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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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咖喱

ユリたちが食べ始める頃には、ココナツ食器店の二人は食べ終わっていた。


リラたちがお世話になったことにユリがお礼を言うと、当時ちゃんとお返しはして貰ったから改めてお礼を言われるまでもないですと言って、笑顔で帰っていった。


リラに何を返したのか聞くと、ベルフルールの定休日に、何度かお弁当を作って届けたらしい。リラのことだから、お世話になりっぱなしはないとは思っていたが、しっかりお礼をしていたようで安心した。


食べ始めると、メリッサがイリスに何かを聞いて撃沈していた。気になってユリがそちらを見ると、今度はユリに質問してきた。


「ユリ様、この鶏肉、どうしてこんなに柔らかいんですか?」

「弱火で3~4時間煮込めば、誰でも作れるわよ?」


スプーンだけでほぐれる柔らかさだ。

ちなみに、メリッサは同じ質問をイリスにして、ユリ様が作られたから。と答えられていた。


「なぜこんなに柔らかいのに、崩れていないのですか?」

「カレーと一緒に煮込まないで、鶏肉だけコンソメ、あ、えーと、出汁(だし)で煮るのよ」


その答えではメリッサはまだ納得できないらしい。


「それだとこのカレーの味がしないのではないですか?」

「しないわね。でも一緒に食べるから違和感はないのよ。どうしてもカレー味にしたかったら、とろみがつかないカレー味のスープで煮ると良いわ」


更に、何故カレーの中で煮ないのか聞かれ、説明した。

とろみがあるものは、焦げ付かないように鍋をかき混ぜるので、よく火の通った柔らかい鶏肉は崩れてしまうのだ。

提供するときに盛り合わせれば、料理としてはひとつになるので食べる側には問題がない。日本料理の炊き合わせなどが、それぞれの材料を別々に煮てから盛り合わせる。ユリの煮込み料理の発想は、炊き合わせなのである。


「一緒に食べるものは一緒に煮れば良いと思っていましたが、お店の料理は見映えなどもあり、色々違うのですね」


メリッサが感心していた。

その横で「そんな手間が!」と、イリスが呟いているのが聞こえた。

何度か食べているはずなのに、イリスは全く知らなかったらしい。


「ユリ様、このカレーと言うものは、ベルフルールでは作れないでしょうか?」

「ん?リラちゃん、カレー作りたいの? カレールー買ってくる?それとも、全部こちらの材料で作ってみる?」

「え!ホシミ様にカレーの素を買ってきていただかなくても作れるのですか!?」

「私はやらないけど、スパイスを揃えれば作れると思うわよ。ターメリック、クミン、チリパウダー、コリアンダー辺りを揃えれば、とりあえずは作れたような・・・。きちんと教えられないから本を用意するわ」


ユリは、メニューによって、カレー粉やカレールーを使っているが、スパイスからの調合は試したことがない。当然皆も不思議に思った。


「ユリ様、いろいろな調味料まで作られるのに、何故カレーはカレーの素を使うのですか?」

「一番に、味が安定しなくなるから。次に、興味がないからかしら」


ユリの返答に、皆が驚いた。ユリが料理に関して、興味がないと発言すると思わなかったのだ。


「興味がないのですか?」

「簡単に言うとね。もしカレーをスパイスから調合するようになると、多分カレー屋さんになっちゃうわ。カレーのメニューは無限に有るからね」

「確かに、お店でも種類が色々ありましたね」


店で出しているだけでも数種類有るのだ。

とろけるチキンカレー、バターチキン、サグパニール、キーマ、夏野菜カレー、ホワイトカレー、ココナツカレー、カレーピラフ等だ。


「私が作れるカレーで、まだ作っていない物もあるわよ」

「そうなのですか!?」

「トマトの水分だけで鶏肉を煮込むトマトカレーとか、パン生地に包んで油で揚げて作るカレーパンとか、和風の出汁(だし)で作るカレーうどんとか、カレー味を捜したらきりがないほど有るのよ」

「凄いのですね」

「そのうち本を用意するから、それを読んでから考えたら良いわ。カレー粉やカレールーが必要なら声かけてね」

「はい。ありがとうございます」


食事と休憩が終わると、いつも通り営業し、トラブルなく一日が終了した。

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