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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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嫡男

来週明けはバレンタイン。

昨日も作ったのだが、今日もこれでもかというほど生チョコを作る予定だ。種類もそうだが、量も凄い。


ラム酒、コーヒー、抹茶、オレンジピール、苺、などの定番の他、赤ワイン、ブランデー、ヒノモト酒などの、完全大人向け生チョコを大量に仕込む予定だ。

どのレシピにも酒は入っているが、意図して多めに酒を入れる物もある。


「リラちゃん、今日も生チョコ大量に仕上げるわよ!」

「はい。でもこんなに売れますか?」

「まあ、残っても魔道具の鞄に保存するから大丈夫よ」

「今日作るものは、いつカットするんですか?」

月曜日(つきのひ)に使うから、月曜日(つきのひ)の午前中までには仕上げる予定よ」

Mの日(つきのひ)ですね」


カットしたものを、総出でココットに詰めている。既に冷蔵庫に入りきらなくなっていて、先のものから魔道具の鞄に入れ直している。


作業をしていると、リラが思い出したようにユリに質問した。


「ユリ様、買って帰るのがほぼ男性で、受けとるのは、その奥さまやお嬢様かと思うのですが、お子様用にアルコール無しの物を作らなくてよろしいのですか?」

「え? あー! そうよね。買って帰るのがほぼ男性よね」


ユリの感覚だと、女性が、男性や同姓の友人に渡すイメージが強く、この店で買って帰るのは、数人を除いて男性しかいないと思い出した。


「苺だけで良いかしら?」

「お酒入りと、どうやって見分けますか?」

「うーん、三角にでも切る?」

「それなら見分けやすいですね」


早速、酒無しの苺生チョコを仕込み、一部を冷凍した。

明日土曜日(だいちのひ)、城に行くときに持っていこうと考えたのだ。


ホワイトチョコの酒無しの生チョコを少量作り、少し泡立てて固くし、以前リラたちが作っていたラング・ド・シャの魔道具の鞄に保存してあったものに絞って挟み、リラに返した。


「口頭で説明しただけだったけど、こんな感じよ」

「わあ! 食べてみて良いですか?」

「どうぞ」


すぐに食べたリラは、食べ終わらない内に騒ぎだした。


「これ! 凄く美味しいです! これ売りましょう!」

「美味しいにゃ! 売れるにゃ!」

「いくらで?」

「1つ350(スター)で、3つ入り1000☆くらいですかね」

「では、丸型でラング・ド・シャを作ってください」


その場にいた、イリスとマーレイにも好評だった。外から帰ってきたソウや、キボウにも味見を渡したが、もう少し欲しいと言われた。


「こんにちは。あのー、リラさんにお客さんが見えています」


シィスルが、倉庫側の扉から訪ねてきた。


「え? 誰?」

「私はわからない方でしたが、マリーさんがご存じみたいで」

「貴族の方? とりあえず、ユリ様、少し見てきて良いですか?」

「構わないわよ。何かあったら呼ぶのよ?」

「はい。ありがとうございます!」


リラは、ベルフルールに戻って行った。


「ユリ、見てきても良いにゃ?」

「行っても良いけど、気を付けてね?」

「わかったにゃ」


ユメまでついていってしまった。


「ユリ様、リラさんが帰ってくるまで、なにか手伝います」

「ありがとう。では、まず味見どうぞ。帰るとき、マリーゴールドちゃんにも持って帰ってね」


生チョコを挟んだラング・ド・シャを渡した。

すぐに食べ、喜んでいた。


「うわー! 美味しいですね!聞いて想像していたより美味しいです!」

「リラちゃんは、売る気らしいわよ」

「絶対に売れそうです!」


シィスルは、リラが抜けた所をカバーし、しばらく手伝ってくれた。


「ん、ユメが呼んでる! ユリ、俺ちょっと顔出してくるよ」

「よろしくお願いします」


ソウを送り出すと、シィスルが大分不安そうな顔をしていた。


「シィスルちゃん、お客さんって、男性?」

「はい。おそらく貴族の方だと思いますが、とても丁寧な感じでした。それに、マリーさんがご存じの方のようでしたので、私がお知らせに来ました。お一方は、お身内だと思います」


皆で不安に思いながら、リラとユメとソウが帰ってくるのを待っていた。


「そろそろお昼ご飯になっちゃうわね。シィスルちゃん、こっちで食べていく?」

「良いんですか?ありがとうございます!」

「ユメちゃんとソウにも聞いてみましょうか」


ユリは、以心伝心を送ることにした。


『ユメちゃん、お昼ご飯に戻ってこられそう?』

『リラとマリーゴールドと、他2人連れていっても良いにゃ?』

『構わないわよー』


皆が不安そうにユリの方を見ていた。


「マリーゴールドちゃんの他、2人連れてくるらしいわ」

「えーと、11人前ですか? 足りますか?」

「えーと、そうね。15人前有るから大丈夫よ」


今日の予定は、タコライスだ。

蛸が入ったご飯ではなく、タコスの方の、タコライスである。


「ユリ様、どうやって作るのですか?」

「タコスシーズニングで挽き肉に味をつけて、刻んだレタスとナチュラルチーズとサルサソースをご飯の上にかけて食べます」


皿を用意しながら説明していた。


「上に盛り付けるのですね。タコスシーズニングとはなんですか?」

「チリパウダー、ガーリックパウダー、オレガノ、パプリカパウダー、オニオンパウダー、カイエンペッパー、クミンパウダー、ホワイトペッパー、塩なんかを混ぜた粉ね」

「サルサソースとはなんですか?」

「トマト、玉ねぎ、ピーマン、セロリ、を刻んで、黒胡椒、レモン果汁、辛味調味料(タバスコ等)をよく混ぜれば出来上がるわ」


11人前のタコライスが出来上がった頃、ユメたちが知らない男性二人を連れ、店側のドアから帰ってきた。


「戻ったにゃ!」「ただいまー」


すぐにリラとマリーゴールドがユリのそばに来て、謝っていた。


「ユリ様、仕事抜けてしまってすみませんでした」

「ユリ様、ご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません」

「あなたたちが無事なら、良いわよ。それで、どなたなの?」


(わたくし)の兄、次期ハニーイエロー男爵のビーチでございます。こちら幼馴染みの、男爵家の嫡男、マホニア・ダークイエロー様でございます」

「ビーチ・ハニーイエローです。妹のマリーゴールドが、大変お世話になっております」

「ユリ・ハナノです。マリーゴールドちゃんは、とても優秀で頑張りやさんです。大変助かっています」


「マホニア・ダークイエローです。一つ訂正致します。単なる幼馴染みではなく、婚約者です」

「そのお話は、無かったことに」

「私は了承していない」


「ま、とりあえず、ごはん食べましょう。お腹が空いている話し合いは、良くありませんからね」

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