鏡開
「ソウ、木槌有った?」
「あ、そうだった。有ったよ」
ソウがユリに木槌を渡してくれた。
「木槌にゃ? 鏡餅、持ってくるにゃ?」
「ユメちゃん届く?」
「にゃー、お店のは届かないにゃ」
「鏡餅ですか? 私が持ってきます」
お店のカウンターの後ろの棚に飾ってあった鏡餅を、リラが持ってきてくれた。ユメは、2階に有った鏡餅を持ってきてくれた。
鏡餅を持ち上げて、くるくる回しながら確認すると、ユリはその鏡餅を乾いた布巾に包んだ。
「カビ生えてないから全部使えそうよ!」
木槌を振り上げ、包んだ鏡餅を叩き割ると、みていたリラとシィスルとマリーゴールドが驚いていた。
割りと粉々になるまで叩き割り、大きいものだけ更に叩き割っていた。
「ユリ様、それはなんですか?」
「鏡餅を、食べられる大きさに分けることを鏡開きって言うんだけど、刃物を使わずに分ける物なのよ」
「刃物を使わずには、なぜですか?」
「なぜ、うーん。切腹に繋がるからって言っても通じないわよね。そもそも縁起物なので、縁起が悪いとされる分け方をしない決まりと言うか、なんというか」
「では、その細かいお餅はどうするんですか?」
「油で揚げてお菓子にするわ。来店者にサービスで出すわよ。縁起物だし」
「あ、アラレ!」
「よく覚えていたわね。本当は、お雑煮とかあんこ餅が良いらしいんだけど、数作れないし、食べられない人がいそうだからね」
「木槌で割るほど固いのに、柔らかくなるんですか?」
「焼くか、茹でる感じで温めれば、お餅らしくなるわよ」
納品で来たマーレイと、イリスが一緒に来た。
「そろそろお昼ご飯作りましょう。シィスルちゃんとマリーゴールドちゃんも食べるでしょ?」
「ありがとうございます!」
「ありがとう存じます」
昼ご飯にバターチキンカレーを作り、リラがドレッシングを作り、ユメがサラダを用意した。
その間、イリスとリラが、クレーンシューの首にホワイトのコーティングチョコをつけ、ユリがささっと切った生チョコをソウとマーレイがココットに分け、シィスルとマリーゴールドが皿とカトラリーと冷茶を用意した。
『キボウ君、お昼ご飯よー』
ユリがキボウに呼び掛けると、キボウは返信せずに転移して現れて、笑っていた。
「みんなよんだー!みんなよんだー!」
どうやら、ユリ以外もキボウを呼んだらしい。
12時少し前に食べ始めた。
「食べ終わったら13時まで休憩してくださいね。開店したら、アラレを配ります。甘いのとしょっぱいのを用意する予定だけど、味見するなら、なくならないうちにしてね」
ユリは食べ終わると、昨日マーレイにカットして貰った切り餅を揚げ始めた。
隣に水と砂糖を焦がさないように煮詰めた鍋を用意し、揚がったアラレを手早く合わせ、ゆっくり混ぜて糖化アラレを作った。
次に揚げたものは、醤油味をつけた。
「食べるなら、少し冷めてからが美味しいわよ」
切り餅の他、砕いた鏡餅も揚げ、塩と青のりをふりかけ混ぜ、アラレを量産した。
「どうやって提供しますか?」
「ココナツのミニ皿が良いかしらね」
「6粒で良いですか?」
「そうね。三種類あるから丁度良いわね」
味見をして気が済んだみんなは、休憩に入った。
ユリは生クリームを業務用ミキサーにセットし、機械が泡立てている間、桃缶をあけ細かく切った。ざるに切った桃を入れ、水分を切り、シューをカットしていると、様子を見に来たユメに怒られた。
「また、仕事してるにゃ。ユリが過労になったら私が泣くのにゃ」
ユメの言葉に、ユリはショックを受けた。
「ごめんなさい。ちゃんと休みます」
ユリは手を止め、泡立て中の生クリームだけ作り、桃や生クリームを冷蔵庫に入れ、休憩をすることにした。
ユリは、部屋で15分仮眠し、厨房へ戻ってきた。
すると厨房では、リラがイリスとユメに怒られていた。
何事?と思い聞くと、ユリが残していったシューをカットしていたらしい。
「さすが師弟だな。ははは」
ソウが言うと、ソウまでユメに怒られていた。
「笑い事じゃないのにゃ! 体壊したりしたら、止められなかった回りの人が自分を責めるのにゃ。休み時間は、ちゃんと休むのにゃ!」
「ユメごめん、そうだな。休み時間はちゃんと休もう」
「耳が痛いわ」
ユリとリラは反省しつつも、すぐに忘れて繰り返しそうである。
13時になり、オープンの時刻になった。
「にゃー!」
何事かと、厨房でも店側にいたリラが店を見に行くと、シィスルとマリーゴールドが客として来店していたらしい。
シューの仕上げで手の離せないユリは、ソウに箱を取ってきてもらい、できたクレーンシューを箱詰めにし魔道具の鞄に入れていった。
ちなみに、カスタードクリームは冷えたあと、タッパウエアーに詰めて、保冷剤と共にリュック型の魔道具の鞄に入れてあったが、保冷剤は一切溶けること無く、そのまま入っていた。
店内の客の声が聞こえる。
「さすが、ハナノ様! お祝いが多いですな!」
4日にお年玉のお菓子と引き換えた、お祝いの紙の話らしい。リラが、新年の挨拶を書いた丹頂鶴の絵と共に、模造紙に貼って壁に張り出してくれた。
あー、あれはやっぱり多かったのね。とユリは大変だったことを思いだしながらせっせとクレーンシューを作っていた。
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お持ち帰り専用
女神の慈愛・パウンドケーキ 1本5万☆(フル)
女神の慈愛・パウンドケーキ 1枚5000☆(フル)
時送り・世界樹様のクッキー 1枚2000☆(素早さ)
店内、お持ち帰り兼用
クレーンシュー(丹頂鶴のシュー) 800☆(6)
パンプキンプリン 1個500☆(4)
世界樹様のクッキー 1枚500☆(11)
黒猫クッキー 1枚500☆(11)
ココット生チョコ・各種 1個500☆(5)
飲み物
イチゴミルク 1杯500☆(4)
ジンジャーエール 1杯500☆(9)
ミルクココア 1杯500☆(4)(温)
アイスココア 1杯500☆(4)
バタフライピーティー 1杯500☆(1~4)(温)
サファイアソーダ 1杯500☆(4)
サファイアクリームソーダ 1杯1000☆(4)
チェンジカラーシロップ 1杯50☆(4)
軽食
鏡餅のアラレ 1皿サービス(6)
オニオングラタンスープ 1皿500☆(3)
ホワイトシチュー 1皿500☆(4)
ジャムトースト 1皿300☆(6)
バタートースト 1皿300☆(1)
追加 イチゴジャム 1杯100☆(5)
追加 ブルーベリージャム 1杯100☆(5)
追加 キウイジャム 1杯100☆(5)
セットほうじ茶 無料(1)
お一人様、いずれも10個まで。
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