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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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前夜

城に転移すると、ソウの部屋には金銀キラキラの少しタイプの違う騎士服が2着あり、ソウも自分が着る服を確認していないのかしら? とユリは思った。

1着は、白地に銀の飾りで、もう一着は、白地に金の飾り。歌劇団的と言うかベルサイユ的と言うか、見たことがあったキラキラの正装すらも霞む物凄い派手さだ。

ソウは確認をしたが、試着したときは金銀モールや各種飾りをつける前で、このあとモールや飾りがつきますとは伝えられていた。だが、メイプルの結婚式の時に見た結婚式仕様の騎士服を思い出し、もう少し地味な感じを想像していたのである。


でも、ソウに似合いそうだわ。うふふ。

ユリは自分のドレスより、ソウの服装の方が気になるのだった。


呼び鈴を鳴らし人を呼ぶと、驚きの早さでたくさんの女性がやって来た。部屋の外には、何人もの騎士も待機しているらしい。


「ユリ様」


聞きなれた声に顔を向けると、なんとラベンダーが、王宮の侍女服を着て立っていた。


「あなた、次期公爵夫人ではないの?」

「現時点では、伯爵夫人ですので、侍女をしても問題がございません」


と言うことは、公爵夫人になるまでは、何かある度に侍女をする気なのかしら? この辺はよくわからないから後でソウとユメちゃんに聞いてみましょう。

ユリはわからないのでこれ以上聞くのをやめた。

ユメの侍女が侯爵夫人だったので、公爵夫人になっても、イベントに限る侍女なら問題がない。ユリは常に侍女を連れているわけではないので、融通が利くからだ。そもそも、ラベンダーが、今後も他人にその役を譲るとはとても思えない。


王宮のソウの部屋から王の部屋へ行くのは割りと歩くので、極度の方向音痴のユリには案内があるのはありがたい。

王宮で一人で移動することは まずないが、どうしても一人で移動するときは、隠し通路から移動したら良いとユメに言われていた。隠し通路は頭の中に道が浮かぶ上に、魔力登録がない人には通れない道もあるらしい。


部屋につくと美味しいお茶を出された後、すぐに湯浴みの用意をされ、髪の手入れやマッサージのフルコースだった。


「ぐえっ」

「も、申し訳ございません」

「いえ、痛すぎたら止めてって言うから、悲鳴あげていても気にせず続けてくだ、くれる?」

「かしこまりました」


リンパマッサージでの痛さを抑えるため、今日はなるべく座って休憩していたはずなのに、やはりリンパマッサージは痛かった。


「ユリ様、マッサージだけでも受けにいらしてはいかがですか? 定期的に受けていれば、強い痛みは出ないと思われます」


様子を見に来たラベンダーに提案された。


「そんなご都合主義で良いの?」

「むしろ、ご希望されれば、毎日でも致します」

「はい!」「はい!」「はい!」「はい!」


ユリの質問にラベンダーが答えると、マッサージをしていた4人が、明るく返事をした。


「では、たまに来ることにします。お願いするわね」

「かしこまりました!!」


あまりに揉みほぐされて、パン生地に生まれ変わったらこんな感じかしら? と、ユリは意味不明なことを考えていた。19時前には来たはずなのに、マッサージとお手入れが終わった時間は、日付を回っていた。


「ユリ様、お休みなさいませ。明日は7時にお伺い致します」

「はい。お願いしま、するわね」


自分では何もしていないのに、仕事よりも疲れたわー。と思いながら横になると、次に気がついた時は、朝だった。


「うーん!」


腕を伸ばし、体を起こしてみた。日頃の疲れも取れて、体がとても軽い。

あー、自己治癒時の基準をここにしましょう。と、ユリは前回マッサージを受けたときと同じことを思っていた。割りと学習していないのである。

150cm45kgで、たいして筋肉もないのに、慣れとコツだけで普段から重い物を運んだりしているので、マッサージは施術者の方が気の毒になるくらいバキバキなのだが、前回のパープル邸でのマッサージが軽めだったのは、ユリが希望したからであって、あの程度では、施術者がわは物足りないと言うか、責任が果たせていないのである。


起きてすぐ、ラベンダーが来た。簡単に流れを説明され、軽く湯浴みをした。

ほぼドライヤーの魔道具で髪を乾かしてもらい、カーラーのようなものを巻かれた。


朝食は部屋でとったが、しっかり食べるように言われた。昼食は出されるが、式の途中なので、ほぼ食べられないらしい。

パン食だと思っていたら、ご飯とおかずが出て、ユリは少し驚いた。この国特有の固いパンが出なかったのは、過去に滞在して料理指導したリラのお陰である。

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