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アルストロメリアのお菓子屋さん  ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
1章

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厨房

一週間後。


やはり8:30頃、マーレイが迎えに来た。

今日はゼリーを教える約束の日だ。


ゼラチン持ったし、割烹着持ったし、よし、大丈夫。

今日はソウは忙しいらしいから、ユメちゃんだけ一緒ね。


「ユメちゃん、よろしくお願いします」

「にゃー!」


今日はクーファンの中で起きているらしい。


15分程度なのですぐに到着する。

マーレイが扉を開け、降りるのに手を貸してくれた。


またまた総勢でお出迎えだ。

パープル侯爵はソウが居ないのを見ると、あからさまに安堵した表情をしていた。


ソウをおいて猫だけ来る方が不自然じゃないかしら?


「こちらへ」


案内され付いていくと、前回とは違う建物だった。


前回はパープル侯爵が「調合室」って言っていたけど、今回はどこかしら?



びっくり、設備がまんま厨房だった。結構広い。

しかも、この二週間で建てたらしい。


窯、バーベキュー台(コンロ)、大きな作業台が3つ、水桶、大きめ冬箱、大きめ真冬箱。

沢山の鍋や器具類。


少し高さがある場所の作業台のそばに不自然な低い台。

なんと、ユメちゃんのクーファンを置く台だった。


ユメ様をこちらへ、と言われたときは聞き返しそうになったよ。


しかも、割烹着モドキまで準備していた。


バーベキュー台についている男性は調理補助の人かな?


聞くと、なんと料理長らしい。

長がついても下働きなの?と思ったら、多くの希望者の中から勝ち取ったのだそうで。


今日は料理はしないけど良いのかしら?


全員がドレスの上に割烹着を着ているという集団はちょっと面白かった。


さて、取り出したるは粉ゼラチン。

業務用大袋もうちに有るけど、今日は家庭用小袋入りを持ってきた。8箱ほど。

1箱を開けて、1箱と1袋ずつ配る。10袋入りなので、2袋余る。じっと見つめてくる料理長に根負けして、残る2袋を差し上げた。


踊り出しそうに喜んでいた。

流石にこの人はこの場で踊らなかったけど。

心では踊っていたと思う。たぶん。


「ご一緒にどうぞ、小ボールに、ゼラチンの5倍の冷たい()に、ゼラチンを入れふやかします。

今日使うのは粉ゼラチンですが、板ゼラチンの場合は、たっぷりの冷たい()に入れてふやかし、水気を切って同じように使います」


ゼラチンを水につけたあと、全員が真剣に聞いて頷いている。


「牛乳の3分の1から半分くらいを鍋にいれ、80度くらいまで温め、砂糖を溶かします。

全部温めないのは、あとから冷やすのを早めるためです。ただし、生の果汁を使用する場合は、全部加熱して冷やしてください」


「加熱するものによって違うのですね」


「はい。生の果汁の成分によっては、ゼラチンが固まらなくなることがあります。

では、ふやけたゼラチンを加え、しっかり溶かします。溶けたら網で()します」


「なぜ、網で濾すのですか?」


「砂糖やゼラチンの溶け残りがあると食べたときの口溶けが悪くなるからです。

残りの牛乳と酒を加え、手早く混ぜます。

冷やし固める容器に注ぎ、飾りのフルーツ等を加え、冬箱で冷やします。固まれば出来上がりです」


「今日は簡単ですね」


「はい。あ、フルーツは、生のままだと使えないものもあるので、心配な場合、加熱してから使ってください」


実践していない料理長は、懸命にメモを取っていた。


そんなに書くことあるかしら?


洗い物も免除らしいので、そのままお茶会に突入した。


割烹着脱ぐだけだし。



開口一番の話題が、支払いについてだった。

なんの?と思ったら、前回の食事代らしい。


普段、ご婦人は財布を持たないので失念していたとパープル侯爵が謝っていた。


いやいや、こちらへ来たときに御馳走になったし、そもそも招待したのだからと断ったが、食事の提供を仕事にしているのだから受け取らないとダメだと言われた。


まあ、そういう考え方もあるけど。


お土産も有ったから一人辺り3000☆位は受けとるべきだと言われ、

お土産代金まで請求するってどんな鬼畜よ?と思ったのはうっかり声に出さずに飲み込んだ。


次回来たときから支払ってくださいと強引に話をまとめてなんとか終了した。


次回は限りなく無いだろうし。



パープル侯爵が退場すると、次回のアイスクリームの話になった。


人数分のメモを渡し、説明する。


◇ーーーーー◇

生クリーム

牛乳

卵黄

グラニュー糖

お好みで、酒や香料等


金属製の容器

ボール

ホイッパー

スパテラ

スプーン(またはフォーク)

漉し網

真冬箱

清潔な布巾


氷水

◇ーーーーー◇


「これは基本の材料なので、途中でココアを加えたり、ラム酒漬けのレーズンを後から加えたり、色々応用ができます」


「このために、大きい真冬箱をお願いしましたの、ほほほ」


そうだろうと思った。

先週食べさせておいて大成功ね。


2時間も話せばミルクゼリーが固まるので小皿をもらい、ユリの作った分のゼリーをみんなに分けた。


つるんとしてお口の中で溶ける。


「なんですのー!」

「溶けてしまったわ!」


「水分を増やせば柔らかく固まり、減らせば固く固まります。

限度はありますが、好きな固さに調整してみてください」


「それで沢山くださったのですね!」


「ゼラチンは料理にも使えます。液状のソースなどをゆるめのゼラチンで固めれば、皿は濡れていないのに、お口のなかで溶ける。不思議料理が作れます」


まあ、国産ゼラチンはまだ先だろうし、今渡した分しか作れないだろうけどね。


今回はみんなも食事をせずに帰ることになった。

その理由は、早く家に帰って作ってみたいからだと思う。


そして、お約束的に7万☆ 渡された。

やっぱり食事代要らないじゃん。

↓実際の配合はこちらへ↓

https://ncode.syosetu.com/n6193ha/

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