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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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寒天

今日は使わない(はかり)も配り終わり、いよいよ実習に入ることになった。

今日、秤を使わない理由は、すでに量り終えているからだ。


「はい、こちらの水に浸かっているものは、寒天と言います。これが水に浸ける前の状態で、群青領で売っています」


ユリの説明に、侍女たちとシッスルは、メモを取りながら聞いているようだった。


琥珀糖(こはくとう)というのは、もともと、クチナシから取れた色素を加え、琥珀色に作ったものが、宝石の琥珀に似ていることから名付けられたと言われています」


説明内容に頷きながら、リラもメモを取り始めた。そういえば、リラにも説明をしたことがなかったと、ユリは思いだした。


「ユリ様、琥珀色以外でも琥珀糖と呼ぶのですか?」


サンダーソニアから質問された。


「はい。そもそも色々な呼び方があるので、分かりやすいように私は『琥珀糖』と呼んでいます」

「では、好きな色で良いのですね!」


どうやら、今日は琥珀色以外は作ることができないかもしれないと思ったらしい。


「まず、何色にするかは決めましたか? 一色なら混ぜてしまいますが、複数色が混在する琥珀糖を作るなら、個別の器に色素のもとを用意します。今回は、黄色いクチナシ、青いバタフライピー、この2つは、ほぼ無味です。赤いローゼル、やはり赤ですが、色味の違う赤のビーツです。ローゼルは酸っぱく、ビーツは甘いです。色素以外に、色味の有るジュースなどでも作ることができます」

「ユリ様、緑色はどうしたらよろしいですか?」


ラベンダーに質問された。色の件は以前も話したことがあるので、参加者のために、わかっていて質問してくれたらしい。


「緑は、黄色と青を混ぜます。紫は、赤と青を混ぜます。赤と黄色を混ぜると、オレンジ色になります。又、透明感はなくなりますが、ミルクを混ぜると、優しい色合いになります」

「ユリ様からいただいた、青と紫が混ざったような色合いは、何色を用意すればよろしいですか?」


ユメの誕生日の時に作った「夢の瞳」色の琥珀糖について聞かれたらしい。


「あれは、多めの青と、少なめの赤を用意し、あとで混ぜてなじませています。ここまでで質問がなければ、欲しい色と、香り付けに使うお酒を取りに来てください」


色と酒は、指示されたメイドが取りに来ていたが、カンパニュラは自分で来た。ユリに質問があるらしい。


「ユリさま、おさけは入れないといけないのですか?」

「入れなくても良いですよ。でも、少量なので、お酒の酔う成分は飛んでしまうので、入れても大丈夫です。ものすごく大量に入れない限り、子供でも安心して食べられます」


大丈夫だと理解したのか、カンパニュラは笑顔になった。


「どのおさけがいいですか?」

「カンパニュラちゃんは、何色にするの?」

「いちごみたいな赤い色にしたいです!」

「なら、クレーム・ド・フレーズが良いわ!苺のお酒よ。それとね、イチゴジャムを加えて作れば、苺味になるわよ」


ついてきたメイドが、クレーム・ド・フレーズと赤い色素を持ち、カンパニュラは席に戻っていった。もう一人居たメイドが、イチゴジャムを取りに行ったようだ。


「ユリ様、スッキリさっぱりした感じにするには、どうしたらよろしいでしょうか?」

「ミント系のお酒を入れると良いわ。なんなら、ミントの葉を煮たミント水で分量の水を量ると良いわよ」


「針水晶のような見た目に作るにはどうしたら良いでしょうか?」

「私は、柑橘類の皮を極細切りにして加え作ったことがあります」

「では、オパールのような見た目はどうしたら良いでしょうか?」

「先に色々な色で濃いめに作って固めてから、細かく砕いて加えると良いと思います。まとめるベースを、青みを足した薄めの乳白色にすると、オパール感が増すと思いますよ。本当に作るなら、良いものを貸しますよ」

「何を貸してくださるのですか?」


ユリは鞄から、丸い製氷皿を取り出した。


「これに作れば球や半球ができるので、より宝石感が出ると思います」

「ありがとうございます。お借りいたします」


侍女二人は、少し変わった琥珀糖を作りたいらしい。


準備が終わり、実際にユリが作りながらの説明が始まった。


「寒天は数時間水に浸けて、吸水させてから使います。これを手で絞り、分量の水が入った鍋に入れ、火にかけます。しっかり煮とけたら、グラニュー糖を加えます」


今回は、夏板を導入しているため、テーブルから動かずに、実習ができるようになっている。火傷の心配も減って、万々歳だ。


「ユリ様、あの、そちらはなんでございますか?」


夏板を知らないのか、サンダーソニアが質問してきた。


「この板は『夏板』よ。加熱調理に使います。動力は魔力で、魔鉱石を取り替えるタイプもあると思うわ」

「御兄様のお持ちのものとは違うようにお見受け致しますが」


知らないわけではなかったらしい。


「あ、これは、最新型で、お湯を沸かす以外に、上部に鉄板を取り付けると、クレープやホットケーキ等を焼いたりもできます。対応温度が、200度以上あります」

「クレープ!」


すぐにサンダーソニアがマーガレットに何か相談し、マーガレットがローズマリーに指示をあおぎにいっていた。おそらく、最新型の夏板を買い付ける相談だろう。

ハイドランジアなら既に持っていそうだが、持っていて別枠なのか、興味がないのか、なにも言わなかったように見えた。

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