買出
「ユリ様、持ち帰りのみ希望の方に、売ってしまってもよろしいでしょうか?」
「はい。品物はもう決まっていますか?」
「生チョコ全種類と、何か新しい物を、とのことです」
イリスが戻ってきて、注文を取ってきたと言っていた。
「ユメちゃん、黒猫サンド売ってきてもらえる?」
「任せるのにゃ!」
生チョコ全種類を3組持ったイリスに、ユメが付いていった。
一緒に行こうとしたシィスルに、キボウが近寄って来たので、シィスルは、キボウの話を聞くことにしたらしい。
「シィスルー。キボー、クッキー、トマトー!」
「え? トマト味のクッキーですか?」
「トマトだめー? キボー、クッキー、イチゴー!」
「イチゴ味なら、美味しく作れます!」
「キボー、イッチゴー! キボー、イッチゴー!」
キボウは楽しそうに、歌って(?)いた。
「ユリ様、抹茶味のラング・ド・シャ生地で、イチゴ生チョコをサンドした、世界樹様のクッキーと同じような形のクッキーを作ってもよろしいでしょうか?」
「良いわよ。大きさは、他のに合わせてね」
「はい!」
全員戻ってきて、ようやくお昼ご飯を食べ始めた。
「黒猫サンド、大人気にゃ!」
「外のおやつも凄かったもんな」
「バレンタイン特別の、王国型ラング・ド・シャも、大変好評です」
「よかったわー」
思い出したように、シィスルから質問された。
「ユリ様、好きな人にチョコをあげる日と、外のメニューに書いてありましたけど、自分用を買っても良いですか?と聞かれました」
「もちろん良いです。今日しか出さない種類もあるので、食べたい人も、あげたい人も、買ってください」
「リラさんに聞いたのですが、冷凍すると、長持ちするのですか?」
「密閉容器やビニール袋に入れないと乾燥してしまうけど、冷凍すれば、半年でも問題なく食べられるわね」
「では、お酒無し苺を、」
「食べ続けるのでなく、半年後なりに、誰かに届けたいとかなら、そのときに作ったら良いと思うわよ?」
「あ・・・。そうします」
親戚のちびっこに、食べさせたいらしい。
魔力も増え、真冬箱への充填すらも楽々なので、夏休みの帰郷時に、持ち帰るつもりのようだ。
「では、13時から、皆さん頑張りましょう」
ユリの挨拶で、全員休憩に入った。
休憩に行き、しっかり仮眠して早めに戻ると、リラがいて驚いた。
「リラちゃん、今仕事中じゃないの?」
「はい。1分で戻ります。キボウ様のラング・ド・シャの型、私が作っても良いですか?」
「私は構わないけど、シィスルちゃんはそれで良いの?」
「私が頼みました。そしたらリラさんが、頼まれたのは私だから、ユリ様に聞かないと作れないとおっしゃって」
「二人の中で解決していることなら、私は構わないわ」
「はい。では、うちの休み時間にまた来まーす!」
リラは、急いで帰っていった。少しだけ抜けてきたらしい。
ユリは少し考えたことがあり、キボウを探した。
「あ、キボウ君、ちょっと聞きたいんだけど」
「なーにー」
「キボウ君の新しく作るクッキーは、キボウ君の名前をつけようと思うんだけど、どの名前をつける?『キボウサンド』か『トネリコサンド』か『プラントサンド』か、どれが良いと思う?」
ユリは、キボウのフルネームを知っていたので、聞いてみたのだ。キボウのフルネームは、キボウ・トネリコ・プラントである。
「ユメー、くろねこー! キボー、トネリコー!」
「トネリコサンドで良いかしら?」
「いーよー!」
ユリは、開店の用意をしながら、思い付いた試作を作り始めた。
「ユリ様、何か手伝いますか?」
「外側は王国型のラング・ド・シャ、中はオレンジピールの生チョコで試作の予定よ」
「お店の注文が入るまで手伝います」
「ありがとう」
お店の注文が入り始め、ユリも一旦手を止め、注文分を集中して作った。並んでいた列を思うと、早く回転させないと後ろの方の人まで何時間かかることやら。
今日のお店の生菓子は、チョコレートムースで、軽食はトーストで、ジャムの他、チョコクリームが選べるようになっている。
「ユリ様、ピザトーストは無いのかと何名かから、それと、しょっぱい系のスープをご希望の方もいらっしゃいました」
「あー、甘いものばかりだものね。少し時間がかかるから、どうしようかしら」
「ユリ、ユメスペシャルがないか聞かれたにゃ!」
ソウがいれば頼めたけど、ソウは昼ご飯のあと、でかけてしまっている。
「ちょっと、溶けるチーズ買ってくるわ。シィスルちゃん、15分くらい大丈夫?」
「はい。もし無理そうなら、リラさんを呼びます。そろそろ手の空く頃だと思いますので」
「ユメちゃん、スープは、インスタントのカップスープでも出しといてくれる?」
「にゃはは。わかったにゃ」
ユリは簡単に着替え、向こうのソウの家に転移し、業務系のスーパーで、ピザ用の溶けるチーズを買って急いで帰ってきた。
すぐに着替えて厨房に行くと、チーズをのせるだけになったピザトーストが用意されていた。ユメが作っておいてくれたらしい。




