糖楓
土曜日なので、城に行った。
メイプルたちからのリクエストは、生菓子だった。
お店で出したことがあるもので構わないので、5つずつお願いします。と言っていた。
何故5つなのだろうと思い尋ねると、自分達のおやつの他、世界樹様に奉納する分と、もし使えたら、木の実で増やす分らしい。なるほどと思い、ユリは了承した。
特に希望する種類は無いと言ったメイプルと違い、アネモネは、生チョコを入れてくださいと言っていた。
少しすると養育係のシッスルが来て、ユメ様からいただいたクッキーというものをお願い致します。と言った。何の事かと思ったら、プラタナスのリクエストらしい。
「ユメちゃん、プラタナス君に渡したのって、黒猫クッキーよね?」
「それしか持ち歩かないにゃ」
「あれ? そう言えば、世界樹様のクッキーは持っていった方が良いのかしら?」
「キボウが持って行ったと思うにゃ」
「そうね」
ユリはキボウを探してキョロキョロとした。
「ところで、キボウ君はどこ行ったの?さっきまでいたのに」
「シッスルに付いていったにゃ」
「置いて帰って良いのかしら?」
「酷いー!って言われるにゃ」
「あはは、やっぱり?」
『ユリです。キボウ君、帰りますよー』
ユリは以心伝心をキボウに送った。
『さきかえっていーよー』
「ユメちゃん、以心伝心を送ったら、先帰って良いよーって送ってきたわ!」
「置いて帰るにゃ!」
「おうちに帰って、メープルクッキーでも作りましょう」
「新しいクッキーにゃ?」
「そうね」
ユメと二人で先に帰ってきた。
「ユリ、ソウも置いてきて良かったのにゃ?」
「ソウは、国王さんにご用が有るらしいわよ」
「珍しい人選にゃ」
ソウは、ちょっとパウローニアに話があるから、先帰って良いからな。と言って、城で別れたのだ。ユリは政治に介入したくないので、その手の話はソウに任せてある。一時帰宅組が明日帰ってくるので、その関連だろうと考えていた。
「クッキー作るけど、ユメちゃんはどうする?」
「手伝うにゃ!」
メープルシュガーがあれば、砂糖と同じように使えるが、メープルシロップしかないので、卵抜きでバタークッキーの生地を作った。
「これをね、この楓の葉の型で抜いて、葉脈の模様スタンプを押します」
「葉っぱみたいにゃ!」
「砂糖楓も、鈴懸の木もこんな感じの葉っぱだからちょうど良いと思うのよね」
「アネモネはどうするにゃ?」
「んー、リラちゃんに頼みましょうか?」
残りも型抜きし、葉脈スタンプを押し終えた。
「さあ、焼きましょうね」
メープルクッキーを焼いている厨房は、メープルの甘い匂いが充満していた。
「ホットケーキになった気分にゃ」
「うふふ。服にも匂いがつきそうね」
ユメとそんな話をしていると、ユリを呼ぶ声が聞こえた。
「ユリ様ー!」
「リラにゃ」
「リラちゃんの声ね」
倉庫側から入ってきたリラは、笑顔で寄ってきた。
「美味しそうな匂いがします!新しいお菓子ですか?」
「メープルクッキーを作っているわ」
「これは教えていただけるのですか?」
「ええ、かまわないわよ。あ、そうだ!リラちゃん、アネモネでクッキー作ってくれる?5枚ほど」
ユリはさっさと頼むことにした。
「アネモネ柄のクッキーは、王宮の厨房にお世話になっていた頃に作りましたが、それでよろしいですか?」
「それで良いわよ。頼んだわね。期限は今月中、できれば2週間以内で頼むわね」
話している間にクッキーが焼け、ユリはオーブンから出しに行った。
「うわ!模様つき!」
「美味しそうにゃ!」
「食べてみて良いわよ」
荒熱をとったクッキーを食べてみた。
「美味しー!」
「ホットケーキの味にゃ!」
「ホットケーキってなんですか?」
「あれ? ホットケーキって、作ったことなかったかしら?」
「私は、無、い、と思います!」
リラが、食べたい!と暗に主張していたので、作ろうと思った。
「簡単だから今作るわ」




