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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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容器

急いで計量を始めた。


今日の予定こそ書いてあったが、ユリがいない間に来客があったため、リラもたいした準備はしていなかった。


「そういえばユリ様。シィスルが、レモンを刻みに来ると言っていたんですが、そんな約束をされましたか?」

「レモンマーマレードを作るのを、私が渋っていたら、皆で刻んでくれるって話になったわ。店売りする予定よ」

「みんな?」

「あの場にいた人全員ね。イリスさんやメリッサさんも名乗り出てくれたわ」

「今日の予定表には書いてありませんでしたけど、いつ作る予定ですか?」

「ソウが、瓶を用意したらね」

「販売用の瓶がないんですね。もちろん私も刻むのに参加しますので、仲間はずれにしないでくださいねー」

「あはは。休んでと言い難い頼み方だわ」


二人で話しながらも計量を終わらせ、仕込みに入るのだった。



10時少し前、ソウが寿司折りの容器とジャム用の瓶が入手できたと、戻ってきた。

ソウから、ジャムのラベルをどうするか聞かれ、リラが「私が描きたいです!」と名乗り出たので、紙を渡されていた。

瓶に貼ることができるサイズに縮小してシールを作ってくれるらしい。


「今日からレモン刻みますか?」

「そうね。手の空いている人に頼もうかしら」


「ユリ、作るのはレモンマーマレードだけ? 他のジャムも作るなら、デザインしてくれればシール作ってくるよ」

「あ、なら、リラちゃんにりんごジャムもお願いするわ。リンゴもたくさんあるのよ」

「ユリは、裏書き用の原稿書いて」

「成分と販売者名?」

「必要だろ?」

「わかったわ」


リラは、勿論リンゴの絵も描いてくれると言っていた。


「ユリ様、シィスルたちに声かけますね」

「一日で作り終わらないから、来たときで良いのよ?」

「刻む手伝いではなく、瓶を見たいそうです」

「それこそ、来たときに見たら良いのに」


リラが呼んだので、シィスルとマリーゴールドはすぐに来た。


「容器が届いたんですか?見たいです!」


二人とも、揃った大量の瓶が見たかったらしい。ユリの予想外で、その目的にユリが驚いた。


「あ、マリー、ジャムのラベルを作るから、文字頼んでも良い?」

「はい!書きたいです」


文字と絵を分業することに、ソウが驚いていた。


マリーゴールドは、文字がとても綺麗なのだ。ろくに勉強させてもらえない環境で、できることを精一杯頑張った結果、文字の美しさは誰にも負けないレベルになったのだ。

本人曰く、文字だけは他人に誇れる特技らしい。


文字と絵は合成するからと、ソウはマリーゴールドにも紙を渡していた。


「シィスルちゃん、寿司折りの容器もソウが買ってきてくれたわよ」

「わ!見て良いですか?」


ソウが、畳んだ状態の寿司折りを鞄から取り出し、簡単に組み立てると、シィスルが喜んでいた。


「凄い! ペッタンコだったのに箱になった!」

「最初から立体だと、置く場所に困るからな」


ソウが笑って答えていた。


「ホシミ様、その箱はお高いんですか?」

「一組100(スター)位だな。リラも要るなら揃えるか?」

「たくさんは要らないのですが、いくつかあれば、行商に行くお爺ちゃんたちに、お弁当を渡せるかなって思いまして」

「何個か程度なら、その都度ユリから売ってもらえば良いんじゃないか?」

「良いわよー。声かけてね」

「ありがとうございます!」


わいわいと話していると、メリッサが来たようだ。

同じような説明を聞いたあと、早速レモンを刻むと言い出した。

作り方を知っているリラがメリッサに指導し、シィスルとマリーゴールドも一緒に説明を聞いていた。


マーレイが来て、イリスが来て、ユメとキボウが戻ってきて、全員揃った。


お店のテーブルで、マリーゴールドが文字をデザインし、シィスルは、海苔巻きのデザインを考えていた。


「シィスルちゃんとマリーゴールドちゃんは、お昼ご飯はどうするの?」

「今日は、あちらに誰もいませんので、ユリ様のお店で軽食でも食べようかと考えています」


シィスルが答えた。


「マリーゴールドちゃんも?」

「はい。その予定でございます」

「それなら、うちでお昼食べたら良いわ。シィスルちゃんもマリーゴールドちゃんも、さっきから書いているの、それ仕事よね? お昼ご飯くらい出すわよ」

「ありがとうございます!お昼ご飯の用意だけ手伝います」

「ありがとう存じます」


午前中の予定に目処がつき、皆の昼食を作り始めると、ココナツ食器店の店主ニウが、従業員を連れ訪問してきた。今朝マーレイから声をかけられ、早速来たらしい。


ユリが顔を出すと、予想通り平伏すので、白衣を着ているときは、以前と同じように接するように頼んだ。

取引先が平伏すのは、もはやお約束になっているので、ユリも慣れたものである。


「以前と同じ器でよろしいのでしょうか?」

「はい。同じ持ち帰り用の鶏丼を販売するので、あるだけください。とりあえず150位有ると、販売が開始できます」

「小皿もお使いになられますか?」

「それも購入するので、相応の代金を請求してください」

「かしこまりました。本日、器を500、小皿を1000お持ちしております。こちらで納品させていただきますので、どなたか立ち会いをお願い致します」

「私が行くにゃ!」


ユメにあとを頼み、ユリは昼食作りに戻った。

ソウに頼んで、内倉庫の外から出入りできる扉側に、ある程度の所まで、鍵を開ければ入れるようにして貰ったのだ。

中まで運んでもらえるようになり、納品が楽になって助かっている。入れて貰ったあと、好きな場所に移動すれば良いのだ。


少しすると、ユメが相談に来た。

以前ならランチを出していたので、そのまま食べていったが、今は軽食しかないから少し残念だと話していたらしい。


「皆のお昼ご飯と同じ、とろけるチキンカレーなら、出しても良いわよ。鞄に入れる保存食用に多めに作っているから、食べて行ったら良いわ」

「伝えてくるにゃ!」


ユメが伝えに行くと、とても喜んだらしく、食べたいと言ってるとユリに伝えに来た。


「ユメちゃん、マーレイさんがサラダの用意をしているから、2人前増やすように伝えておいてね」

「わかったにゃ!」


ユメが伝えにいってしまうと、リラから聞かれた。


「ユリ様、今日のおすすめケーキも出しますか?」

「そうね出してちょうだい。もう固まっていると思うわ」

「はーい、名前なんでしたっけ?」

「ムース・アナナスよ」

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