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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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要望

城につくと、すぐにキボウがやって来た。


「ユリー、おいしかったー!」

「クレーンシュー?」

「それー」

「それは良かったわ。ユメちゃんは一緒じゃないの?」


慌てた様子で誰か来た。


「失礼します! ユリ様、素敵なお菓子をありがとうございます。ユメ様は、王妃様と歓談されていらっしゃいます」


シッスルだった。走り出したキボウを追って来たらしい。


「シッスルさん、いつもありがとうね。やっと違うお菓子が持ってこられたわ」

「食べるのが勿体ない素敵なお菓子でした! プラタナス様も、カンパニュラ様も、とてもお喜びでございました!」

「それは、良かったわ」


話している間に、誰かが呼びに行ったのか、ユメと王妃(ハイドランジア)第三王女(サンダーソニア)がやって来た。


「ユリ、プラ板焼いてにゃ」

「あら、プラ板作っていたの?」

「まだ途中なのにゃ」

「なら、出来ているものだけちょっと焼いてくるわ」


キボウとプラタナスとカンパニュラとシッスルが作ったネームプレートと、王妃たちが作った、出来ている花を預かり、一旦家に戻った。


ネームプレートは平らに焼き、花は、焼いてから計量スプーンで丸みを持たせて冷ました。

新しいプラ板、丸カン、キーホルダー金具、根付け金具、ヘアピン金具、バレッタ金具、かんざし金具、接着剤、ワイヤー、ニッパー、ペンチ、各種パンチ、本などを持ち、再び城に戻った。


ネームプレート組にはシッスルを通して金具を選んでもらい、ユリが取り付けた。ペンチなどの器具を見て、さわりたがると危ないので、目の届かない場所で仕上げてから渡すことになったのだ。出来上がりを見ていたアネモネが、子供の作品に感激しているのが印象的だった。

ユメが慣れてきたのか、葉っぱの飾りがとても素敵にできていた。

細工ものを作った王妃たちは、思ったより色が濃いことに驚いたようで、ユメの葉っぱの飾りの色を見て、塗るべき濃さを理解したらしい。


「どの金具を使いますか?」

「もう少し花を作ってもよろしいでしょうか?」

「はいどうぞ。追加のプラ板も、持ってきましたよ」


ユリは下絵用の画像集も持ってきていた。


「こういう、絵をなぞって、黒い油性ペンで、アゲハ蝶を描きます。空いている場所に好きな色を色鉛筆で塗ると、オリジナルな蝶々の飾りが作れます」


ユリが作って見せた蝶々の出来に、感嘆の声が漏れた。


「黄色いペンで線を書いて、出来上がってから、加工すると、金糸のような出来上がりにすることもできます。絵が苦手なら、見本を写せば良いのです」

「ユリ様、揃った小さいお花は、どのようにして作るのですか?」

「ハサミで切り抜いても良いのですが、花型のパンチで作ると量産できます」


一通り説明し、小花を量産した王妃たちは、満足したのか焼いて欲しいと言い出した。

丸みはつけなくて良いというので、店に戻ってきたユリは、天板にクッキングシートを敷いて いっぺんに焼いた。

ユメも手伝いについてきた。


「まるでクッキーみたいにゃ」

「そうね。クッキーそっくりな物も作りましょうか? お土産に売れるかもしれないわね。うふふ」

「リラに言ったら、すぐ作りそうにゃ」

「色の入れ替えができないから、クッキーより大変かもしれないわね」

「リラが作ってるクッキーの大きさに作るには、プラ板はどのくらい大きいのにゃ?」

「プラ板の大きさ? そうね。切らないものを半分~2/3くらい、正方形にしたくらいかしら?」

「結構大きいにゃ」

「本物のサイズにする必要はないわ。キーホルダーとしては大きすぎるものね」

「なるほどにゃー」


オーブンの中の縮んだプラ板が落ち着いてきた。


「あ、そろそろ良さそうね」

「平らになったにゃ」

「冷たい天板に変えて冷やしたあと、持っていきましょう」


オーブンシートごと移動させ、冷やした。


城に戻り仕上げを説明し、ハイドランジア、アネモネ、サンダーソニアは、オリジナルアクセサリーを完成させた。


公務の合間なのか、メイプルが顔を出しに来た。

出来上がったアクセサリーを見て驚いたあと、ユリに願い出た。


「ハナノ様、お願いがございます」

「はい。なんですか?」

「チョコレートの味のクッキーやお菓子をお作りください」

「あ、持って行く分ですね。わかりました。思い付いたものがあったらリクエストしてくださいね。リクエストがあった方が作りやすいです」


すると、キボウに手を引かれた見慣れない女児がユリのそばに来た。緊張しているのか、表情が固い。


「ユリ・ハナノさま、わたしは、カンパニュラでございます。鳥のおかし、とてもおいしかったです。わたしが小さいころに、びょうきをなおしてくれて、ありがとうございました!」


この子がカンパニュラ、あの治療をした赤ちゃんだった子供なのね!と、ユリは時の経過を実感した。


「カンパニュラちゃん、『ユリ』で良いわ。あなたも食べたいお菓子があったらリクエストしてね」

「ユリさま、わたしは せかいじゅさまのおうちにはいきませんが、作ってくださるのですか?」

「勿論よ! お留守番する間、ユメちゃんと一緒にお菓子を持って遊びに来るからね」

「ユリさま、ありがとうございます」


カンパニュラが、子供らしい笑顔で笑った。


「明日からお店の仕事をするので、あまり来なくなると思いますが、又来るときには、なにかお菓子を持ってきますからね。あ、販売や喫茶は、明後日からの予定です」


みんなに挨拶をして、ユメとキボウをつれ、家に戻ってきた。

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