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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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短髪

「まずはユリ御姉様、変装いたしましょう」

「できそう?」

「リラちゃんや、回りの方が気付かなければよろしいのですよね?」

「そうね。できれば男装が良いけど、無理なら男の子でも良いわ」

「お兄様はどうされますか? 髪の色を変えるだけでもかなり印象は変わりますが、いっそ女装でもなさいますか?」

「どうやっても女には見えないだろ?」

「母上様にそっくりだと思いますが?」


髪の長いソウと、月見エリカの違いを想像し、皆が何となく納得した。


「いやいやいや、女装は勘弁してくれ、ユリが男装する意味がないだろ?」

「それもそうでございますね」


その後、ユリが短髪黒髪の(かつら)をかぶり、眉を太く書き、少し切れ長の瞳になるように化粧をした。ソウは茶髪の鬘をかぶり、目の印象が柔らかくなるよう化粧をした。服はカエンが指示して、貴族のお忍びスタイル風を揃えてくれた。


「正面からじっと見つめていればバレますが、しゃべらなければ大丈夫だと思いますわ」


鏡を見せてもらうと、劇画タッチの漫画に出てくる美男子みたいな、出来上がりになっていた。ソウは、同じ漫画に出てくるヒロインのようで、美人(ソウ)ってすごいのね。とユリは思ったのだった。


「さあ、帰りましょう!」


ユリが呼び掛けると、(よう)が、着替えなどの荷物を持って、現れた。


「ユリ、二人頼めるか? 俺、布団一式持って行くから」

「はーい。カエンちゃん、(よう)君、つかまってー」


ユリが先に転移し、カエンと(よう)を連れてソウの部屋を出た。


「ユリ? お帰りにゃ」

「あら、すぐわかっちゃう?」

「ソウの部屋から堂々と出てくる身長が150cmくらいの人は、ユリしかいないにゃ」

「成る程!」


「ただいまー!俺はどう?」

「ソウは、何だか軽薄な感じにゃ」

「髪の色と目付き変えただけなんだけどな」


カエンと(よう)をユメに任せ、リラの店を見に行くことにした。


おっかなびっくり扉を開けると、知らない女性が店内を忙しそうに動き回っているのが見えた。


「いらっしゃいませー!お二人ですか?こちらへどうぞ」


よく考えたら、配膳はクララが指示をして人を雇っていると言っていたのだから、ユリの知らない人がいて当然なのである。


ユリの店に、よく似た雰囲気の店だった。

木製のテーブルと椅子。4人がけが4つ。各テーブルにおすすめの日替わりメニュー表。飲み物の一覧。食事より、冷たい飲み物やデザートが高い。


回りを見回すと、ユリの店で見かける客がちらほら見える。回りに聞こえないように小声で話しかけた。


「ソウ、何食べたら良いかしら?」

「一応セットを頼んでみれば? 色々つくみたいだし」

「じゃあ、二種類あるのを頼んで分けましょう」


ユリが話すと声で女性だとばれるので、ソウが注文した。


「今日のおすすめ、肉セットと野菜セットを一つずつくれ」

「かしこまりました! 少々おまちください!」


すぐに出されたのは、温かいほうじ茶だった。マグカップに入っている。

次に出されたのは、ミニサラダだった。ソウと同じものなので、そのまま食べた。


「これ、コールスローかしら?」

「みたいだな」

「私が作るより、彩りが綺麗ね」

「何が違うの?」

「キャベツ、赤キャベツ、ハム、コーン、飾りは絹さやかしら?」


コーンは、乾燥を戻して使っているようだ。ユリが使うカットしてあるコーンと違い、切り口がない。今は冬なので、コーンを使うなら冷凍か缶詰だと思っていたユリは、乾燥コーンに感心した。


料理が出てきた。以前リラに出して貰ったことがある、トマトの煮込みを薄切りの固めのパンで食べるものだった。もう一つは、ポトフか肉じゃがのような煮物だった。大きめの豚肉と、ジャガイモとニンジンと玉ねぎが入っていて、驚くことに、炭水化物はご飯だった。


「ご飯、炊いてるのねー」

「俺より上手いな。ははは」

「ソウが教えてくれたんでしょ? ありがとう」


二人で少し分けあって食べた。肉じゃが風は、味付けは肉じゃがだったけど、大きめの肉が入っていて、ボリュームがあった。


食べ終わる頃に、デザートが運ばれてきた。

デザートは、林檎ジャムの乗ったマフィンのようなケーキだった。


「美味しかったよ。ごちそうさん」


ソウが言って、店を出た。

すると、リラが出てきて捕まった。腕をがっしり捕まれたのだ。


「なかなか、わからないですね!」

「わからないって、しっかりばれてるじゃない!」

「そりゃあ、まあ」

「リラ、何でわかったんだ?」

「お二人が料理を分けて召し上がっていたので、厨房から連絡がありました」


リラによると、店に初めて来たと思われるのに、特に質問もしないし、慣れた様子だったので、まず店の給仕の女性が、厨房のシィスルに「どなたかのお知り合いでしょうか?」と尋ね、シィスルとマリーゴールドが、じっくり観察していたらしい。すると、男性どうしに見えるのに、仲睦まじく分けあって食べているので、片方は男装した女性だろうと言うことになり、この店に変装してくる人物の心当たりを考えて、リラを呼んだそうだ。リラも二人を見て、髪の色の違いを考えから除き、顔立ちでおよそわかったらしい。さらに、ソウの声と、自前馬車ではなく、歩いているので、確信したと言っていた。


「目が違うのって、だいぶ違く見えますね」

「まあ、店の迷惑にならなかったから、良かったわ」


ユリたちは家に帰り、ユメとキボウとカエンと(よう)の食事を用意した。

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