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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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木犀

市場につくとユリは、あちらだったかなあ?と思いながらも動かなかった。


「ユリ、花屋で良いんだよね?」

「そうよ」

「花屋なんてあったのにゃ?」

「入り口は、たくさんのクチナシとバラのアーチがあって、背の高い植物で囲まれているから、中まで入らないと花屋さんだってわからないわ」


ユメは、青空市(あおぞらいち)の場所は知っていたので、ユリの説明でわかるかと思ったら、花屋の場所は心当たりがないらしい。


「そんなに遠くないよ」


ソウが笑いながら言っていた。


少し歩くと、以前見た景色の場所についた。まだ早いため、クチナシは咲いていない。だが、前回は見られなかった、アーチの薔薇が咲いていた。アーチは、モッコウバラだったらしい。


「ここは来たことがないにゃ」

「いっぱーい、いっぱーい」


緑が多いので、キボウは嬉しいらしい。


「あれ?良い香りがするにゃ」


みんなでキョロキョロすると、もう終わりかけた沈丁花(じんちょうげ)が見えた。


「沈丁花ね。前回は完全に葉っぱだったから、気がつかなかったわ」

「クチナシと、沈丁花か。なら、金木犀(きんもくせい)もありそうだな」

「んー。あれかな?」


ユリが見回して指差した方向には、大きな木があった。


「花がなくてもわかるのにゃ?」

「花は、9月から10月くらいに咲くけどね。前に住んでいた所にたくさん有ったから、間違っていないと思うわ」


ユリがユメと話していると、ソウが何か考え込んでいた。


「ソウ、どうしたの?」

「あれ、俺が持ち込んだかも」


金木犀を指差し、ソウが答えた。


「え?いつ?」

「ここに来てすぐの頃」

「えーと?」

「10年いや、15年前。当時2m弱だったから、多分」


今の金木犀は、3m以上有るように見える。


ソウに話を聞くと、やはり、クチナシと沈丁花が植わっているのを見て、金木犀が足りないと発言してしまったため、責任をもって持ち込んだらしい。


昔話を終了させ、バラのアーチを潜った。


「チューリップにゃ!」


鉢植えのチューリップが、たくさん並んでいた。オーソドックスな感じの、派手に改良されていない、色とりどりのチューリップがひしめいている。


「まだ蕾のもあるわね」

「ユメ、欲しいのを選ぶと良いぞ」

「ありがとにゃ!」


ユメはキボウに聞きながら、チューリップを選んでいるようだった。


「野菜の苗はないのね」


見渡すと、ハーブはあるが、基本は花ばかりだ。


「農家でもないと、野菜は植えないからな」

「以前は、どこからもってきたの?」

「注文しておくと、取り寄せてくれるよ。それでも無い物は、向こうから持ってくる」


ユリは、欲しいものを考えた。


「青紫蘇、唐辛子 、ミニトマト、枝豆、胡瓜(きゅうり)、パセリ、ミントかな」

「枝豆だけむこうから持ってくる。あとは、注文しておこう」

「枝豆無いの?」

「とりあえず見たこと無いよ。大豆はあるけど、品種違うよね?」

「そうね。違うわね」


ユリとソウが枝豆について話していると、ユメとキボウがニコニコとして聞きに来た。


「何個買って良いにゃ?」

「面倒見る限り、何個でも、何買っても良いわよ」

「届けて貰うから、店に言っといてくれ」

「わかったにゃー」


ユメとキボウは、何かたくらんでいるのか、二人で楽しそうに笑っていた。



「そういえばユリ、ブルーベリーって買わなかったっけ?」

「あれねー。クチナシの横に植えたら、枯れちゃったのよ」

「なんで?」

「ブルーベリーって、酸性の土に植えないといけなかったみたい」

「へえ」

「ちなみに、クチナシも酸性の土らしいけど、ブルーベリーほどじゃないみたいでね」

「ちゃんと調べないとダメだな」

「そうね」


ユリとソウは、注文と配達の手続きをし、支払いをして戻ってきた。

すると、人だかりがあり、あきらかに中心にいるのは、ユメとキボウだった。


「ユメちやん、キボウ君、何してるの?」

「キボウが、弱ってる植物の説明してるにゃ」

「これー!これー!すこしー」


並べられたものを指差し、量などを指示しているらしい。


「ユメ、代わるか?」

「大丈夫にゃ。少し待っててにゃ」


少し待っていると解説が終わったらしく、ユメとキボウは、お礼を言われ、戻ってきた。


「お待たせにゃ」

「有るものは、明日配達してくれるらしいぞ」

「良かったにゃ。楽しみにゃ」

「たのしみー、たのしみー」


何も聞かなかったユリとソウは、明日、驚くことになるのだった。

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