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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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蒲鉾

ソウビと別れ、ソウと二人でソウの家に戻ってきた。


「ユリ、他に用事有る?」

「買い物は特に無いわね。カエンちゃんはどうするの?迎えに行くの?」


普段ソウが一人で迎えに行くことが多い。


「計算上、今月一杯くらいかかるんだろ?」

「そうね。名前を変えたものね。フル回復するのは王国に居る時だけだけど、それでもこちらでは、敵無し状態になるわね。敵が居るかはわかんないけど」


向こう(王国)なら魔力残0からでも30時間で全回復するが、こちらでは、向こうの半分以下である上限までの回復ですら、自然回復では約1週間かかるのである。以前のカエンは、それはそれは苦労していたのだ。


「カエンは自分のレベル上げが終わっても、弟について来ると思うぞ?」

「確かにそうね」


カエンが弟を可愛がっているのは、誰が見てもわかる程だ。

ただ、(よう)は、毎週は参加していない。さすがに学校や友達との用事があるようだ。


「そういえば、深森さんの魔力は上げなくて良いの?」

「深森な、月見に婿入りすると、名前(植物名)が残らないんだよ」

「あー、確かに。セカンドネームで、元の名字残したらどう?」

「あー、それカエンに言っておくよ」


カエンの婚約者の深森は、使える術こそ無いが、一族なので、魔力があり、訓練さえすれば、なにか術が使える可能性が高い。カエンの弟の(よう)のように、ユリに習えば、なにかしらの魔法が使えるようになることだろう。


「今日は、何時にするかを聞きに行きましょうか」

「そうだな」


毎週水曜日に王国に来て、木曜日の朝に帰る生活を、カエンは続けている。


まだ少し時間が早いので、ユリはこちらに用事がなかったか、よく考えてみた。

いつでも来られるが、ユリは滅多に来ないのだ。


「あ!そうだわ。百合根と銀杏(ぎんなん)と栗の甘露煮が欲しいわ!」

「何に使うの?」

「茶碗蒸しよ。関西風、関東風、東北風ね」

「普通銀杏(ぎんなん)だよな? 百合根は入っているの見たこと有るけど、栗の甘露煮って、甘いのが茶碗蒸しに入ってるの?」

「そうなのよ!東北で初めて食べた時は驚いたわー」


ユリは数種類作って、リラたちに味見させて、売り出すものを決めるつもりなのだ。


「他は一緒なの?」

「九州の何処かでは茶碗蒸しに、じゃがいも、ごぼう、こんにゃく、はんぺん、ねぎとか入っているらしいわよ。食べたこと無いけどね。他に変わったところだと、うどんが入っている地域もあるのよ」


ちなみに、うどんが入っていると卵感が減るので、茶碗蒸しが好きすぎるユリには、食べた気がしないのである。


「地域によって色々なんだな。他の具は何入れるの?」

「竹の子、椎茸、蒲鉾、鶏肉、三つ葉の予定よ。あ、柚子でも良いけど」


ソウは、三つ葉が苦手である。あえてそこには触れず質問してきた。


「蒲鉾、入れちゃって良いの?」

「あ、そうか。どうしよう」


海産物は、欲しいと言う人が出てきたときに、対応するのが色々面倒なのだ。


「まあ、海老入れるよりは良いんじゃない?」

「海老って下処理面倒だし、慣れていない人には生臭いし、そもそも入手確実かわからないし、そうよね!蒲鉾入れちゃいましょ!」

「なら、百合根と銀杏と栗の甘露煮と蒲鉾買いに行こうか」

「とりあえず、試しに作るだけだから、少量で良いわ」


百合根と銀杏も、王国に食べる習慣があるか、わからないのである。

二人は一般のスーパーに行き、とりあえずの材料を買ってから、ソウの家に戻ってきた。


「竹輪も買っていたけど、何に使うの?」

「リラちゃんに、磯辺揚げを作る約束をしたのよ。蕗の薹の天ぷらの時」

「お、良いねえ。だから生海苔も買っていたのか!」

「美味しいものね。うふふ」


そうこうしているうちに、迎えに行くのに早すぎるという事もない時間になった。


「さあ、カエンちゃんを迎えに行って、家に帰りましょう」


カエンを連れて家に帰り、ユリは早速茶碗蒸しを作るのだった。

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