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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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記念

今日は、一周年記念日。世間は5年経っていても、ユリの体感としては、1年間しか営業していない。

本来の記念日は、4月17日だが、昨日はお店が休みなので、今日、一周年記念をすることにしたのだ。


◇ーーーーー◇

本日、開店記念日


虹のお菓子をご提供します。


軽食とおやつの店 アルストロメリア

◇ーーーーー◇


早々に、イーゼルにおすすめ看板をのせてきた。


「ユリー、おかし、あるー?」

「今日のデザートで良い? レインボークレープよ」


ユリは、虹色のミルクレープとゼリーを皿にのせたものを見せた。


「キボー、もってくー?」

「あー、皿盛りだから、持てないわね」


assiette(アシェット) dessert(・デセール)か」

「ん?ソウ、なあに?」

「皿盛りのデザートって意味だよ」


「キボウ君、4つに切り分けて、1つの皿にのせるので良いかしら?」

「それー」

「2皿持てそう?」

「キボー、もてなーい」


「よし、たまには、俺が付き合おう。キボウ、世界樹の森と、王宮に行けば良いのか?」

「あたりー!」


珍しく、キボウにソウがついていくことになった。

皿盛りデザートは、ソウが鞄にしまい、キボウは、作ったベーコンを籠に入れて持っていくのだった。


「べーこん、べーこん、キボーのべーこん!」

「キボウ、ベーコンは、必ず加熱して食べるように伝えてくれな?」

「かねつー?」

「手紙書くか?」

「それー」


ソウは慌てて、ベーコンの扱いについて書き記し、ベーコンが入っている袋に張り付けた。


「よし、これで良いぞ」

「いくよー」

「おー」


キボウとソウは、キボウの魔法で転移していった。

そのすぐあと、ユメが起きてきた。


「おはようにゃ! あれ?キボウはいないのにゃ?」

「おはよう、ユメちゃん。今、ソウと転移していったわよ。ベーコンを届けたくて早くから用意していたみたいでね」

「そうなのにゃ!?」


ユメは、昨日早起きしてベーコンを作る手伝いをして疲れたらしく、いつもより少しだけ遅く起きてきた。


「ユメちゃん、朝ご飯食べる?」

「ユリはもう仕事にゃ?」

「今日は、開店記念日だから、もうそろそろ仕事を再開する予定よ。厨房に来て食べる?」

「それが良いにゃ!」


一人で食べたくないらしいので、ユリは厨房へ誘ってみた。


お店のテーブルを使うか聞くと、ユメは椅子を持ってきて、厨房の作業台で食べると言っていた。


ユリは、ユメに朝ご飯を出し、ユメの横で今日の予定を書き出したあと、1番大きいミキサーで生クリームを泡立て始めた。

7.5%のグラニュー糖と、ラム酒とコアントローとバニラエッセンスを加え、もったりするまで泡立て、大きなボールに移し変え、シィスルが来る前に、ミルクレープを作り始めた。


「ユリ、手伝うにゃ!」

「ユメちゃん、ありがとう。でも、こんなに早くから手伝ったら、疲れてしまうわよ?」

「ちゃんと休みながら手伝うから大丈夫にゃ!」

「そう? なら、クレープを、上から紫2、青2、緑2、黄色3、オレンジ3、赤3で、重ねておいてくれる?」

「わかったにゃ!」


ユリがミルクレープを作っていると、リラとマリーゴールドがやって来た。

マリーゴールドは、興味深そうに覗きに来たが、作りたいと言うこともなくリラを手伝い、マヨネーズとクッキーを作り、シィスルが来るのを待っているようだった。


シィスルは、全員のベーコンを持ってやって来た。


「おはようございます。ユリ様、塩抜きが違うものをお持ちしました。味見しませんか?」

「おはよう。あら、良いの?」

「はい」


ユリは、4種類を切って焼き、少しずつ全員に配った。


「あら、茹でたものは、意外と塩分が抜けていないのね。でも、味はあっさりね。ハムのようだわ。水かえは、水道の流水と同じような感じね。塩水、旨味が濃いわね。興味深いわぁ。提供してくれてありがとうね」


