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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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強弱

10時少し前に、又全員集合した。


「えー。私がくるくる回した1つと、水道の水流のを比べて食べてみましょう」


少しカットし、焼いて、みんなに食べさせてみた。


「最初の方は薄いけど、後のは少ししょっぱいです」

「はい。同じです」

(わたくし)も同じように感じます」

「味が違うにゃ!」

「ちがうー、ちがうー」


「少し水の出し方が弱かったかもしれないわね。最初のは、これでもう乾燥させましょう」


「ユリ様、シィスルの茹でたものの詳細を教えてください」

「えーと、お湯は沸騰まで沸かしますが、肉を入れた後は、70~72度を保ち、そこから30~40分茹でます。今回は500gだったので、30分茹でました」


「ユリ様がクルクル?とは、何をされたのでしょうか?」

「魔法で水流を作りました。水替えは、1時間置きです」

「え、魔法?」「魔法?」「魔法でございますか?」


「試したにゃ。水被ったにゃ」

「えー!それでユメちゃん、いつもと違う感じの服なんですか?」

「ユリが買ってきたのにゃ」

「キボーも、キボーも」


3人は、ユメとキボウの服を一通り誉めた。特に、ユメの猫耳付Aラインのパーカーが好評だった。本音を言うと、欲しいらしい。


結局、リラたち3人にも「波の流水」の魔法を教えることになった。

ユメの注意もあり、強すぎて水を被ることはなかったが、加減を覚えることに夢中になり、時間が大分過ぎてしまい、慌ててベルフルールに帰っていった。

次は、ベルフルールの休み時間である14時頃、リラとマリーゴールドのベーコンの塩味の味見だ。


ユリは水流の肉の水道の水量を増やした。一時間後に丁度シィスルが見学に来て、味見をしたのち、肉を水から引き上げた。


シィスルによると、リラとマリーゴールドは、魔法を使いたいのをグッと我慢して、塩抜きを見守っているらしい。

途中から方法を変えたら実験にならないからのようだ。



ユリたちがお昼ご飯を食べ、ソウに聞いて明日使うものを揃えた。

水分を吸収する、専用のシートがあるらしい。そんなものは用意していないので、どうしようかと考えていると、ソウに聞かれた。


「ユリ、メイプルに渡した魔法一覧にあった『乾燥』って、簡単?」

「生活魔法だから、魔力さえあれば誰でも使えるはずよ。『乾燥』は、1000p で、腕の届く範囲が有効範囲だわ」

「なら、それ使おう」

「ペーパータオルには、巻いてあるわよ?」

「少しでも表面に水分が残ってると、煙がついたところが酸っぱくなるんだよね。そして味が不味い」

「う、それは困るわね。明日みんなにも教えます」


転移が350p、多重結界200p程度なのに、1000pも使う生活魔法のおかしさに、ユリたちはこの時、気がつかなかった。ユメが水を被った時点で気づくべきだったのだ。



14時過ぎに、リラたちが塩漬け肉を持って現れた。


「ユリ様ー、中のお肉をこまめにひっくり返すようにして7時間半くらい経ちました」

「双方カットして焼いてみましょう」


予想通り、マリーゴールドのは丁度良い感じだったけれど、リラのはまだまだかなりしょっぱい感じだった。


「マリーゴールドちゃんのお肉も乾燥させましょう」

「この分だと、塩水のお肉は夕方でも無理そうですね」

「明日のギリギリまで塩抜きして、魔法で乾燥させたら良いと思うわ。焦らず塩抜きしてちょうだい」

「はーい」


夕方の味見は、リラが単独で行うことになった。



ユリがもうひとつ作っていた、パンチェッタ。

乾燥させようと思い、冷蔵庫から出していると、ソウが声をかけてきた。


「ユリ、それどうするの?」

「パンチェッタを作ろうと思ったのよ。だから練習も兼ねて、回りを乾燥させてみようかなって」

「へぇ。あ、『乾燥』教えてよ。俺も試してみたい」

「『乾燥』の呪文は、『ウ・オ・ス・ナ・ク』よ」

「私も試してみたいから、半分に切りましょう」


半分に切ったところで、ユメが来た。


「何してるにゃ?」

「魔法で乾燥を、試してみようと思って」

「やってみたいにゃ!」

「なら、この半分をどうぞ」


ユリは、自分の分をユメに譲った。ユメに呪文を教え、ソウとユメは、乾燥の呪文を唱えた。


「ウオスナク」

「     《ウオスナク》」(ユメは脳内詠唱)


一瞬にして水分が抜け、カチカチのポークジャーキーが出来上がった。


「なんにゃー!」「うわ!」

「どうして?」


「かわかすー?」

「そうよ。回りを乾かしたかったのよ」

「おおいー!」


覆い? 大井? 多い!!


「魔力が多すぎたのにゃ?」

「あたりー!」

「あ!さっきの水流にゃ!」


どうやらユリは、水流をおこすとき、無意識に魔力量を調節できていたようで、初めて唱えたソウとユメは、最大値を使ったらしい。それでユメは水を被り、ソウと共に肉を硬化させたのだ。


「うわー。明日、そのまま教えたら、大惨事になるところだったわ」

「練習して強さを調整する必要があるんだな」


弱くしか使わなければ、魔力も少なくてすむのである。

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