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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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試食

食事が終わる頃、デザートと一緒に、ユメとキボウとハイドランジアが来た。


「ユリ、デザートはみんなで食べるのにゃ」

「たべるー!たべるー!」

「ユメちゃんとキボウ君は、持ち込みランチだったの?」

「キボウと同じものを鞄から出したのにゃ」

「おなじー!おなじー!」

「大変美味しゅうございました」


どうやらハイドランジアも、ユリが、ユメやキボウに持たせたランチを食べたらしい。


運ばれてきたデザートは、アイスクリームだった。うっすら緑色で、何か粒が入っていて、なんだか不思議な味がする。


「ユリ様、ユリ様がいらしているならと、こちらを料理担当の者が、よろしければお召し上がりくださいと」

「ん?あ、材料を当てるの?」

「はい」


ものすごく期待した目で見つめられた。

もう一度、しっかり食べてみる。

青臭いってほどではないけど、緑色の野菜が入っているのだと思う。あ!わかった。


「これは、アスパラガスかしらね」


正解を聞きに行くらしく、一人下がっていった。


「ユリさま、これ、おやさいなんですか!?」

「ほとんどはアイスクリームで、少しだけあとからアスパラガスを混ぜた感じかしらね?」


カンパニュラが驚いていた。


「枝豆かと思ったにゃ」

「枝豆だと、もう少しコクが有ると思うのよね」

「私は、野菜のアイスは南瓜(かぼちゃ)が良いにゃー」

「かぼちゃもアイスクリームになるのですか!?」

「南瓜は、プリンにもなるし、クッキーにもなるし、お菓子に使いやすいのよ」

「すごいのですね」


カンパニュラは、野菜がお菓子になると知らなかったらしい。


「南瓜や紫芋は、私が元いた国で、アイスクリームの味にありました。色も綺麗ですし、美味しいですよ」

「いつか機会があったら、食べてみたいです」

「わたしも、たべてみたいです」

「では、そのうち、お持ちしましょう」


サンダーソニアとカンパニュラが、喜んでいた。


「ユリ、開催日と作る物は決まったのにゃ?」

「再来週のEの日(だいちのひ)よ。4月23日ね。カラースワンと、琥珀糖を作る予定です」


ユリの言葉に、キボウが目を輝かせた。


「ユリー、キボー、てつだう?」

「あら、キボウ君 手伝ってくれるの?どうもありがとう」


キボウが何を手伝うのだろうとみんなが思ったらしい。ハイドランジアが質問してきた。


「ユリ様、キボウ様はお菓子を作られるのですか?」

「キボウ君は、時送りの魔法で、本来1週間かかる琥珀糖を、当日中に出来上がるようにしてくれます」


「す、凄いのですね・・・」

「本当に凄いのですよ。私では、キボウ君の使う時送りの短い1回分で、真似て倒れかけましたから。うふふ」


それでもなんでも、ユリも使えることをみんなが驚いた。


みんなで話していると、聞きに行ったらしい人が戻ってきた。すぐにサンダーソニアのお付きの女性に紙を渡していた。


「あ」


紙を読んだ女性が、少し笑っていた。


「どうしたの?何が書いてあったの?」

「はい。ユリ様、料理人たちは、‘’リラちゃん‘’が一緒に来ているものと思い込んでいたそうでございます。そして、今、どう償えば良いかと、悩んでいるようでございます」


「ん?なぜ? その手紙は誰からなの?」

「この手紙自体は、△□○からでございます」

「え?」


ユリの語録に無いために、言語化されなかった。


「ユリ、執事みたいなものにゃ」

「ユメちゃんありがとう。それで、なぜ償いが必要なの?」

「ユリを試したからにゃ」

「え?うーん・・・私は楽しかったわよ?直接伝えられないだろうから、そのうちリラちゃんに、直接伝えるために顔出してもらうわ。そう伝えてくれる?」

「かしこまりました」


急いでメモを取り、文章化していた。


「ところで、正解はどうなのかしら?」

「アスパラガスで、正解だそうでございます」

「いくつくらい試作したのかしら?むしろ聞いてみたいわね。うふふ」


きっと試作した中で、一番美味しくて、分かり難そうなものを持ってきたのだろうと思う。


「さ、デザートもいただいたし、そろそろ帰るわね。ローズマリーさんとラベンダーさんが、返事を待っていると思うしね」

「ユリさま、どうもありがとうございます!」

「ユリ様、どうもありがとうございます」


カンパニュラとサンダーソニアがお礼を言うと、ハイドランジアが立ち上がり、正式な礼をして挨拶してきた。


「ユリ様、サンダーソニアとカンパニュラをよろしくお願い致します」

「はーい。再来週、頑張りましょう」


ユリは、転移のために、ソウの部屋に案内してもらった。


「ユメちゃんとキボウ君は、一緒に来る?」

「いっしょ! いっしょ!」

「私も一緒に行くにゃ」


ユリが、二人の手を繋いで転移した。


「どこにゃ?」


いつもと違う部屋に転移したため、ユメが不思議そうに呟いた。


「パープル邸よ。私の部屋ですって。ユメちゃんも、使ってね」

「わかったにゃ」


ユメは少し安心したように、微笑んでいた。


ユリは、ローズマリーに開催日を知らせ、すぐにレッド公爵邸に移動し、ラベンダーに知らせ、責任を果たし、家に戻ったのだった。

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