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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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呼出

着替えのために部屋に戻ってきた。

ラベンダーが用意してくれたらしい聖女の衣装は、オーガンジーのような透けた赤い布に、金縁の緑のリボンが着いたデザインだった。

二枚重ねの中はワンピース風なので、表の被って着る部分がどれだけ透けていても構わないのだけど、公式としてこれを着ると、聖女という役職は、派手な服が決まりなのだろうかと、ユリは少し悩むのだった。

大まかな決まりはあるが、見た目の色などは割りと自由なのである。その役職がら、探しやすいように、遠目にもわかる方が好ましい。


「んー、クリスマス?」

「ユリ様、何かおっしゃいましたか?」

「いえ、なんでもないわ」


さすがに本人も着替えるため、ラベンダーは居なかったが、ミラベルが着替えを手伝ってくれた。


「ミラベルさんは、アルストロメリア会に参加したりはしないの?」

「私も参加させていただいてもよろしいのですか?」

(わたし)的には良いけど、ローズマリーさんに聞かないとわからないわね」

「恐らくではございますが、お部屋係についている間は、アルストロメリア会には、参加できないものと思われます」

「そうなの?」


ミラベルは、この部屋の担当になる決まりとして、使用人として勤めるので、その間は参加できないと事前に言われたそうで、本人も納得していると話してくれた。


「いずれ結婚して、どこかの夫人になりましたら、是非参加させていただきたいと存じます」

「それまで続けられるように頑張るわね」

「ありがとうございます」


ユリは、続けられるように頑張ろうと決意を新たにするのだった。


「聞いているかもしれないけれど、私はこの屋敷の造りをいっこうに把握できないから、毎度案内をおねがいします」

「かしこまりました」


部屋を出る前にと、ユリは琥珀糖を取り出した。ソウが持ち込んだおしゃれな箱に入っている。


「あ、これ、今日作った琥珀糖よ」

「いただいてもよろしいのですか?」

「参加できなくても、食べるのは構わないと思うわよ? リラちゃんがシューは配ったみたいだけど、琥珀糖は、担当した参加者に全部渡していたから、みんなの分迄無いと思うのよね」

「ありがとうございます。お茶を担当した皆でいただきたいと思います」


受け取った琥珀糖をしまってきたミラベルに、昼食会場まで案内して貰った。


ユリが入ると、既に全員集まっており、どこで着替えたのか、既にユメもいた。


「お待たせしました」

「私も今来たにゃ」

「ユメちゃん、どこで着替えたの?」

「客間を用意されたにゃ」


専用の部屋を断っていたら、客間を用意されたらしい。

置いていくのは今日着た白衣だけなので、脱いだだけなのだろう。


今回出されたランチは、なんと、タコライス風だった。

あー、そういえば、店でパープル一家に提供したわね。とユリは思い出した。

マリーゴールドの元婚約者の件で、もめた時のことだ。

タコライスは、店で食べたのではなく、持ち帰りを渡したので、再現率が高かった。あの時そういえば4食渡したので、調理場に1食提供したのかもしれない。


なんと、デザートは洋風茶碗蒸しだった。

茶碗蒸しはデザートではないが、ユリは好きなので問題はない。しかし、他の人はビックリしただろうと思う。

あとで言っておいた方が良いかしら?と、ユリは思ったのだった。


食事が終わり、解散をして、来たときのワンピースに着替えてからミラベルに頼んだ。


「ミラベルさん、料理長か副料理長を呼ぶか、私をお屋敷の厨房へ案内してくれないかしら?」

「か、かしこまりました。料理長を呼んで参ります」


ミラベルには予想外の頼みだったらしく、慌てて退室していった。


すぐに来た料理長は、全速力で走ってきたのか、息を切らしていた。


コンコンコン。


「ユリ様、料理長が入室を願っています」

「ありがとう。どうぞ、入ってちょうだい」


メイドがドアを開け、見覚えのある料理長が入ってきた。


「し、失礼、い、いたしま、す。お呼びと伺い、参上いたし、ました」

「もしかして走ってきたのかしら? ごめんなさい。今後、私が呼んだときは、走らず、普通の早さで歩いてきてください」

「か、かしこまりました」


「私の呼び方が悪いんだけど、叱責や苦情じゃないから、楽にしてくださいね」


初めてシッスルを呼び出したときのことを思い出した。

ちゃんと理由を言って呼ばないと、相手が困ると忘れていたのだ。


「えーと、今日のタコライスについてだけど、詳しいレシピ要ります?」

「は?、え、は、はい!是非お願い致します!」

「今度持ってくるわね。結構再現度が高かったわ」

「ありがとうございます!!」

「用事はこれだけなのよ。呼び出しちゃってごめんなさいね」

「い、いえ、滅相もございません。どうもありがとうございます」


来たときとは違い、笑顔で帰っていった。


コンコンコン。


「ユリ様、リラさんが入室を待っています」

「どうぞ、入ってちょうだい」

「失礼致します」


リラは、自分で開けて入ってきた。


「支度は済んだの?さあ、帰るわよ」

「はい!」

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