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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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打掛

「お待ちしておりました」

「カエンちゃん、迎えに来たわ」

「美容部が、沸いております」

「え?」

「わたくしが和装を断ったので、用意していたチームが落胆しておりましたが、ユリ御姉様がこちらで着替えることを伝えましたところ、とても張り切っておりまして、」

「あー、カエンの担当美容部って、お袋たちか!」

「はい。ホシミのおば様が参加者側なので、なおさら、美容部メンバーが気合いを入れているようでして」

「私の着替えも見てくれるの!?」

「むしろ喜んで! ユリ御姉様は、一人でこちらに来られますので、白無垢もご用意が可能でございますが、どうされますか?」

「え! 白無垢着られるの?」


ユリは、結婚式自体に興味が無さすぎて、式2日前になってやっと悩むのだった。


「写真に残したい気持ちはあるけど、顔が見えないのは向こうではダメかも」

「でしたら、写真だけ撮りましょう」


あれよあれよと言う間に、着替えさせられて、白無垢の嫁入り写真を撮ることになった。


基本的に、食事が終わってからカエンを迎えに来る約束なのだが、今日は早めに来て欲しいと言われていた。どうやら、最初からユリの白無垢写真を撮る予定だったらしい。


いつのまにか着替えさせられたらしいソウは、黒い紋付き袴で、かなり凛々しく固い雰囲気だったが、ユリを見たとたん、押さえられない笑顔で笑うので、全く怖くは見えなかった。


「ユリ、とても似合っていて、綺麗だ」

「ありがとう。ソウもとても素敵よ。怖くなんて見えないわよ?」


白無垢と色打掛の写真を撮り、美容部員たちは、「当日は何時にいらしても髪結いと着付けをします!」と意気込んで約束してくれた。

出来上がった 大伸ばしにした2枚と、スナップショット複数枚を渡されると、あとから来た人に、(がく)を2つと、新しいアルバムを渡された。これに入れるのだろう。


ソウと一枚ずつ(がく)に納め、スナップショットをアルバムに貼りつけた。


さあ行こうと思ったら、カエンは結構な大荷物で、ユリとソウが気遣ったが、これはわたくしが持っていきますと譲らなかった。


転移して家に戻ってくると、ユメとキボウが待っていた。


「ただいまー」

「お帰りなのにゃ」「おかえりー、おかえりー」

「ユメちゃん、ちょっとお話がございます」

「何にゃ?」


なぜかカエンは、ユメと一緒にリビングを出ていった。ユメの部屋に行くらしい。


「何かユメちゃんへのプレゼントだったのかしら?」

「成る程、(魔道具の)鞄に入れると中身がわかるからな」



ソウが城へ行き、ユリが食事の支度を終わらせる頃、ユメとカエンは戻ってきた。ユメがとても嬉しそうにしていたので、やっぱり何かプレゼントだったのかな?とユリはほほえましく思っていた。


「ただいま! 最終的な段取り聞いてきた。前日からユリは城入り、俺は当日朝8~9時に向こうに行って送迎、参加者は12時までに会場入り、カエンはどうする?」

「神事用の巫女服で参加致しますので、当日参りたいと思います」

「ユメとキボウはどうする?」

「当日9時頃、自分で行くにゃ」

「ユメいっしょー、ユメいっしょー」


キボウはユメと一緒に行動するらしい。


「ごはん食べちゃいましょ」


ユリが声をかけると、全員が食事を運び、食べ始めた。


「ユリ御姉様、お持ちした物がございますので、あとでお時間いただけますか?」

「寝る前で良い?」

「はい」


カエンの荷物は、ユリの物もあったらしい。



片付けを終わらせ、カエンがいる作業部屋を訪ねると、カエンはすぐに出てきた。


「ユリ御姉様、お待ちしておりました」

「ご用はなあに?」

「こちらをお持ちください」


カエンが渡してきたのは、かなり(かかと)の高い白いハイヒールの入った箱だった。


「これどうしたの?」

「ユリ御姉様が戴冠式の時に、歩きにくいとおっしゃっていたと、お兄様からうかがいました。こちら、新素材で足にフィットする上に、疲れませんので、最適かと思われます」

「お借りして良いの?」

「いえ、差し上げます。お祝いにお受け取りください」

「カエンちゃん、どうもありがとう!」


新素材の履き物は、ユリも草履(ぞうり)を持っていた。足に馴染んで、足が痛くならないが、とても高価で、鼻緒(はなお)の裏と前坪(まえつぼ)に使っているだけでも結構な価格がする素材なのだ。


「あ、ユリ御姉様、お返しは要りません。ですが、どうしても返されるなら、パウンドケーキでお願い致します」

「どうしても返したいから、帰りに渡すわね」


ユリは自力でも多少探したが、足が小さいので、なかなか良いハイヒールが見つからず、戴冠式の時は歩きにくくて大変だったのだ。


部屋に戻り履いてみると、とても足に馴染み、かなり目線が高くなり、楽しかった。15cm高くなるらしい。

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