ユリは、ソウとキボウ用に少しだけ貰い、残りを返した。


「自分達で作るなら、ソウにチップとかウッドを頼めば買ってくるわよ」

「はい。もう一度くらい作ってみたいと思っています」

「それなら、揉み込む塩に、胡椒やハーブを混ぜると、違った味わいのものができるわよ。ロースやモモ肉で作って、燻製後に70度くらいで茹でると、ハムのようなものができるわ。骨付きのまま作るという手もあるわよ」


夏板を使って茹でれば、温度管理が楽である。


「今日仕込んで、週末にでも作ってみます!」


リラとマリーゴールドが、残りのベーコンを持って、帰っていった。


「ユリ様、今日の予定は、この紙に従えばよろしいですか?」

「あ、お願いしまーす」


ユリが作ったミルクレープは、ユメがしまってくれていた。

ユメも予定表を見て、バッドに流し入れたゼリーを、シィスルにカットして貰い、ココットに移し変えてくれていた。


ミルクレープ52台を作り、35台は半分にカット。10台はお店用に8等分にカット、7台は予備。ゼリーは、水色ゼリーとミルクゼリーを70個ずつ用意する予定だ。


「ユリ様、これ、4等分にして、2人前のお持ち帰り用を作りませんか?」

「あー、要るかしら?」

「恐らく、ご注文いただくと思います」

「なら、10台、4等分で」

「はい」


「にゃ!ゼリーどうするにゃ?」

「大きいココットは50個分ずつ、小さいココットで40個分ずつお願いします」


ソウとキボウが戻ってきた。


「ユリー、これー」


またもや、キボウはいつもの木の実を持ってきた。

恐らく、ベーコンのお返しなのだと思う。


「キボウ君、ありがとう。ベーコンは渡せた?」

「めーぷるー、きるー、あねもねー、やくー、ぷらたなすー、たべるー、かみさま、よろこぶー」

「世界樹様は、喜んでくれたのね。良かったわ」


戻ってきた二人にも、ベーコン4種類を焼いて提供した。

味の違いに、ソウが面白いと喜んでいた。


キボウは、ユメを誘い、畑を見に行くらしい。

ソウは、仕事に行くと言っていた。


「ユリ様、クレープは、どうしますか?」

「虹のミルクレープは、冷えて落ち着いてからカットします。切った面に、このフィルムを張り付けてください。1/4は、フィルムを半分に折ってから貼り付けると、浮かずに綺麗にくっつくと思います」


説明だけして、ユリは他の作業に移った。

朝から夏板にのせ、コンソメスープで煮ておいた玉ねぎとブロッコリーの茎のあら熱をとり、柔らかめに別茹でしたブロッコリーも混ぜ、ミキサーにかけた。

米粉を混ぜた牛乳で伸ばし、半分に分け、塩コショウと少々の砂糖で味を整えた。


半分は冷めてから冷蔵庫に入れ、半分は、夏板の上に戻した。もう少ししてから、夏板のスイッチをいれよう。


ユリは買ってある食パンを持ってきた。

薄切りの食パンを賽の目にカットする。

中華鍋に入れ、オリーブオイルであえながら炒める。


「ユリ様、それは何を作っていますか?」

「これはクルトンよ。スープの上にのせるのよ」


オリーブオイルが全体に混ざったら、オーブンでしっかり乾かして出来上がり。


シィスルが、じっと見ていた。


「出来たら、スープにのせて食べてみたら良いわ」

「ありがとにゃ!」「ありがとうございます!」


いつのまにか、ユメも戻ってきていたらしい。


「クッキー終わった?」

「黒猫クッキーは型抜きがまだですが、世界樹様のクッキーは、アイシングを塗るだけです」

「黒猫クッキーは、私が作るにゃ!」

「ユメちゃん、おねがいします。シィスルちゃんは、アイシングをおねがいします」

「はい」


シィスルがアイシングをぬると、ちゃんとキボウは現れた。


メリッサが出勤してきて、予定表を見てパウンドケーキの型を用意してくれたので、ユリはひとりでパウンドケーキを仕込んだ。

マーレイが来たときに、ユリは手が離せなかったので、シィスルに検品してもらった。今までもマーレイが間違ったことはないのだが、仕事なので、必ず検品している。

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