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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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反省

昨日は久しぶりのアルストロメリア会で、ユリはなんだか感慨深かった。この国に来ての日常に戻った感じがしたのと同時に、あまり感じたくなかった、身分が変わったことを再認識してしまったためだ。


リラやラベンダーは、ユリの性格を理解しているため、あまり変わりなく接してくれるが、ローズとピアニーから受けた挨拶や、料理長を呼び出してしまった失敗で、立場の再認識をしなければいけないと反省したのだ。


「ユリー?」

「あ、キボウ君。なあに?」

「ユリー、げんき、ない?」

「あー、ごめんなさい。大丈夫よ。少し考え事をしていただけよ」


キボウに手を捕まれた。


「はなー、みるー!」

「花を見に行くの?」

「あたりー」


どうやらキボウに気を使われてしまったらしい。


「わかったわ。何処に行くの?」

「はたけー」


外の畑なら、他の人を呼ばなくても良いかしら?と、ユリはキボウと一緒に、畑を見に行くことにした。

朝から掃除をするためにパンツルックだったので、あまり目立たないようにと、麦わら帽子も被ってみた。


すると、キボウも帽子を被り、お揃いな感じで階段を下り、外に出た。


昨日は朝忙しかったので、不思議な花をそのままにしてしまったが、魔力の実を埋めて生えた木とはいえ、見た目の違う花が複数咲く不思議な木だ、やはり気になる。


ユリも、掃き掃除や、外おやつのついでに、毎日確認程度は見ているが、畑の世話や管理は、 ユメやキボウに任せてしまっている。ユメは「大量に有るチューリップとアルストロメリアの水やりと一緒に面倒見るから問題ないにゃ!」と、すすんで引き受けてくれていた。


ユメのチューリップとアルストロメリアを見ながら歩き、木を植えてある西側にたどり着いた。魔力の実の木を見に行くと、花はすっかりなくなり、5mm程の小さな実が生っていた。


「うわ!もう実がなってるの!?」


ユリの認識する魔力の実は、つるりとした外見の直径2~2.5cmくらいの球形で、塩味のないカシューナッツのような味と食感だ。


「なったー、なったー」

「すごく成長が早いのね。いつ頃収穫になるの?」

「はるー?」

「え、実が熟すのは春なの!?」


そのあとも、キボウが色々説明してくれたが、ユリにはあまり伝わらなかった。今年の春なのか、来年の春なのか、大分意味が違ってくる。何となく、1つずつしか収穫できないのだと理解した。


ユリには伝わらなかったが、実になったら、最大で1日1つまで収穫できると、キボウは一生懸命説明したのだった。尚、収穫時期は、数日後からであるが、収穫しなければ、1年ほど実をつけたままに出来る。

まあ、ユリが全魔力を使い果たすようなことが頻繁にあっても困るので、使われないまま生りっぱなしになる可能性が高い。


「さて、家に戻りましょう」

「ごはんー?」

「そうね。朝ご飯を食べましょう」


リビングに戻ってくると、たった今探しに行こうと思っていたと、ユメとソウが話していたらしい。


「何処に行ってたのにゃ?」

「魔力の実の木を見に行ってきたわ。もう実が生っているのよ」

「にゃ!?」「まじ!?」

「なったー、なったー」

「いつ収穫?」

「んー、キボウ君が色々説明してくれたんだけど、とりあえず、春で、1つずつしか収穫できないらしいことだけわかったわ」


キボウはうんうんとうなずくだけで、補足をしようとはしなかった。まあ、このメンバーでは、あれこれ説明しても、100%は理解できないので、補足するだけ無駄ではある。



「ユリ、今日の予定は?」

「朝ご飯のあとは、恒例の日曜大掃除くらいよ」

「朝ご飯って、ご飯?」

「今日は、ご飯、焼き鮭、お味噌汁、の予定だけど、これから作るわ」

「焼き鮭!なら、おにぎりにして、みんなで出掛けないか?」

「良いけど、何処に行くの?」

「離宮のどこか」

「わかったわ。ご飯作っちゃうわね」

「俺、掃除しておくよ」

「洗濯干しておくにゃ!」

「キボーも、キボーも」


ユリは、追加で米を炊き、鮭を焼き、茶碗蒸しの出汁に使い大量に有る昆布を佃煮にしたものと、ソウが買ってきたタラコをあぶったものと、ローゼルの塩漬けを使って、小さいおにぎりをたくさん作った。洗濯を干し終えたユメも、握るのを手伝ってくれたのだった。


「さあ、準備は整ったわよ。どこへ行くの?」

「桜の名所と、紫陽花(あじさい)の館、どっちが良い?」

「どっちも見たいにゃ!」

「なら、暖かい方に先に行って、涼しい方に昼頃に行きましょう」

「そうすると、紫陽花が先だな」


紫陽花の館の方が、桜の名所よりも少し南に有るらしい。

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