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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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違花

今日は、久しぶりのアルストロメリア会だ。

昨日の内にスワンシューも焼いたし、カスタードクリームも作ったし、色水の素も用意した。

朝ご飯を食べたら、もう一度持ち物を確認しておこう。


忘れ物は取りに戻れば良いのだが、ミスは無いに越したことはない。ユリは手持ちのワンピースに着替え、荷物を再確認し、朝食を用意した。


「おはよう。ユリ早いね」


色々用意をしてある荷物を見て、何時から起きているんだろうとソウは思った。

ユリは、平日と変わらない時間に起きている。そんなソウに気がついたユリは、笑顔で答えた。


「ソウ、おはよう。今日は、久しぶりのアルストロメリア会だからね」

「誰が来るの?」

「メインはカンパニュラちゃんよ。決定しているのは、サンダーソニアさんと二人の侍女で、シッスルさんは確実に来ると思うわ。会場側として、ローズマリーさん、ラベンダーさん、マーガレットさんね。それと、スノードロップさんも居るんじゃないかしら」


「なんだかんだお世話になってるから、俺も何か手伝いに行こうか?」

「女性陣総出になっちゃうと思うから、パープル侯爵のお手伝いでもする?」

「あー、そうするか。そういえば、キボウはどうするの?」

「キボウ君の気分次第だけど、琥珀糖を作るから一緒に来て手伝ってくれるんじゃないかしら。 ユメちゃんも、リラちゃんも、養育係のシッスルさんも居ることだしね」


ユリを含め、キボウの面倒を見てくれる人が勢揃いなのだ。必ず来るだろうと思われる。


「あー確かに。ははは」


ユメが起きてきた。


「おはようにゃ。あれ?キボウはいないのにゃ?」

「おはようユメ」

「おはようユメちゃん。今日は、カンパニュラちゃんがパープル邸に来るから、城には行かなくて良いのよって説明したら、世界樹の森に先に行ってくるようなことを言っていたわ」


又、置いていかれたにゃ。とユメが呟いていた。

ユメは、使命感から付き合っているわけではないようだ。


「今日は、何か持って行ったのにゃ?」

「猫型食パン5枚と、レモンマーマレードとリンゴジャムを1瓶ずつ持って行ったわ」

「ジャムだけで行かなくて良かったにゃ」


ジャムだけ持って行こうとして、ユリがパンも渡したのである。


「んー、でもね、トースト焼けるのかしら? 行っちゃってから気がついたのよね」

「焼きたてパンにゃ?」

「まあ、そうね。冷めきらないうちにカットして鞄に入れていたから、そのままでも美味しいわね」


1斤サイズのまま渡したら、切ってくれと頼まれ、切ってあった物と取り替えたのだった。

そんな話をしていると、キボウが戻ってきた。


「キボー、きたよー」

「キボウ君、おかえりなさい」

「キボウおはよう」「キボウおはようにゃ」

「おはよー、おはよー」


キボウから、空の籠を返された。


「さあ、朝ご飯を食べましょう」


ご飯を食べながらキボウに尋ねてみた。


「キボウ君、今日はパープル侯爵のお屋敷に、お菓子の作り方を教えに行くんだけど、キボウ君はどうする? 会場には、カンパニュラちゃんやシッスルさんも来るし、ユメちゃんとリラちゃんも行くわよ。それに、鳥のシューと琥珀糖を作る予定よ」

