丹頂
休憩を終え、再びクレーンシューを作り始める。
「何しますか?」
「ボディーを、スワンと同じようにカットします」
「上、1/3くらいですね」
「首はどうするにゃ?」
「この絵のように、下側と、上側にホワイトコーティングチョコをつけ、頭頂部に、イチゴの粉をつけます」
ユリの下手すぎる絵に、全員が理解不能といった顔をした。みんなの反応で、伝わっていないことに気がついたユリは、図鑑を持ってきて、リラに説明した。
「この鳥が、丹頂鶴ね。ほら、頭が赤くて、首は黒くて、頭の辺りと首の付け根に白い部分があるでしょ?」
「はい。良くわかりました!」
「リラちゃんが図解してくれる?」
「はい!」
リラは、白い紙に、赤、黒、水色を使って、分かりやすく図解を書いてくれた。背景が水色で、白い部分は、紙の色だった。
「こんな感じで良いですか?」
「完璧ね!」
リラの描いた絵をもとに、ホワイトコーティングチョコの付け方と、イチゴの粉の付け方を実践で説明することにした。
まずは、ホワイトコーティングチョコを溶かした。
首部分を持ってリラが呟いた。
「このままでは黒いですね」
「そうなのよ! なので、赤い粉砂糖を作りまーす」
「赤い粉砂糖にゃ?」
「まずは、フリーズドライイチゴか、乾燥ビーツを用意します。粉末にして、粉糖と混ぜます」
粉糖に、粉末にしたフリーズドライイチゴを混ぜた。混ざってしまうと、粉糖の白にイチゴの色が飲まれ、うっすら赤い粉になった。
「あまり赤くないですね?」
「ここに、水、もしくはレモン果汁を少々加えます」
ユリは、粉糖の入ったビニール袋にレモン果汁を混ぜた。
「うわ!赤くなってきた! 」
水分を含んだところから真っ赤になっていく。
「これを揉み揉みして均一化します。
このままかためると、ラムネなようなものができますが、裏ごし網で細かくします」
およそ混ざってから、網を通して、サラサラの状態にし、赤い粉糖が出来た。
「赤い粉は、一旦置いておきます」
粉の次は、首部分を手にし、説明をはじめた。
「S字の下部分にホワイトチョコをつけ乾かします」
さっとつけ、クッキングシートの上に並べていく。説明だけなので、10個程度だ。
「乾かす間に、桃を切ります」
缶詰の桃を細かく刻んだ。
「S字の上部分にホワイトチョコをつけ白くします。頭頂部だけに、先程の赤い粉をつけます」
下部分のホワイトコーティングチョコが乾いたものに、上側の赤い飾りの付け方を実践して見せた。
「本物に似てるにゃ!」
「生クリーム200ml泡立てます」
「はい、泡立てます」
リラが手動で泡立ててくれるらしい。
「シェルで絞ったシューの上側を切り取ります。
切った蓋部分を縦半分に切ります」
みんな知っていると思い、簡単な説明にとどめ、ユリがカットしていった。
「首をつけない本体に、クリームを絞り、羽をつけたら粉糖をふるいます」
カスタードクリームをしぼり、桃を少しのせ、リラが泡立ててくれた生クリームをしぼり、翼をのせ、粉糖を振るうところまで作った。
「尻尾側にブラックココアをふるいます。本体に紙をあて、ブラックココアが余計にかからないようにします」
尻尾だけにブラックココアがかかるようにした。
「先に作っておいた首を本体に差し込み、完成です!」
クレーンシューが完成した。
「自分の分を作ってみてください」
面白がって、みんなが作り、ユリはいない人の分も仕上げた。
「すごいにゃ!鶴になったにゃ!」
「リラちゃん、新年の挨拶と、丹頂鶴の絵を描いてくれる?」
ユリはマジックペンと模造紙と図鑑を手渡した。
「この大きな紙いっぱいに書くんですか?」
「お店に貼るから、貼れる程度の大きさに切って良いわ。お願いしまーす」
リラは要らない紙を持ってきて、模造紙の下に敷き、マジックペンでサラサラと簡単に挨拶と、丹頂鶴を描いた。
その紙を店内に貼りだし、クレーンシュー作りは終了した。
「出来上がったクレーンシューは食べちゃって良いわよ」
ユリは、5つを帰るリラに持たせた。




