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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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夏箱

食べ始めたとたん、キボウが騒いだ。


「ユメ、きたー!」


キボウの言葉通り、ソウとユメが帰ってきた。


「遅くなってごめん」「ごめんにゃ」

「出掛けていたの?」

「ちょっとな」


ユリが鞄から食事を出している間に、リラとイリスがお茶やカトラリーを用意してくれた。


「食べたい人は、茶碗蒸しもありますよー」

「キボー、くりー」「食べるにゃ!」


全員食べるというので、ユリが各人の好みの茶碗蒸しを提供した。


「ユリ様、これ、夏箱を持参していただければ良いのではないですか?」

「あーそうね。夏箱って、みんな持っているのかしら?」

「あれば便利と、すすめたら良いんじゃないか?」


「回った貴族家には、必ずありました。魔力があるなら使って良いわと、小型のものを貸してくださるお家が多かったです」

「へぇ。何に使うの?」

「濡れタオルを入れて、冬とか便利でした」


他に、時間的に食べられなさそうなときに、食事を一時的に保存するのに使っていたらしい。


「温かい物をそのまま持ち帰るなら夏箱で、冷たいのを持ち帰るなら冬箱ね」

「持ち帰ってから夏箱に入れたら、温まりますか?」

「そうね。30分くらい入れたら良いかしら?」


ユリが考えていると、ソウが助言してくれた。


「衛生的には、1時間以内に食べられるなら夏箱で、もう少しかかる人は冬箱で持ち帰るのが良いかもな。それで、6時間以内にお召し上がりくださいって、食べ方の説明をつけたら良いと思うよ」

「あら、なら、冷やすために一旦出すわね」


ユリは、持ち帰り茶碗蒸しの半数以上を取り出した。


「ユリ、冷たい茶碗蒸しは美味しいのにゃ?」

「私基準だと美味しいわよ。夏なんか、冷たいまま食べていたもの」


ユメがキボウと何か相談していた。


「ユリ、荒熱がとれたあと、何時間冷やしたら良いにゃ?」

「んー。荒熱がとれるのに30分。冷蔵庫に入れて30~60分くらいかしら?」

「キボウ、頼んだにゃ!」

「わかったー」


キボウは持ち帰り用茶碗蒸しを数個、「いちじかーん」と唱えた後、ユメに渡していた。受け取ったユメは、冬箱に充填し、もう一度キボウに頼んでいた。


「いちじかーん」

「キボウ、ありがとにゃ!」


キボウは冬箱ごと時送りをし、ユメに返していた。


「食べてみるのにゃ!」


ユメは、茶碗蒸しをリラとソウに1つずつ渡していた。


「キボウ、半分食べるにゃ?」

「たべるー」


リラはイリスとマーレイに分けながら食べているようだった。


「ユリ、俺一口で良いから貰って良い?」

「え?ユメちゃんは、ソウに渡したんじゃないの?」

「ユメも分けて食べているだろ?俺とユリで分けるって意味だと思うぞ?」

「そうなの?」


ソウは一口だけ食べると、残りを全部渡してくれた。


ユリは、食べたければ、いくらでもあるんだけどと思いながらも、ちゃんと自分の分の想定があったことに嬉しく思いながら、残りをいただいた。


「ユリ様、冷たいのはこれはこれで美味しいですね!」

「美味しいわよね。茶碗蒸しは、どんな状態でも美味しいわよね。うふふ」


ユリが笑っていると、リラがいきなり申し出た。


「あ!ユリ様、買い取りで、材料使っても良いですか?」

「構わないわよ」


リラは、百合根と蒲鉾と戻した竹の子を少し持ち出し、休憩に行った。


「13時までには戻ってくるにゃ!」


ユメもなぜか、外に出ていった。


今日はみんな忙しいのかしら?


ユリは休憩のために部屋に戻り、少し仮眠することにした。

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