったわね」


リラがシィスルの真後ろに立った。


「うわ、リラさん!」


リラがシィスルを覗き込み、シィスルはやっと気づいたらしい。


「ユリ様の本? へえ、巻き寿司の本なんだ。私も後で見せて貰おうっと」

(わたくし)にも、見せてくださいませ」

「あ、それ、ベルフルールに持って行って良いわよ。でも、本はお店には出さないでね」

「ありがとうございます!」「ありがとう存じます」「わー、ありがとうございます」


リラとマリーゴールドは、マヨネーズ等を作り、帰っていった。


「最初に、外おやつ用の細巻きから作ってみましょうか」

「はい!」


外おやつ用は、ツナマヨ巻きだ。ユリは、絞り袋に入れたツナマヨを用意した。

一度見せて教え、できなかったら、細かく教えようと思っていた。


なんとシィスルは、簡単に綺麗に巻いて見せたのだ。


「あら、あなた器用ね」

「マリーが作っていたときに、少し作りましたので」

「そういえば、手伝っていたわね。なら、どんどんお願いね。取り敢えず50本巻きます」


二人で、手分けしてツナマヨ巻きを作り、カットした。


「足りないかもしれないけれど、足りなくなってから追加を作ろうと思います」

「はい。次は何を作りますか?」

「細工巻きの中身を調理しましょう。予定はこの紙よ」


◇━━━━━◇

黄、菊、

赤、梅、梅味ご飯、厚焼き玉子

白、薔薇、超薄切りハム、マッシュポテト、胡瓜、白酢飯

緑、リーフレタス、ハム、パプリカ、ゼリー、生春巻皮

紫、藤、紫酢飯、ツナマヨ

◇━━━━━◇


「シィスルちゃんが考えたのを作るなら、ここに足すわよ?」


シィスルは、予定の紙を見て少し考えていた。


「黄色の菊は、どうされるのですか?」

「あ、それね、どうしようかと思って」

「でしたら、私が考えたものを作っても良いですか?」

「良いわよ。何が必要?」

「挽き肉か細切り肉、薄焼き玉子、ご飯と考えています」

「海苔は?」

「薄焼き玉子では巻けませんか?」

「くっつかないから、外側では(ほぐ)れてしまうわ」

「え!?」


想像の中では完成していたらしい巻物が、ユリに指摘され、無理だと理解したらしい。


「どんな感じを予定していたの?」

「真ん中にお肉で、ご飯を薄焼き玉子で巻こうと思っていました」

「私が考えたのは、真ん中が挽き肉と炒めたご飯で、薄焼き玉子を小さく巻いて、何個か作って花びらにしようと思ったのよ。でも、手間が多すぎるかなって」

「え!それ作りましょう!私が考えたものより美味しそうです!」

「でも、手間かかるわよ」

「細い薄焼き玉子を丸めるより、細い玉子焼きにしたら、少し手間が減ると思います」


結局、厚焼き玉子をカットし、海苔を巻いて花弁を作った。

少し台形になるようにカットし、海苔を巻き付けて花弁を表現してみた。


「ユリ様、緑に書いてある、ゼリーとは、何に使うのですか?」

「簡単に言うと、ドレッシングを固めるのよ。口のなかで溶けるように、柔らか目で作ります」

「お料理にも、ゼラチンを使うのですか!?」

「あら?ポットパイは、作ったこと無いの?」

「え?ポットパイ?」


ユリは良く思い出してみた。シィスルたちが来てからは作っていないし、リラにもしっかり教えたわけではない。ベルフルールでは、持ち帰りやお菓子は色々無理があると言っていたので、パイなんて作らなかったのだろう。


「シチューの上に、パイ生地を被せてオーブンで焼いた物が、ポットパイよ。もう冬は終わっちゃったけど、そのうち作るわ」

「ありがとうございます!楽しみです!」


「まずは、全て、5本ずつ巻きましょう。あ、藤は、細巻きなので、30本です」


太巻は6カットなので、5本巻くと、30人前になる。

ユリがカットしている間に、シィスルは更に巻いていく。


二人で仕込んでいると、メリッサが出勤してきた。

メリッサには、箱を組み立ててもらい、ユリがカットした巻き寿司を、見本を見ながら綺麗に詰めるよう頼んだ。


「ユリ様、箱は何組使うのですか?」

「予定では、120よ。明日も使うから、多すぎても構わないわ」


ユメとキボウが、出先から帰ってきた。


「ユリ、何か手伝うにゃ!」

「キボーも、キボーも!」

「では、メリッサさんに聞いて、箱の組み立てと、詰め込みをお願いします」

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