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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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猫尽

いよいよお店の開店時間になり、猫尽くしの「猫の日」が始まった。


予告通りリラは店に行き、注文を聞いているらしい。勿論、猫耳をつけたままだ。

ユリはイリスに強制する気はなかったのに、イリスも猫耳をつけていた。


「イリスさん、無理して猫耳つけなくて良いですよ?」

「え? 面白いと思いますが、似合いませんか?」

「無理していないなら、良いです。とてもお似合いだと思います」


実際、着られてる感がなく、堂々としているので、あまり違和感がない。こういうものは、恥ずかしがるとむしろ目立って、堂々としていると違和感を感じなくなるものなのかもしれない。


ユリは、猫耳カチューシャを持ち込んだ張本人なので、三角巾の手前につけることにした。


「ユリー、ねこー!」


早速キボウに見つかり、キボウは猫仲間が増えて喜んでいた。


「あ、あの、ユリ様、(わたくし)も、つけた方がよろしいでしょうか?」

「マリーゴールドちゃん、今日仕事じゃないから、悩むまでもなく自由で良いのよ。そして、仕事だとしても、嫌なことは断って良いのよ?」

「はい。ありがとう存じます」


ユリは、最初の注文をさばいたあと、いつもの世界樹様のクッキー生地を仕込み、猫型で抜き、焼いた。

顔部分に抹茶のアイシングを塗り、耳部分に白いアイシングを塗り、以心伝心でキボウを呼んだ。


『キボウ君、お手伝いお願いしまーす』


すぐに来たキボウは、緑猫のクッキーを見て、喜んで時送りをしてくれた。


「みどりねこー!」

「味は同じよ。スタンプはどうする?」

「いらなーい」

「一枚2000(スター)で売ってきてね」

「わかったー!」


少し手の空いた頃、ソウから聞かれた。


「ユリ、残ってる猫耳カチューシャは、どうするの?」

「誰か欲しい人いるかしら?」

「全てが付くセットを作って、おまけにでも付けてみれば?」

「そうね。そうしようかしら」


実は、猫耳カチューシャを注文するとき、ユリは3個のつもりで3セット注文し、36個届いたのだ。

尻尾つきセットと、尻尾無しセットがあり、尻尾は要らないわねと思いながら、入り数を見落としてしまった。使用しているのは5個だけなので、31個も余っている。


「マリーゴールドちゃん、つけなくて良いけど、欲しくない?」

「あ、はい、あの、ユメ様の色のを、おひとついただいてもよろしいでしょうか?」

「良いわよ。早めに抜いておいてね」


飲み物を作りに戻ってきたリラに、ソウが提案したセットを作ることを話した。


「うわー!売れそうですね。どうなってるの?などと聞かれ、かなり好評です!」


好評なんだ。良かった。と、ユリはひと安心していた。


「シィスル、お店来てみる?」

「ユリ様、見てきても良いですか?」

「構わないわよ」


シィスルは、リラが作った飲み物を持って、店に顔を出しに行った。


入れ替わりに、ユメが戻ってきた。


「キボウの売ってるクッキーは、時送りのクッキーにゃ?」

「そうよ。一応キボウ君に、2000(スター)で売ってねって言ったけど、なんかトラブルがあった?」


「リラとイリスの『赤猫』も作ったら良いにゃ」


リラとイリスは、赤みが強い茶色の髪色をしている。


「赤色の何かを作っておくわ」


急いでリラの華用の赤い生地で猫型クッキーを焼き、耳だけ薄茶色のチョコを付けた。見ていたマリーゴールドが、面白がって手伝ってくれた。


飲み物を作りに戻ってきたリラと、注文を運ぶために来たイリスに渡すと、物凄く感激して大喜びだった。


「ユメちゃんの提案よ。300(スター)くらいで売ってください。イリスさんとリラちゃんの裁量で配っても構わないわ」

「ありがとうございます!!」

「自分の分を残してもよろしいですか?」

「どうぞー」


ユリは、シィスル風と、マリーゴールド風の猫型クッキーも作り、本人に渡した。シィスルは、ユリより濃い茶髪で、マリーゴールドは、落ち着いた金髪だ。耳だけチョコを付けて仕上げた。


「ユリ、俺をイメージしたら、どんなクッキーになるの?」


ソウが、とんでもないことを言い出した。ユリは、味には自信があるが、デザインはからっきしなのだ。

物凄く考えた末、黒猫に白目を作り、黒い瞳の黒猫を作った。ちょっと吊り目ぎみ。


「こんなんで良い?」

「あ、ありがとう」


何で猫なんだろう?猫限定なのか? ソウは思ったけど、言わなかった。

ユリにしてみれば、みんなの猫クッキーを作った流れで聞かれたので、自分風の猫クッキーが欲しいのだろうと考えたのだ。


ユリは気を使って、マーレイ風の、濃いめの茶髪色の猫クッキーも作って、本人に渡した。これはみんなと同じ、目がついていない耳だけチョコつきのクッキーだった。


猫耳カチューシャつきフルセットは、告知と同時に完売した。キボウの猫バージョンクッキーの「緑猫」も売り切れ、リラとイリスの赤猫クッキーも好評だった。ラムネの継続販売も頼まれ、しばらく売ることになったのだった。


猫尽くし「猫の日」は、大好評のうちに終了した。

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