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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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着替

予定よりだいぶ時間が過ぎてしまった。

ユリは、魔道具の鞄に私服と女王の衣裳を入れ、レッド邸のユリの部屋に転移した。

一人で着られないこともないが、確認のためにラベンダーに見てもらおうと思ったのだ。


約束していた訳ではないので、ラベンダーは不在だった。

メイドたちが、奥方様が不在でも、お手伝いさせてください!と申し出ていたが、むしろ帰ってきたラベンダーが気にするのではないかと思い、ユリは断り、来なかったことにしましょ。と言って、城に転移した。


なんと城でも、ハイドランジアが不在だった。

やはり引き留められたが、同じように断って、今度はパープル邸に転移した。


ベルを鳴らすと、メイドではなく、なんとラベンダーが来た。


「ユリ様! 屋敷を不在にしておりまして、大変申し訳ございません」

「いえいえ、予告なしだったんだから、居なくて当然。むしろここで会ってビックリだわ」


レッド邸から、手紙転移装置で即知らせが来て、口惜(くちお)しい思いをしていたらしい。そして、もしかしたらパープル邸に来るかもしれないと思い、待ち構えていたそうだ。

今日は、再来週のアルストロメリア会の打ち合わせに来ていると説明された。


御召(おめ)()えをされると、伺いましたが」

「そうなのよ。外の仕事でね。一人でも着られるけど、確認してもらった方が良いかなって思ったのよ」

「湯浴みはされますか?」

「12時には向こうに居ないといけないから、間に合わないと思うわ」


時計を確認したラベンダーは、ニコッと笑い、言い切った。


「超特急で、致しましょう!」

「え!?」


ラベンダーは、メイドや侍女に次々指示をだし、ユリはあっという間に湯浴みをさせられ、髪を結い上げられ、化粧を施され、着替えが終わった。ほぼ一時間で完了した。


11時45分。


「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」

「どうもありがとう。皆さんありがとう。今度、お菓子持ってくるわね」


ユリはそのまま転移した。

転移装置の舞台がある広場だ。


「ユリ、遅かったね」

「うっかり、着替えを見てもらおうと思ったら、湯浴みがセットだったの」

「あはは。だからお化粧までしてるのか」


ソウが、笑って迎えてくれた。

ユリは普段化粧をしないので、自分ですると、無駄に濃くなるのだが、綺麗に自然な感じの化粧で、童顔がカバーされている。


「今回は何人なの?」

「今回は、全員。ソーラーパネルを持ち込みたいらしいよ」

「魔力で動く家電的なものを早く開発しないとダメね」

「持ち出しや、持ち込み禁止品は、変えなくて良い?」

「その辺は、ソウの裁量で構わないわ」


ソウと話していると、転移組のメンバーが寄ってきた。


「ハナノさん、パウンドケーキありますか?」

「ありますよ。1人10本まで、1本5万(スター)です」

「10本ください」「俺も!」「私も」


パウンドケーキを希望者に渡していると、遠くにいる人が目に入った。

国王夫妻とパープル侯爵が、貴賓席に居るではないか。

そりゃ訪問しても、ハイドランジアは居ないわけだ。


全員が希望したので、100本売れた。ユリの持っている在庫がかなり減り、ソウが心配したが、なんとか間に合った。


「他にも売れるものはありますか?」

「あちらに行って価値があるのは、時送り・世界樹様のクッキー 1枚2000(スター)です。これも10枚まで可能です」


10枚買っても2万(スター)なので、やはり全員が購入した。買い物に行く前に52万(スター)も支払っているが、あちらにいけば高く換金できるので、ありったけ持っていくのである。ユリは、ユリが売った分だけだと思っていたのだが、ユリが来る前に、ソウの持っている余分は既に買われた後だった。

店の営業日に買いに来れば、さらに10個ずつ買えたのだが、そこまでする人は居なかったようである。


「えー、皆さんに、餞別をなにか渡そうと思っていたのですが、こちらオリジナルのお菓子は、他には黒猫クッキーくらいなので、黒猫クッキーとカットしたパウンドケーキをお渡ししましょう」


紙袋に入れて、全員に配った。


前回、買い取られる前に食べてしまった人から「今回は、食わずに全部売るぞー!」と言う声が聞こえた。


「では、舞台に上がってください」


ぞろぞろと舞台に上がり、ソウが確認した。

全員が舞台に上がったことをユリも確認し、呪文を早口で唱えた。


「イタアシアヘク・イルバヰアッケキ・オデイナクヌュス」


全員が、クラっとよろけた瞬間、埃っぽい空気に変わった。


「さあ、つきました」


ソウビと一行が迎えに来ていた。今回は、カナデ・サエキもソウビに任せ、ユリは支払いとして、ソウビにパウンドケーキを渡した。


「皆さんもパウンドケーキをお持ちなので、買い取るなら、交渉してください」

「我々の買い取りでは安いので、ご期待に添えないかもしれません」

「あ、成る程」


ソウは、カエンとソウビにのみ、直接販売している。1本10万円だ。それ以外の人は、二人のどちらかから買うしかないのだ。ソウビから直接買える人は、それほど高くなく、最終消費者に渡る頃には、1切れが10万円になったりするのだ。


ユリとソウは皆と別れ、二人でソウの自宅に転移した。

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