表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

438/690

塩漬

ベルフルールの仕込みが始まってしまうと、見ることができないと言われていたので、早朝からベーコン講座が始まった。現在朝6時である。

ユリの店の厨房に集まり、それは開始された。


「1kgほどの豚バラ塊肉を用意します。500gが2つでも良いです」


ユリは、2つと口頭で説明しながら、3つの塊を洗っていた。


「肉をきれいに水洗いします。血や汚れなどをきれいに取り除きます」


リラたちは各自2つずつ500gの塊をボールの水を変えながら洗っていた。


「ペーパータオルや、きれいな布巾などで、しっかり水分を拭き取ります。水分が残ると雑菌が繁殖し失敗します」


ペーパータオルがこちらにはないので、きれいな布巾と説明したが、今日はペーパータオルを持参し、まるごと配ってある。


「ミートルーズナーや、ミートテンダーや、ミートテンダライザー等と呼ばれる穴を開ける器具か、フォークやアイスピックなどで、肉に、均一にたくさん穴を開けます。この作業で、肉に塩が均一に行き渡ります」


ミートテンダーを持ち込み、3人にも配った。そのまま差し上げると言うと、喜んでいた。


「肉に塩をすりこみます。重量の2%が基本です。増やしても良いけど、減らさないでください」


全て、約500gなので、塩は10gだ。

ユリは、2つは10gをすりこんだが、1つだけ25gの塩と、ハーブをすりこんだ。


「大量に仕込むときは、そのまま桶などに入れますが、燻製室があるわけではないので、ラップフィルムに包み、ジッパーパックにいれ、空気を抜きます」


ラップフィルムを渡し、全員が肉を包んだ。ジッパーパックも渡し、中に入れ空気を抜いた。


「冷蔵庫に入れて、時々上下を返し、1週間ほど置きます」


ユリの店の冷蔵庫の端に、各自名前を書いてしまいこんだ。

ひっくり返すのは、各自に任せた。


「今日の作業はこれだけです。次は1週間後の土曜日(つちのひ)です。自分で作るときは、冬箱の維持を頑張ってください」


「ユリ様、何か、もう1つお作りになられていたのは何でございますか?」


作業していた場所が、ユリに一番近かったマリーゴールドが、帰る間際に質問してきた。


「あれね。あれはパンチェッタという生ベーコンを作る予定で、私も初めてなので、成功したら説明します」


シィスルとマリーゴールドは、開店の準備をしにベルフルールに戻っていった。


「リラちゃん、アルストロメリア会の再開のお知らせに行くけど、一緒に来る?」

「え、どことどこを回るんですか?」

「そりゃ、パープル侯爵邸(ローズマリーさん)レッド公爵邸(ラベンダーさん)王宮(カンパニュラちゃん)よ」


リラは悩んでいるようだった。


「ラベンダー様にはお会いしたいですが、今回は遠慮しておきます」

「あら、そう? じゃあ、私もソウも、明日は朝から居ないからよろしくね」


居ない理由は、リラにだけ説明してある。明日は転移組買い物ツアーなのだ。リラは転移組の複数人に会ったことがある。

イクラを食べて、マヨネーズを作ったときに、ハヤシとコバヤシに。餅搗(もちつき)をしたときに、イトウとサエキとモリとハナダに。


「ユメちゃんとキボウ君のご飯、こちらで用意しますか?」

「鞄には色々入っているから、ユメちゃんに任せるわ」

「直接声かけてみますね」

「ありがとう」


リラと別れたユリは、家に戻り、朝ご飯の用意を始めた。


「ユリ、おはようにゃ。何で白衣にゃ? 今日は何かあるのにゃ?」

「ユメちゃん、おはよう。今日は、ローズマリーさんと、ラベンダーさんと、カンパニュラちゃんに会う予定よ。明日は向こうへ行ってくるわ。鞄にもご飯は入っているけど、リラちゃんが、声かけるって言っていたわよ 」

「リラは休みなのにゃ?」

「そうみたいね。白衣なのは早朝からベーコンの仕込みをしたからよ」


ご飯が出来上がると、部屋に居なかったキボウがやって来た。


「ユリー、ごはんー?」

「ご飯できたわよ」


キボウはソウと一緒に来た。最近仲良しみたいで微笑ましい。


「ユリ、ベーコン用の肉、塩漬けしたの?」

「したわ。来週よろしくね」

「了解。燻煙器持ってくるよ」


ソウにベーコンの燻煙器を頼み、ユリはひと安心した。


「なにー?」


キボウが興味を持ったらしい。


「んー。ユメちゃんが作るピザトーストに入っていたお肉あるでしょ? それを作る相談よ」

「べーこん?」

「あたりよ。うふふ」


何か少し考えていたらしいキボウが、部屋の隅に有る木の舟から何か持ってきた。


「ユリー、これー」


渡されたのはいつもの木の実で、何か頼みたいらしい。


「キボー、べーこん、ほしー!」

「ベーコンが欲しいの? 世界樹様に持っていくの?」

「あたりー!」


「キボウ君、私にできることは、何かと引き換えなくても、頼まれるわよ? ベーコンが出来上がるのは一週間先だから、そのときで良いかしら?」

「わかったー」

「これ(木の実)いただいて良いの?」

「いーよー」

「どうもありがとう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