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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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師匠

ソウの家なので、ソウが作ってくれると言った。

ユリは最初に着ていたワンピースに着替えたあと、化粧をおとし、鞄の中の在庫を確認していると、ソウに、ご飯ができたと呼ばれた。


「ユリ、予定は?」


食べながら聞かれた。


「寿さんに、写真を持っていきたいのと、えーと、お義父様、お義母様方に、写真は持っていったの?」

「集合写真を持って行ったよ。あとカエンにも」

「そうなのね。ありがとう」


昨日ソウが、カナデ・サエキから、写真を預かってきたのだ。姿絵と言えば、デジタルコンテンツばかりを見慣れてきたので、紙に焼き付ける写真を作るのは、かなり珍しく、大変だったらしい。

この国では、画家が描いた絵が出回るので、写真を販売しても良いか、いまだに悩んでいるそうだ。


ご飯を食べ終わったあと、すぐ移動した。

ソウビから聞いてきてくれたらしく、寿夫妻の現在いる場所まで、ソウが転移で連れて来てくれた。


「今は、ここに居るらしいよ」


前回来た施設とは違う施設らしい。前回は、重度の障害や病気がある人向けの施設で、今居るのは、健康に大きな問題がない高齢者向けの施設らしい。


受付を済ませ、面会を許可された。


指定された部屋に行くと、前回と違い、健康的な見た目になった寿夫妻が待っていた。


「ユリちゃん!」

「寿さん!キッカさん!」(妻の名前は、寿(ことぶき)菊花(きっか))


キッカに笑顔で抱き締められ、ユリは嬉しかった。


すっかり元気になっていて、この施設のおやつをたまに作ったりしていると話していた。

寿は元プロなので、施設の調理の専門職の人よりも、作った物に人気があるらしい。


ユリは、目的だった写真を取りだし、二人に渡した。


「写真とは、また、ずいぶんと懐かしい物を作ったなー!」

「まぁー!ユリちゃん、可愛とは思っていたけど、花嫁姿は、ものすごく美人ね!」

「あ、ありがとうございます」


ユリがキラキラと実際に輝いている写真だ。ユリとソウだけが写っている。

喜んで受け取ってくれた。


「あと、寿さんに差し上げるのには、ちょっと自信がないんですけど、私が作ったパウンドケーキです」

「おー。ユリちゃんは、今でも洋菓子を作っているのか!」

「はい。お菓子と軽食のお店を(いとな)んでいます」

「将来は、そういうのやりたいって言っていたわね」


二人はニコニコとしながら受け取り、ユリを誉めてくれた。


懐かしい話をしていると、施設の人が時間を伝えに来た。大きな病を治したとはいえ、老いと寿命はユリにもどうにもできないのだ。いくら楽しくても興奮させ過ぎると疲れてしまうため、面会は1時間以内と決まっているらしい。


「又来ますねー」

「楽しみに待ってるよー」

「ユリちゃん、無理しちゃダメよー」

「はーい」


ユリが部屋を出ると、ソウが少しだけ部屋に戻り、何か話してきた。

すぐに出てきたソウは、何事もなかったように、ユリを促しソウの家に転移した。


「ユリ、他に用事は?」

「ないわ」

「なら、帰る?」

「うーん、あ!お土産に、握り寿司を買って帰りたいわ」

「何人前?」

「そうね、12人前くらいかしら?」


ユリの家の4人と、リラの関係者の8人前を想定した。


「まずは注文しておくよ」

「ありがとう。お願いします」


ソウが注文している間に、ユリはラフな服装に着替えた。


「あれ、ユリ、着替えたの?」

「ワンピース、シワになっちゃうからね。もう1着くらい持っていた方が良いかしら?」

「1着と言わず、作れば良いのに」

「あちらで作ると、無駄に豪華になるから、おいそれと服は作れないのよ」

「あー、確かに」


ハイドランジアが、普段着用にと作ってくれた服は、ユリ的にはかなり豪華なワンピースだった。ユリの感想は、これを着ていくのは、何の発表会!?といった感じだ。


「お寿司注文できた?」

「立て込んでるようで、1時間くらいかかるみたいだよ」

「なら、服でも買いに行きましょうか」

「良いねぇ!」


ユリは、ソウが懇意にしている服屋に連れていかれた。

値札が、ユリの想定より、0(ゼロ)がひとつ多かった。


「良い服だと思うけど、良いお値段・・・」

「ユリ、無駄におしゃれしろとは言わないけど、滅多に買わないし、物持ちが良いんだから、良いものを買った方が良いだろ?」

「あ、うん」


ユリは、ソウがすすめるままに、服を何着も買うことになった。さらっとソウが支払い、ユリが慌てた。


「ユリ、そんなに気になるなら、ユリはユメの分でも見立てて買えば?」


店員を呼び、子供服売り場を案内してもらい、大人っぽいデザインの、ユメに似合いそうな子供服と、可愛らしい感じの、キボウに似合いそうな子供服を選んで購入した。


「ソウの服は、買わなくて良いの?」


ソウの服を選ぼうと思ってユリは聞いたのだ。


「俺は、服たくさん持ってるし、ユリがくれたカーデガンとかの方が嬉しい」

「あ、ありがとう」


ユリのセンスを断られたわけではなく、ユリの手作りが良いと言ったソウに、ユリは照れてしまった。


「さ、寿司取りに行って、帰るか」


ソウが寿司を受け取り、二人で転移して家に戻ってきた。


『ただいまー』


ユメに以心伝心を送った。

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