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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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酒瓶

ユメに言われて、効率化できるところをユリは考えてみた。

オーブン導入したし、業務用ミキサーは2台有るし、卓上ミキサーも有るし、冷蔵庫も冷凍庫もあるし、思い付かないわぁ。


まあ、ユリが簡単に思い付くくらいなら、とっくに対策をしているはずなので、一人で考えたって思い付かないのだ。


「ユリ、どうかしたの?」

「あ、ソウ、おかえりなさい。働きすぎを緩和する策を何か知らない?」

「なんの事?」

「リラちゃんが休まず働いているのは、私が働きすぎだからだとユメちゃんに言われたのよ」

「あー。なら、日替わりをやめて、週替わりとか、2日ずつ同じにするとかすれば、客の絶対数が減ると思うよ? さばききれない来店を全てさばこうとして仕事が終わらないのなら、来客数の方を減るよう調整すれば良いと思うよ」


来る客を減らす方法というのは、根っからの商売人のユリには目から鱗だった。


「ソウ」

「なに?」

「天才ね!」

「あ、ありがとう」


ユリは、自分が悩んでもわからなかった解決法を、ソウがあっさり提示したことで、ソウを尊敬するのだった。

客を増やす方法を日頃行っているのだから、その逆をすれば良いと言う考えに至らないのがユリである。


「シィスルちゃん! 私、ちゃんと対策して仕事減らすから、リラちゃんにも伝えてね。それでもリラちゃんがちゃんと休まないようなら、そんなに忙しいなら私が手伝いに行きますよ!って言ってた。って伝えておいてね」

「はい!ありがとうございます!」


これでユメちゃんから言われたことは解決だわ!とユリは考えていた。


「ユリ様、虹のミルクレープの、持ち帰り用がなくなりそうです。売り切れにしますか?」


メリッサが報告に来た。


「両方無いの?」

「2人前も4人前も残り2~3個です」

「なら、猶予分、持ち帰り用に組むから、2人前12台、4人前8台追加して、売り切れです」

「はい」


ユリが話している間に、シィスルが既にカットを始めていた。残り7台のうち、3台を4カットに、4台を半分に切っていた。マーレイがさっとココットを渡してくれたので、ゼリーをココットに入れ、泣かない粉糖とココアで模様をつけ、持ち帰り用の箱に組んだ。



追加分も、閉店より前には売り切れてしまったが、店内サービス分を食べ、色々なケーキを持ち帰りできるとあって、特に苦情はでなかった。

店内サービスの虹のミルクレープが売り切れたので、少し早く閉店し、皆に集まって貰った。


「皆さん、大変お疲れ様です。これまで、毎日違うものを出していましたが、来週から実験的に、2日ずつ同じものを出して、少し仕事を減らすようにしようと思います」

「出すものの予定は決まっているのですか?」


シィスルから質問された。ノートを構え、残らず書き留めるつもりらしい。


月曜日(つきのひ)火曜日(かえんのひ)は、巻き寿司を持ち帰りに出し、喫茶のおすすめは苺のババロアです。木曜日(じゅもくのひ)金曜日(きんのひ)は、鶏丼を持ち帰りに出し、喫茶のおすすめは桜のムースです。それより前に、明日は、レモンマーマレードを作ります。ソウ、ジャムの瓶と、紙製の寿司折りお願いします」

「了解。とりあえず100持ってくるけど、多分1000単位だと思う」

「はい。1000で問題ないです。今週の木曜日じゅもくのひ金曜日(きんのひ)は、レモンマーマレードを持ち帰りで売って、りんごジャムやパインアップルジャム等を作ろうと思います」


「ユリ様、ジャムの瓶と言うのは、今、冷蔵庫に入っているガラスの容器ですか?」


メリッサから質問された。

販売に使う予定の瓶よりも、少し大きめの瓶に、今使っているジャム類は入っている。そんなにたくさんは売れないので、ユリが暇なときに、手元にある果物で作っていたのだ。


「そうです」

「その容器は、洗って持ってくるとスタンプ何個ですか?」

「あーそうね。4か5だと思うけど、ソウに値段を聞いてからになります」


先に帰るメリッサに今日の夕食用のおかずを渡し、皆の夕食も用意した。


「お先に失礼します」


メリッサが帰り、皆で夕食を食べ始めた。


「そういえば、エルムさんはいつ帰られたの?」

「開店して1時間くらい、お客様のお話を聞いてから、帰られました。ユリ様に、何卒よろしくおねがいしますとおっしゃっていました」


イリスが教えてくれた。エルムが帰るときに、すぐにユリに伝えに行こうとしたら、仕事の邪魔をしたくないから、閉店してからでも伝えてくれと言われたらしい。


食べ終わり、皆が帰った後、ソウが鞄を取りに行った。


「あ、そうだ。ユリ、これもらったんだけど、何か使い道ある?」


ソウが鞄から出したのは、酒瓶のようだった。

日本酒? いや、焼酎?

受け取り、裏書きを読むと、それは泡盛だった。


「あら、珍しいわね。どうしたのこれ」

「昔さぁ、サーターアンダギーを残ったの貰ったことがあったでしょ。それを渡した相手から里帰りのお土産で貰ったんだよ」

(4章 243話「美花」で、残りを全てソウが受け取っている)


「飲まないなら、料理に使うわ。ラフテーでも作りましょう」

「お!楽しみだな」

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