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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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通達

朝食が終わり、誰も一緒に来ないと言うので、ユリは一人で行動することにした。転移のみなので、迷子になる心配がないのもあるのだろう。

キボウにのみ、お弁当を渡した。昼までに誰も帰って来られないからだ。

ソウは明日の準備で、ユメはハイドランジアのところに行くらしく、キボウはいつも通り世界樹の森だ。


まずはパープル邸に転移し、ソウの部屋のハンドベルを鳴らした。

直ぐに来たメイドに、ローズマリーに用が有ると伝えると、そのまま違う部屋に案内された。

あれ?なんだか来たことがある気がする? ユリが考えていると、案内されたのは、ここに泊まったときに使った部屋のようだった。


「こちらで少々お待ちください」


すぐに違うメイドが来て、お茶を入れてくれた。

オレンジの香りがする紅茶のようだ。


お茶を入れたメイドも下がってしまったので、ユリは手持ちのアマンドショコラを少しだけつまみながらお茶を飲み、ローズマリーを待った。


「大変お待たせいたしました!」


ローズマリーと一緒にサリーが来て、お茶請けらしいお菓子を置いていった。


「予告もなく来ているので、無理に急いだりしないでくださいね」

「ありがとうございます。専用厨房の掃除と片付けを指示しておりました」


要は、着替えに時間がかかったのだろう。


「忙しいところごめんなさいね。それで、用件は、アルストロメリア会の再開についてなんだけど、こちらの都合はどうかと思って」

「はい。ユリ様のご都合は、Eの日(だいちのひ)でお変わりございませんか?」

「その予定よ。ローズマリーさんの方で都合が悪ければ、Wの日(みずのひ)か、Sの日(おひさまのひ)でも可能だけど」

「ユリ様さえよろしければ、以前と同じ、Eの日(だいちのひ)が、間違いがなくよろしいかと思われます」


来る人が勘違いしたら気の毒だものね。とユリは納得した。


「一応、カンパニュラちゃんに聞くけど、来週か、再来週辺りで予定して良いかしら?」

「はい。お待ちしております」

「ラベンダーさんには直接声かけるわ。王宮から数人来てもらおうと思っているけど、その他の人選は任せるわ」


ラベンダーさんにはと、ユリが言ったときに、少し困ったような表情をしたあと、笑ったように見えた。


「かしこまりました。あの、ユリ様、移動の魔法は好きな場所を選べると、ホシミ様に伺ったことがございます。もしよろしければ、こちらの部屋を専用にお使いになられませんでしょうか?」

「え!良いの?」

「はい。お泊まりくださっても、ご休憩にお越しになられても、どうぞご自由にお使いくださいませ」

「ローズマリーさん、どうもありがとう! あれ?もしかして、ユメちゃんのお部屋もあるのかしら?」

「ユメ様には、お断りをいただきました」


ユリの部屋は、王宮と、レッド公爵邸にもある。しかし、ほぼ移動にしか使っていない。

現在ユメの部屋は、ユリとソウの自宅にしかなく、ユメの私物は自宅の部屋以外にはない。ユメが片付けたからだ。


ユリは、以前使った部屋だと思っていたようだが、実は、女性向けのインテリアの、来賓向けの最上級の部屋だった。ソウの部屋から見れば女性向けなので、以前使用した部屋と似ているが、家具や備品の質が違うのである。


「ユメちゃんも、ここに来るときは、ここに、この部屋に来るように言っておきますね」

「かしこまりました」


ローズマリーが、柔らかく微笑んだ。


「では、次の、ラベンダーさんのところに行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」

「どうもありがとう」


ユリは、転移で直接レッド公爵邸のユリの部屋に飛んだ。


部屋にあるハンドベルを鳴らすと、メイドではなく、ラベンダーが直接来た。


「ユリ様!お待ちしておりました!」

「・・・早いわね」

「はい。サリーから連絡をもらい、隣の部屋で待っておりました」


そういえば、ローズマリーのそばにいつもいるのに、サリーはお菓子を置いた後、席をはずしていた。

こんな理由だったのかと、ユリは少し笑いそうになった。


「なら、話は早いわ。来週か再来週に、アルストロメリア会を再開しようと思っているの。最終判断は、カンパニュラちゃんの予定だけど、あなたは大丈夫そう?」

「はい!もちろんでございます!毎週のEの日(だいちのひ)は、すでに空けてございます」

「あ、そうなの。それはどうもありがとう」


失礼致しますと声をかけられ、やっとお茶が届いた。


「それで、あなたは私の助手をするの?」

「はい。よろしいでしょうか?」

「私はありがたいけれど、無理しないでちょうだいね」

「スノードロップ様には負けられませんので、頑張る所存でございます」

「第二王女のスノードロップさん? あー、お兄さんと結婚したんだったわね。なかなか把握できなくて、頭がこんがらがるわ」

「他の方は、5年かけて覚えましたので、半年も経たないユリ様は大変かと思われます」


よく来ていたメンバーの嫁入り先などを説明してもらったが、そもそも名前だけで呼んでいて、領地名を呼んでいないので、覚えるだけ無駄かもしれないと気がついた。

アルストロメリア会の初期メンバーで婚姻がまだなのは、ラベンダーの妹のマーガレットだけで、他にユリが人物を把握していて婚姻がまだなのは、第三王女のサンダーソニアだけらしい。


アルストロメリア会の割烹着には、今でも名前と花の刺繍が有るらしいので、呼び間違えることもなさそうである。


「さ、お茶もいただいたし、お(いとま)して王宮に行ってくるわ」

「カンパニュラ様に楽しんでいただけますように、母とお持ちしておりますと、お伝えいただけますでしょうか」

「はーい。王宮の人も誰かつれてくると思うけど、メンバーが決まったら、ラベンダーさんとローズマリーさんにはしっかり伝えるからよろしくね」

「よろしくお願い致します」


「では、カンパニュラちゃんのところに行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」

「いつもどうもありがとう」

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