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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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甘苺

ソウはさっさと貴族を送迎し、戻ってきた。


「さて、カエンちゃんを迎えにいくには早いし、ユメちゃんたちは お昼ご飯は要らないから、二人でなにか食べましょうか」


「ユリ、苺どうするの?」


ソウは気になっていたらしい。


「明日使うために、買いに行こうかと思っていたのよ。本当に」

「へぇ。丁度良かったね」


ユリは苺を出してみた。うん。とても良い苺だ。


「苺、ラベンダーさんと、パープル侯爵の所と、王宮に持っていっても良い?」

「構わないけど、買いに行きたかった理由ってそれ?」

「使うのは、お店のお菓子によ。ついでに持っていきたかったの」


ユリはオムレットをひとつ取り出した。


「これの中身を苺バージョンでも作ろうと思ってね」

「食べて良いの?」

「どうぞ」


早速食べたソウは、中身はバナナか!と呟きながら食べていた。


「これ、バナナ旨いね」

「キボウ君が採ったバナナだからね」

「あー、あれ使ってなかったんだ」

「鞄に入れたまま忘れていたのよ」

「いくつあったんだっけ?」

「100と30で総数は130本ね。そのままいくつかは食べたから、126本というところね」

「それで何個できるの、これ」


ソウは、食べかけのオムレットを指差し聞いていた。


「252個。でも、今朝152個作ったから、あと100個分しかないわ」

「どういう事?」

「ユメちゃんに50、ラベンダーさんに50、この後パープル邸に50持ち込む予定よ」

「なら、家に帰ってご飯を食べよう。なんなら俺が作るよ」

「そう?とりあえず帰りましょうか。あ、この衣装返してくるわ。管理もわからないしね」


二人でレッド公爵邸に転移し、ハンドベルで人を呼んだ。

すぐにラベンダーが、メイドをつれて現れた。

メイドの一人が、隣の部屋にソウを案内し、ユリは着替えた。


「ラベンダーさん、苺、貰い物だけど、あちらのよ。よかったら皆さんで召し上がってね」


ユリは20パック入っているケースのまま渡した。


「良い香りがいたします。このようにたくさんいただいてしまってよろしいのですか?」

「この状態のを10個もらったのよ。私はお店にも使うけど、そのまま食べても美味しいわよ」

「ありがとうございます。冬箱に入れた方がよろしいのですよね?」

「そうね。温かいところに置いておくと、あっという間に痛むわね。早めに食べちゃってね」


ソウが呼ばれて部屋に戻ってきた。


「ユリ、この後パープル邸に行く?」

「そうね。早く渡したいわね」


ソウと話していると、目があったメイド頭っぽい女性から声をかけられた。


「ユリ様、少しよろしいでしようか?」

「ん、なに?」


「ユリ様!どうもありがとうございます!!」


大勢のメイドに、お礼を言われた。


「あ、苺ね。仲良く食べてちょうだいね」


ラベンダーに挨拶し、そのままパープル邸に転移した。


パープル邸では、王都組がまだ来ていないらしく、バタバタしていた。

ローズマリーもマーガレットも魔力の設定を手伝っているらしいので、呼び出すのも忍びなく、ハンドベルを鳴らした時に来たメイドに、そのまま苺を渡し、「皆さんで食べてね。又来るわ」と挨拶し、そのまま帰った。


自宅でソウが作ってくれたご飯を食べ、ユメとキボウを迎えに行くために、王宮に転移した。


丁度帰る所だったらしく、ユメとキボウが、城のソウの部屋にいた。


「ユリ、どうしたのにゃ?」

「お迎えと、お土産を渡しに来たのよ」

「お土産にゃ?」

「苺をたくさんもらったから、皆さんにもおすそわけ」


何故か、あまり嬉しそうではない。

不思議に思い、ユリは尋ねた。


「あら、皆さん、苺はお嫌い?」


すると答えたのは、ソウだった。


「あー、ユリ、こっちの苺、酸っぱいから」

「あ、ラベンダーさんにも言われたんだったわ」


ユリは、先程開けて中を見た苺を取りだし、ソウ、ユメ、キボウ、カンパニュラ、サンダーソニアに一粒ずつ渡した。


「食べてみて」


ソウとユメは普通に食べた。キボウも続いた。

でも、カンパニュラとサンダーソニアは、ためらっていた。


「甘くて美味しいにゃ。女峰系にゃ?」

「たぶんそうね」


ユリも食べてみた。三角が綺麗な形で、赤くて甘い美味しい苺だった。


意を決したのか、カンパニュラが、パクっと食べた。


「うわ!あっまーい! これ、いちごですか?」

「え、甘いの?」


急いでサンダーソニアも食べて、もだえていた。


「なにこれ!物凄く甘ーい!!」


ユリはメイドを一人呼び、パックを渡し、今、側にいる人に配るように頼んだ。


「カンパニュラちゃんには、荷物が大きすぎるから、サンダーソニアちゃんに渡しておくわね。皆さんで適当に食べてね」


ユリは新しい1ケースをサンダーソニアに渡した。


「では、また来るわね」


簡単に挨拶をし、皆をつれ、さっさと転移して家に戻ってきた。


「あとは、リラちゃんに渡してきたいんだけど」

「私が行ってくるにゃ!」

「お願いして良いの?」

「任せるのにゃ!」

「キボーも、キボーも!」

「では、ユメちゃん、キボウ君、お願いします」


こうして苺を方々に配ったのだった。

誤字報告ありがとうございます。

本当に助かります。

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