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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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重量

舞台から全て下ろされたのを確認し、ユリとソウは再び日本の舞台のそばに転移してきた。


ソーラーパネルを舞台に載せている最中で、ユリが箱を目で数えると、200枚くらいありそうだった。


「何か凄いわね。あれって、どのくらいあるの?」

「パネルの数は180、蓄電池が9、重量は、2t(トン)超え。一応、軽量タイプで用意したけど、それでも1枚が10kgほどあるよ」


パネルの数はともかく、蓄電池が9と言った。里帰りは10 人だったはずなのだ。


「9人分?」

「あー、カナデは要らないから」


カナデ・サエキは、ユリとソウの家のように、すでに電気が使えているらしい。良く考えれば、サエキはソウと同じ役人側だった。


「あれ?イトウさんは、今回設置なの?」


サエキと一緒に行動したり、ソウの事に詳しかったり、どう考えても、役人側な気がする。


「あいつ、役人を辞めて、一般枠から応募した変わり者だから」

「あー! 職種を変更しても応募したお医者さんの話って、イトウさんだったのね!」(第3話「相談」より)

「良く覚えてたな。そんな話」

「ってことは、イトウさんって医者じゃなく、本業は科学者?」

「正解」


そういえばソウは、リツ・イトウを紹介したとき、マッドサイエンティストと説明していた。マッドはともかく、サイエンティストだ。


内部選抜でメンバー落ちしたら、さっさと退職して外部から応募してきたそうだ。優秀ゆえに、外に出したくなかったために、対処を誤ったら、完全に手綱が外れてしまったらしい。

今回の帰国は、国に帰っても、無理矢理引き留められる恐れがなくなったため、実家に顔を出しに行ってきたはずとソウが説明していた。


「ハナノさん、全部載せました。よろしくお願いします」

「はーい」


ソウビから声をかけられ、ユリはソウと一緒に舞台に上がった。


「ではまたー!」


ソウビに挨拶をすると、ユリは呪文を唱えず、転移した。


「えーー!ユリ、呪文を唱えなくても転移できるの!?」

「え? だって、普段移動するときは唱えないじゃない」

「じゃあ、何で、ここではいつも唱えていたの?」

「魔法使いっぽい演出?」

「マジか!」


覚えてしまえば最初以外、声に出して唱える必要はないのだ。ユリとしては、初めてこちらに来た時の、ソウが行った演出に合わせて、わざと大袈裟にしていただけなのである。なので、わざわざ派手な衣装を着てくるのだ。


「まあ、俺も、呪文を唱えたりしないで移動しているけど、」

「ほらほら、イトウさんと、サエキさんが来たわよ」


ソウは、呪文自体を知らなかったのだから、唱えようがない。結局、この舞台の転移陣は、王家の血族的な使用制限があるらしく、生まれ変わりであるユリやソウが使えるのは、生まれ変わったとしても、その魂に刻まれた何かがあるのかもしれない。


現時点で、転移陣を使えるのは、国内ならユリ、ソウ、ユメ、キボウ、花梨花、松竹梅だけで、外に出る転移陣を使えるのは、ユリとソウだけだ。

国にかなり強い結界を張ってしまったので、転移陣だけ使えても、海外には出られないのである。同じく、外からも入っては来られない。


ユリは、ここでは衣装のままウロウロするわけにはいかないので、おとなしく座って、ソーラーパネルが舞台から下ろされるのを待っていた。

ユリが手伝えば早いのだが、そこまでしなくて良いとソウに言われた。


そういえば、誰か迎えは来ているのかな?と、見渡すと、城で会ったことがある貴族が来ていた。確か、国王の側にいつもいる人で、大臣の誰かだったかしら? と、ユリは相手が分からず、目を合わせないようにしていた。

対応が子供である。


ちなみに、迎えに来ていたのは宰相である。パープル侯爵は、王都組のために、特定転移装置を準備するのに忙しいのであった。


特定転移装置は、王宮と貴族家の行き来にしか使用できず、貴族家側は、受け入れ準備をしないと、使うことができない。貴族家から貴族家へ行きたい場合も、王宮に一度行かなければならないうえに、使用許可をとらないといけないので、手続きが面倒である。手続きなどは、手紙転移装置でやり取りをする。


特定転移装置の使用は、1人につき、5万(スター)かかり、50kgまで。超える重量については、1kgにつき、1000(スター)

もしくは、現金5000(スター)と、魔力500pと、+1kgにつき10p


真面目に魔力を増やしていれば、ソーラーパネルが蓄電池とセットで200kg()えでも、魔力2500~3000pを軽く支払えるはずである。


むしろ、そこから移動させる手間の方を悩むようである。


王宮にある特定転移装置は4つ。

貴族用の、送り出す専用と、迎え入れる専用。

商人などが誰でも使える、送り出す専用と、迎え入れる専用。


貴族家にある特定転移装置は、2つ。

貴族用と、誰でも使える商売用だ。


誰でも使える方は、荷物だけの移動も可能だ。手数料を添えて申し込むと仕分けしてもらえる。



ユリが休んでいるうちに、馬車への荷物の積込が終わったらしい。

ソウは、出席していた貴族を送るらしく、そのまま王宮に行くと言っていた。


「次回予定は8月です。皆様それまで健康に過ごされますように」


締めの挨拶をして、解散になった。

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