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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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返礼

「ソウ、お待たせ」

「ユリ!? 又、何という、クラシックな装いで・・・」


見たまま「ド派手」と言えば良いのに。と思いながら、ユリは笑って答えた。


「ラベンダーさんのセンスよ」

「あー。俺の略礼装といっしょか」


ソウは、デザインの謎を察したらしい。ユリは、予測が当たり、楽しかった。


「やっぱりそうなの?」

「当時7~8歳くらいだったラベンダーが、絶対クラシックタイプが良いと言って、すすめてくれたんだよ。相手が子供なんで、むしろ断れなかった。パープル侯爵の顔をたててそのまま決めたら、出来上がった服は想像以上に無駄に派手だった。ははは」


メイプルの婚姻の時に、王宮で作ってくれた正装、礼装の他に、簡単な式の時に着る略礼装を、パープル領内に住まいを建てているため、侯爵邸で採寸をしていたら、デザインを決めるときに子供のラベンダーから、絶対にこれが素敵だとすすめられ、当時20歳のソウは断れなかったらしい。


「当時はわからなかったけど、ユメの、初代様教の女性の好みって、クラシックタイプらしくてさ、たぶんルレーブの時代のセンスなんだと思うよ」

「なるほどねぇ。そういえば、お城のユメちゃんの絵も、ヒラヒラなドレス着ていたわね」

「ユリは、聖女の正装だから、なおさらヒラヒラ」

「私が考える聖女って、むしろシックな装いのイメージだけど?」

「物理的に、飛び回っていたらしいよ。昔の聖女」

「そうなの!? もしかして、モモンガなの?」


モモンガのキグルミを着て飛び回るユリを想像したらしいソウは、笑い転げてしまい、話が続かなくなった。


「うわー。ホシミさん、どうしたんすか?」


一足先に来たらしい、ダイゴ・サカキバラだった。


「ソウは笑っているだけだから、大丈夫よ」


「ハナノさんは、何か凄い衣装っすね」


今度はススム・タケシタだ。タケシタも、サカキバラといっしょに来たらしい。

ピザ・ジェラートのダイゴ・サカキバラと、お好み焼き・焼そばのススム・タケシタである。


「侍女のラベンダーさんが見立ててくれたのよ」

「あっちのセンスって、少し独特っすよね」


笑うのをやめて、仕事をするらしいソウが復活した。


「サカキバラ君、タケシタ君、ソウビさんに送ってもらわなかったの?」

「荷物だけ頼みました。人が乗りきれないらしくて、別の人が送ってくれました」


どうやら、カナデ・サエキの知り合いが運転してきたらしい。サエキは、車に乗って帰る人と話をしていたようだ。


「カナデが送ってくれたのか」

「リツも、送迎手伝ってるよ」


ソウの問いに、来たばかりのカナデ・サエキが答えていた。リツ・イトウも、送迎側で手伝っているようだ。

なんと、ソーラーパネルが場所を取って、いつもの送迎車では運びきれなかったらしい。


「ここって、オートドライブだと来られないから、運転が出来ないとたどり着かないんだよね」


ソウの言う通り、ユリでは運転しては来られない。行き先だけ告げればたどり着くオートドライブと、自ら操作して車を走らせる方法がある。ソウはできるが、ユリはできない。


転移陣のあるここまでオートドライブで一般人が来られるようになったら、迷惑はあっても利点がないのだ。分かりやすく道を繋げる意味がない。


「あ、ハナノさん、今回荷物が多いんですが、転移2回とかでも大丈夫ですか?」

「構いませんよ。先に向こうに行って仕切るのは誰になりますか?」

「僕とリツが先に行って、まとめておきます」

「そういえば、お昼ご飯は、どうしますか?」

「今回は、全員早めに済ませてきています」


サエキが、流れを説明してくれた。そして、今回はお店でご飯を出さなくても良いらしい。


少しすると、荷物と残りのメンバーを運んできた、ソウの元上司のソウビがやって来た。


「ハナノさん、申し訳ないが、舞台に載りきらないので1回では無理かと思う」

「はい。サエキさんから聞いています。2度転移する予定です」


ソウビが、ほっとした顔をした。


「あと、パウンドケーキに救われたという人から、お礼をしたいと言われて、海外にいる人だからと言葉を濁したら、ならばと、今朝訪ねてきて国産苺を山ほど渡されたんだが、持ち帰れるか?」


日本産苺は、他のどの国の苺よりも美味しい。

その差は、圧倒的だ。


「え!日本産苺? いくらでも大歓迎です。むしろ、ソウに買いに行ってもらおうと考えていたくらいです!」


その人は、臨時でパウンドケーキを売っている里帰りメンバーの噂を聞き、女王(ユリ)が今日来ると知ったらしい。

4パックが入った一箱を5つ重ねた1ケース。それが10ケースあった。パックにして200パックだ。


「クリスマスのケーキ屋さんよりは少ないですよ。うふふ」

「あー、昔バイトしていたそうだね」

「はい」


苺は、受けとるなり、指輪を杖に変え収納した。

見ていたソウビが、少し驚いていた。


「その収納は、どのくらい入るのか、聞いても良いかね?」

「45t(トン)、体重の1000倍です。使用者制限があるので、私とユメちゃんしか使えません」


収納を使えるのがユリとユメであって、取り出しは二人のどちらかが許可すれば、魔力の器が1万p以上あれば、取り出せる。


食器を譲ってもらった時も見たはずなのに、何を驚いているのかと思ったら、運ぶのに、上下が割りと関係ない食器と、横にしただけて潰れそうな苺は違うと言われた。


「この収納、コップの水を入れて走っても、こぼれないんです」

「そうなのか!? それは凄いな」

「では、今回のパウンドケーキを」


ユリはパウンドケーキを取り出し、ソウビに渡した。


「苺のお礼って、できますか?」

「その苺がすでにお礼だから、堂々巡りになる。喜んでいたと伝えておくから、返礼は気にしなくて良いと思われる」

「わかりました。物凄く喜んでいたとお伝えください」


先に人を送り、舞台を使わずにユリが戻ってきて、再度転移で荷物を運ぶことに決まった。

そうすれば、人を送ったあとすぐに、舞台に荷物を載せられるかららしい。


全員いることを確認し、まずは人と、載るだけ荷物を載せてもらった。見たところ、家電製品が多い。

全て箱入りなので大きく見えても、持ってすぐに下ろせる程度しか重量はないのだろう。


「全員のりましたね」

「大丈夫だ」


ソウが確認してくれた。


「イタアシアヘク・イルバヰアッケキ・オデイナクヌュス」


ユリが呪文を唱え、転移した。

すぐに、サエキとイトウが、馬車などで待機していた人たちに、荷物を運ぶように指示していた。


「サエキさん、イトウさん、あとを頼みます」

「はい。2度目、よろしくお願いします」

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