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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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魔力

カエンには、問題ないと説明し、安心させた。

それはともかく、そろそろ12時になるが、みんなが来ない。


「そろそろご飯にしたいけど、みんな来ないわね」

「ベルフルールの牛乳の影響でしょうか」

「そうかもしれないわね」


それにしても、マーレイとイリスだけでなく、ソウとユメも来ない。

そんな心配をしていると、示し合わせたかのように、みんなが次々と来た。


「遅くなりまして、申し訳ございません」

「遅くなりましたー」

「ただいまにゃ!」

「ただいまー」

「キボー、きたー」


マーレイ、イリス、ユメ、ソウ、キボウの順に厨房に顔を出した。


「マーレイさん、聞いてるわ。牛乳探してたんでしょ? 私の注文分に急ぎはなかったから、大丈夫よ。イリスさん、無理しなくて大丈夫よ。ユメちゃん、ソウ、お帰りなさい。キボウ君、そろそろご飯よ」


ユリは魔道具の鞄から、チューリップ唐揚げをだし、お昼ご飯を用意した。


「カエン、何時に送れば良いんだ?」

「お兄様、19時までに送っていただければ結構です。お夕飯は帰ってからいただく予定でございます」

「了解」


ユリは大皿を持って、みんなを回った。


「唐揚げは、おかわりがありますよー」


100本作ったので、まだ余っている。ソウには最初から10本配り、他の人には7本ずつ配ってある。

それでも34本ほど有るのだ。


「スープもおかわり有るにゃ?」

「スープは厨房にあるわ。飲んで構わないわよ」


ユメはスープのおかわりを取りに厨房へ行った。


「ユリ様、今日のサラダのドレッシングはなんでございますか?」

「青じそドレッシングね。大葉10枚、醤油40ml、米酢40ml、上白糖7.5g、出汁(だし)50mlを、大葉をみじん切りに刻むか、ミキサーで粉砕して混ぜるだけよ。出汁の量は、かけるものによって加減してみてね」

「ありがとう存じます」


ドレッシングを聞かれ答えると、マリーゴールドは手元のノートに、すぐにメモしていた。



休み時間が終わり営業開始になると、お店はすぐに満席になり、ユリとマリーゴールドは暫くお店の注文に集中し、最初のピークを乗りきった。


「マリーゴールドちゃん、アイスクリームのバニラか桃、任せて良い?」

「はい!バニラ作っておきます。桃は教えてください」


作ってある分だけでは足りなさそうなので、用意していると、イリスが相談に来た。


「ユリ様、あられを売って欲しいと複数人からご注文いただきましたが、どうしたらよろしいでしょうか?」


あられ、初出ではないのに、人気なのね。


「ん?どっち?」

「別々の人ですが、双方です」


餅を切って乾燥させたものは、鞄に在庫が有るが、ポン菓子は全部使ってしまったのだ。


「しょっぱい方はすぐ作れるけど、甘い方は、今日は今あるだけしか材料がないのよ。しょっぱい方だけ作りましょうか? 甘い方は後日対応ね」

「はい。伝えて参ります」


イリスが戻っていくと、入れ替わるようにユメが来た。


「ユリ、桃のケーキは、持ち帰りしかダメなのにゃ?」

「店で食べても良いけど、店では切り分けないわよ?」


大きい方のココットに入っているので、店で分けるのは不可能なのだ。


「大丈夫にゃ。持ち帰りを見てから、一人で食べられるって言ってるにゃ」

「なら、提供して構わないわ」


ユリとしては、一人で食べきれない量なのだが、甘いもの好きな人なら、少し多めかな?程度である。


「ユリ御姉様、どのくらい手伝ったら、来週こられますでしょうか?」

「え! カエンちゃん、そんな理由で手伝ってたの!? 大丈夫よ。何とかするから。鞄に作ったものを入れるから、大丈夫なのよ」


実際、ユメが残るなら、鞄の中身も取り出せるので、ソウの鞄を置いていけば、出来立て料理には困らないのだ。

そこへキボウが何か持って来た。ユメも飲み物を取りに来ていて丁度厨房にいた。


「ユメー、これー」

「鞄にゃ? メイプルから預かったのにゃ?」

「ユメー、かばんー、メイプルー、ありがとしたー」


あ、通訳がいない。

ユリもユメも慌てたが、鞄の中に手紙が入っていた。

手紙には、持ち込んだ時を止める魔道具は、ひとつで足りそうなので、鞄をお返しする。という旨が書いてあった。


どうやらキボウは、毎日午前中に、世界樹の森に顔を出しているようで、ものすごく働いてくれているらしい。


「キボウ君、どうもありがとう」

「キボー、えらいー?」

「とても偉いわー。とても助かるわー」

「キボー、えらーい、キボー、たすかるー」


あれ? 少し意味が変わっちゃうような。ユリはキボウの言葉にふふっと笑い、あることを思い付いた。


「マリーゴールドちゃん、試してもらっても良いかしら?」

「はい。なんでございますか?」


ユリの鞄は使用者制限がついているので、返してもらったばかりのユメ用のリュック型の魔道具の鞄に、適当なものを入れ、マリーゴールドに渡した。


「中を見て、中身を取り出せる?」

「はい。試してみます」


マリーゴールドは、鞄に手を入れ、笑顔になった。


「クッキーと、お皿が入っています。・・・取り出せました!!」


マリーゴールドはクッキーを取りだし、ものすごく喜んでいた。


「次は、これは中身は出せないと思うけど、持ち上げられる?」


ユリの鞄を渡してみた。魔力が1万p以上無いと、200kgを越えるのだ。中身が重いのは主に、果物と、パウンドケーキ等の在庫と、お弁当としての食事が入っているからだ。


「はい」


少し気負って持ち上げたマリーゴールドだが、思いの外 軽かったらしく、驚いていた。


「軽いです! 持ち上がります!」


これで、来週ユリが少し抜けても安心だ。

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