「キボー、いっしょー、キボー、てつだうー」

「どうもありがとう。よろしくお願いね」


食べ終わるとキボウは、ユメを誘って外の畑を見に行った。


「ユリ、何か手伝うこと有る?」

「持ち帰り用の箱を用意しようと思うの。お願いできる?」

「店で使っていない箱でも良い?」

「スワンシューと琥珀糖を持ち帰ることができるなら構わないわ」

「了解。双方良いのがある」


ソウはニヤニヤしながら、ユリに詳細を話さなかった。

あとで実物を見るだろうから 良いわと、ユリもあえて聞かなかった。


片付けと準備が終わり、階段を下りると、慌てた様子のユメが駆け込んできた。


「ユリ、ユリ、大変にゃ!」

「ユメちゃん、そんなに慌ててどうしたの?」

「咲いてるにゃ。花が咲いてるにゃ!」


チューリップやアルストロメリアは、咲いている鉢を買ってきたので、慌てることはないと思うし、畑に植えたバタフライピーやローゼルは、まだまだ先だし、風船葛もまだまだだし、何の花だろう?とユリは考えてもユメが慌てる理由がわからなかった。


「何の花?」

「魔力の実の木にゃ!」

「えー!」「マジか!」


ユリとソウも慌てて木を見に行った。まだ植えて3週間程度である。


木は、ユリの目線よりも大きくなっていた。ソウによると、ユリの身長とちょうど同じくらいらしい。


なによりも、ユメが慌てた理由があった。なんと、花が複数咲いているのだ。違う見た目の花が。


「どういう事ー!?」「なんだこりゃー!?」


百合のような形の真っ白な花と白地に黄色い筋の入った花と、野に咲く花のような小花と、白とピンク色の開いた花と黄色い小さなトルコ桔梗のような花びらの花が咲いているのだ。


「あ!これ、月見草だわ!」

「あー、月見草か。木に咲いているとわかんないな」

「これが月見草なのにゃ?綺麗なピンクにゃ」

「お、もしかすると、他はユリの名前に関する花か?」


確かに百合っぽい花は、カサブランカと、山百合に見える。


「探すと、カラーもあるの?」

「有ったにゃ! カラーにゃ!」


真っ白な百合に混じって、カラーの花も咲いているらしい。


「花でクリスマスツリーの飾り付けをしたみたいな木ね。うふふ」


じょうろを持ったキボウが現れた。


「さいたー、さいたー」

「キボウ、どうなってるんだ?」

「ユリ、まりょくー。ソウ、まりょくー」

「魔力を注いだ人の名前の花が咲くのにゃ?」

「あたりー!」


向こうからリラが歩いてきた。そろそろ時間なのだろう。


「おはようございます。皆さんお早いですね」

「リラちゃんおはよう」「おはようにゃ」「おはよう」

「何なさってるんですか?・・・なんですか?これ!?」


木を見たリラも驚いていた。


「いつこんな大きな木が?」

「植えたのは3週間くらい前かしら」

「昨日通ったときは、もっと小さかった気がしますが」


あれ?と思った。リラは木の大きさにしか言及してこない。


「リラちゃん。この木を見てどう思う?」

「え?どうとは? えーと。急に大きくなった不思議な木です。葉っぱは丸みがあって、えーと、何か違うんですか?」

「花はどうにゃ?」

「花って、まだ咲いていない花の事はわかりません」


リラには花が見えていないらしい。

全員がキボウの方を見た。


「リラ、みるー?」

「え?花ですか?見られるんですか?」

「いーよー。リラ、おねがいするー」

「この木に花を見せてくださいと頼むんですか?」

「ちがうー」

「リラ、木が育つように願うのにゃ」

「わかりました。どうか立派に育ってください」


簡単に願っていた。


「たりなーい」

「えーと、」

「ユリのための大事な木なのにゃ」

「ユリ様の!? わかりました」


少し間をおいてから、しっかり木を見つめ、願いを唱えていた。


「ユリ様のためにも、どうかしっかり丈夫に育ってください」


フワッと木が輝きを増した。


「うわー何これ!花が、どうなってるんですかーー!?」


リラにも花が見えるようになったようだ。

リラの身長だと、木の上側も見えるらしく、木を上から覗き込んでいた。


「大きい花の他に、小さな花もたくさん有るんですね」


ユリとソウが簡単に説明をし、一段落つき、出掛けることになった。

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