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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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錦玉

「おはようございまーす!」


ユリとソウと二人で朝ご飯を食べていると、下からリラの声がした。


「今日、リラ手伝うの?」

「その予定はないけど、とりあえず見てくるわ」


ユリが見に行くと、リラだけではなく、シィスルとマリーゴールドまで来ていた。


「三人揃って、どうしたの?」

「ユメちゃんのお誕生日のお祝いをお持ちしました。14時過ぎにも来て、お花はその時お渡しします!」


ユリの結婚式の時と同じような籠入りの果物と手紙を置いていった。


ユリは急いで階段を上がり、ソウに質問した。


「ソウ、もしかして、これ、結婚式のお祝いの再来?」

「あ、うん、そうかも」

「ソウ、今日は忙しい?」

「いや、ユメの誕生日を祝うつもりで、休みにしてあるよ」

「きっと人がたくさん来るから、下に居ましょう」


途中の朝ご飯をもって、ユリは階段を下りていた。


「おはようございます!」


レギュムとクララだった。急いで階段を下り、手に持ったご飯をテーブルに置き、対応した。

やはり籠入りの果物と花と手紙を渡された。

ユリはハッと思いだし、昨日リラと作っておいた お祝い返しをレギュムとクララに渡した。リラたちには渡し損ねていた。


「ユリ、さっき渡していたセットは、何が入っているの?」

「黒猫クッキー、黒猫ラスク、猫型ラムネ、夢の瞳色の琥珀糖よ」

「最後の何?」

「ソウがくれた宝石の『夢の瞳』のような、水色から青紫色した、寒天ゼリーのようなものよ」

「琥珀糖はわかるよ。いつ作ったの?」

「1週間前、先週の土曜日の朝ね」


琥珀糖は、仕上げに時間がかかるのだ。

ユリは琥珀糖を持ってきた。


「これ、簡単だからと思って一人で作ったら、昨日袋詰めのときにリラちゃんから、新しいものは誰かが居るときに作ってください!って、怒られちゃったわ」

「ははは。理由がリラらしいな」

「口頭で説明が終わるのよ。だけど、昨日も作ったわ。うふふ」


作ったと言っても、まだカットをしていない。リラは、カットはどうするつもりなのだろうと、ユリは悩んでいた。


「おはようにゃ。何で店にいるのにゃ?」

「ユメちゃんのお誕生日の御祝いを持ってくる人がたくさん来ると思って。ユメちゃん、朝ご飯何か食べる?」


ユメはテーブルにのった籠を見つけたらしい。


「もう、来たのにゃ?」

「リラちゃんたちと、レギュムさんたちよ」


キボウも階段を下りてきた。


「ユメ、いたー!」

「キボウ君も何か食べるわよね?」


ユメとキボウに朝ご飯を出し、お祝い返しの説明をした。


「綺麗にゃ」

「いしー?」

「これはお菓子よ」


キボウは、琥珀糖を食べられるとは思わなかったらしい。

ユリが食べて見せると、かなり驚いていた。


「ユメちゃんの瞳の色のお菓子よ」

「ユメだけー?」


少し落ち込んだキボウが、琥珀糖を羨ましそうにユメの瞳と見比べていた。

エメラルド的な色の琥珀糖は思い付くが、少し色が違うのだ。キボウの瞳を宝石に例えると、エメラルドよりペリドットが近い。


「ペリドットみたいな琥珀糖は作れないの?」

「抹茶だと濁っちゃうし、黄緑色って何かないかしら?」

「私の瞳の色の琥珀糖は何で色付けしたのにゃ?」

「濃いバタフライピーと、薄いバタフライピーと、少量のハイビスカスティーね」

「くちなし混ぜてもダメなのにゃ?」

「そうね。それで作ってみるわ」


ユリが作り始めると、面白がって、全員手伝いに来た。


「色々な色で作ろうぜー」

「面白そうにゃ!」

「お好きにどうぞ。ふふふ」

「キボーも、キボーも」


各自が好きな色で作り、寒天液を流し入れたトレーを冬箱に入れ、冬箱ごとキボウが時送りした。固まったものを前にユリが仕上げを説明する。


「手で千切るように分けるんだけどね。適当な形が難しかったら、ナイフでカットしても、クッキーの型を使っても良いのよ。これを、たまに上下を返しながら、一週間ほど乾かせば出来上がりよ」


説明しながらユリは、クッキーの型や、たくさんの六角形が切れるハニカム型を持ってきた。


「ユリー、いっしゅーかんー?」

「あー、えーとね、乾かしながら、ひっくり返すので、1日、1日、1日、2日、2日かな?」

「キボー、いちだけー」


1だけ?単位が何であろうと、1回なのかしら? それとも、1が付く単位のみってことかしら?ユリは良くわからなかったので、聞いてみた。


「1が付く時間だけってこと?」

「あたりー!」


ドライフルーツを1か月 時送りしてもらった事が有ったので、そんな縛りがあったなんてと、みんな驚いた。


「ひっくり返しながら、7回時送りしても大丈夫?」

「へーきー」


みんなが好きにカットした琥珀糖を、キボウに時送りしてもらいながらひっくり返した。


「いちにちー!」


ひっくり返したとたんに キボウが唱えるので、休む暇もなく、慌ただしく、琥珀糖を作った。


「ユリのは何か入ってるみたいに見えるけど、何が入ってんの?」


ユリの手元をソウが覗き込んできた。


「ごく細切りの柚子の皮よ。ルチルクオーツ風よ」

「そんな手が!」


あとから知って、少し悔しいらしい。


「食用の金箔を入れるって方法もあるわよ」

「琥珀なんだから、いっそ虫型の何かを、」

「それ、美味しくなさそうにゃ」

「まあ、そうだな」


「先に作っておいた、小さめのハート型とか、星形とか、色を変えて入れたり、金魚や魚でも面白いわよ。その場合は、カットするんじゃなくて、1つずつの 型に流した方が、綺麗に出来るわ。そもそも、()錦玉(きんぎょく)だからね」

「ほしきんぎょくにゃ?」

「干し金魚食う?」

「きんぎょー?」

「和菓子に、あんこの入っていない水羊羹みたいな、細工物の寒天で出来たお菓子があるでしょ?あれが、錦玉(きんぎょく)よ」


ユリが説明すると、ソウは何か思い付いたらしい。


「ユリ、九龍球作ったときの丸型は?」

「有るわよ。もう1つ作るの?」


ソウは、もう一度作るらしく、量り始めた。

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