表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

455/690

苺好

「おはようございます!」


10時少し前に、メリッサが出勤してきた。


「クレープを焼くのと、肉と野菜を切ってカレーを作るのと、どっちが良い?」

「カレー作ってみたいです!」


知らないものより、わかりそうなものが良かったらしい。

ユリはスポンジをスライスしていた手を止め、野菜の切る大きさを説明した。


「ユリ、果物切れたよ」

「ありがとう」


ソウが切ったフルーツは、全て違うボールやトレーに分けてあった。


「他には?」

「いちごのヘタ取りを頼んで良い?」

「何個?」

「Mサイズ324粒お願い」

「了解」


すぐあとにマーレイが来て、クレープを頼んだ。

ユメが教えてくれるらしい。


ユリは、マーレイが持ってきた野菜などを確認したあと、生クリームを機械で泡立て、今、マーレイが焼いたばかりの黄色い生地のクレープを使い、フルーツオムレットを8個仕上げた。


「手が空いた人から、おやつをどうぞ。ユメちゃんとマリーゴールドちゃんは一旦手を止めて食べてね。マーレイさん、私が少し代わるわ」


ユリは、マーレイと交代し、黄色いクレープを焼いていった。ユメとマリーゴールドがいない間、全てのフライパンを同時に使い、フルスピードで焼いていった。


少ししてイリスが出勤してくると、来るなりおやつで、喜んでいた。


「おやつー、おやつー」


キボウが歌いながら現れた。誰か呼んでくれたらしい。

食べ終わったマーレイが戻ってきたので、フライパンを返し、ユリはキボウと一緒に、おやつのフルーツオムレットを食べることにした。


「ユリー、なにー?」

「それは、キウイフルーツね」

「ユリー、なにー?」

「それは、缶詰の黄桃ね」


中身が変わる度に聞かれた。


「いちごー!」


苺は昨日食べたから、すぐに判ったらしい。


「そういえば、キボウ君、苺好きだったわね。パックごといる?」


ユリが1パック差し出すと、大喜びで受け取っていた。


「いっちごー! いっちごー!」


こんなに喜ぶなら、早く渡せば良かった。と、ユリは思った。その瞬間、キボウが消えた。

恐らく、世界樹の森に転移したのだろう。


「帰ってきたばかりなのに、また行ったのにゃ?」

「苺を、振る舞いと言うか、納めにと言うか、持って行きたかったんでしょうね」


割りとすぐに帰ってきたキボウは、苺を持っていなかったので、ユリがもう1パック渡した。


「これは、キボウ君が食べたら良いわ」

「ユリ!ありがとー!!」


キボウは、苺をパックごと高く掲げ、踊るように喜んでいた。

ユリは、米を研いで炊飯器のスイッチを入れ、コーンの缶詰を開け、網にあけた。


ほとんど焼き終わっている、ユメが焼いている普通のクレープを使って、バナナオムレットを組んでいった。

約束通り、キボウが手伝うというので、バナナをのせてもらった。

イチゴのヘタ取りが終わったソウの他、カレーを煮込み始めて手が空いたメリッサも、手伝いに来た。イリスは出来上がったオムレットに、ユリが教えた通りに、スリーブを巻いていた。イリスは味付けさえしなければ、器用で優秀なのだ。ユリが巻くよりもビシッと揃っている。


「終わったにゃ! 次は何手伝うにゃ?」


ユメが、クレープを焼き終わったらしい。


「作り方は同じなので、赤いクレープを、台に、重ならないように並べてください」

「わかったにゃ!」


バナナオムレットが全て作り終わると、イチゴオムレットを作り始めた。まだ焼き終わってはいないが、ある程度は作っておかないと売り始められないため、クレープがあるだけ先に作ることにした。


「苺3個を並べるように入れてね」


バナナオムレットを作ったので、勝手がわかるらしく、イチゴオムレットは、特に説明をしなくても、みんなが作業を進めてくれた。


イチゴオムレットを予定の半分以上は組んだので、今、クレープがあるだけ、フルーツオムレットを組むことにした。


「生クリームの上に、半割り苺、キウイフルーツ、桃をのせて、他のと同じように折って仕上げます」


メリッサが張り切って作るつもりらしい。


「これ、先程いただいたものですね」

「その通りです。イチゴオムレットは、お昼ご飯のあとに食べたい人は食べても良いですが、バナナは、足りなさそうなのよね。ソウとユメちゃんとキボウ君は昨日食べたから要らないわね。2人で1つを分けるのでも良いかしら?」

「ありがとうとうございます!一口でも味がわかればありがたいです!」

「はい。私も一口あれば、説明がしやすいです」


メリッサとイリスが同意したので、マリーゴールドとマーレイもそのまま受け入れてくれた。今、一つ食べたので、そんなにたくさん食べきれないというのもあるらしい。


ユリは、半分に切ったバナナオムレットをマリーゴールドとメリッサに渡し、1つのままの物をマーレイに渡した。

マーレイはイリスに渡す分を、少し大きく切っているようだった。


ユリは仕上げを説明すると、空いたコンロでクレープを手伝い始めた。クレープ生地は赤が少しと黄色が残り1/3位有るようなので、ユリが全て引き取り、マリーゴールドとマーレイにも、仕上げをしてもらうように指示した。


「マリーゴールドちゃん、広げたクレープに、10gくらいのカスタードクリームを塗ってから、スライスしたスポンジをおいて、その上に生クリームを絞ってください」

「かしこまりました」

「誰にどれを手伝ってもらっても良いです」


ユリは先に黄色い生地を全て焼いてしまい、焼いたものは、大理石の台に置いたトレーの上で冷まし、続いて赤い生地も焼き、手早く全てのクレープ生地を焼き終わった。


オムレットの仕上げの方は皆に任せ、ユリはコールスローとカレーを仕上げることにした。

キャベツを切り、ニンジンを切り、塩をもみ込み水分を出した。マヨネーズ、酢、砂糖、塩、胡椒でドレッシングを調味し、もう一度野菜を水切りし、網で水切りしておいたコーンと混ぜた。

カレー用に煮た鍋にルーを加え、よく混ぜたあと、固さを調整した。少し強火で煮すぎたようだ。

サラダ用の野菜を再度水切りし、コールスロードレッシングと()え、お昼ご飯が出来上がった。


オムレットも、ほとんど出来上がり、残りは器用なイリスとマーレイがスリーブをキリッと巻いていた。

ユメとソウはお茶やカトラリーを用意し、マリーゴールドとメリッサが洗い物をしていた。

スリーブを巻くのが終わったのを見越し、ユリが声をかけた。


「さあ、お昼ご飯を食べましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