和装
「ただいまー」
「おかえりー」
「ホシミ様、おかえりなさいませ」
「お、リラ、手伝ってるの?」
「見学のついでに少しだけです」
どの辺が「少し」だったのか、小一時間問い詰めたいところだけど、ありがたく思うべきよね。とユリは思い直した。
「ソウ、ご飯は?」
「まだ食べてない。なんかある?」
「今から作るから、ソウの分も用意するわね」
「ありがとう」
ユメがそばに来た。
「ユリ、なんか手伝うにゃ?」
「人数分のどんぶり用意してくれる?」
「わかったにゃ!」
キボウがそばに来た。
「ユリー、キボー、てつだう?」
「人数分のスプーンか箸用意してくれる?」
「わかったー!」
ソウも来た。
「ユリ、俺も何か手伝えることある?」
「ユメちゃんと一緒に、ご飯よそってもらえる?」
「了解!」
極薄切りの牛肉と玉ねぎを使って、牛丼を作った。牛肉は向こうで買ってきたものだ。
「ユリ様ー、カスタードクリーム終わりました! 何か手伝えること有りますか?」
「うふふふふ。有るわ! おとなしく座って待っていてちょうだい」
「え?」
「頼んだわよ!」
やられた! という顔をしたリラが、聞かずに手伝えばよかったと、ぼやいていた。
牛丼を並べ、簡単な漬け物と、味噌汁を出した。
全員が席につき、いただきますと言って食べはじめた。
「うわー! 見たことの無い料理だ!」
「牛丼よ。薄切りの牛肉と玉ねぎをタレでさっと煮たのよ」
「うわ! 食べやすいですね!」
「好みで、チーズや、とろろや、辛いものなどをかけて食べても良いのよ」
ソウは七味唐辛子を持ってきてかけていた。
「学生の頃、良く食べたな」
「おにくー!おにくー!」
「初めて食べたにゃ!」
そうなの!?
ユリは、ユメまで食べたことがないとは思わなかったのだ。
「おかわり食べたい人は、あるわよ」
軽い一人前程度をよそってあったので、ユリ以外がおかわりをした。
「ユリ様! これは教えていただけるのですか?」
「教えるのは構わないんだけど、薄切り肉を作るのが大変じゃないかしら?」
「あーーーーー。(商売的には)無理です」
「家内で食べる分くらいなら、凍らせてから切ればなんとかなるわよ」
「頑張ってみます」
ユリは残りを丼に仕立ててから魔道具の鞄にしまった。
「さあ、午後は、しっかり休んだあと、クレーンシューの見本を仕上げるわよ!」
「わー! 是非見せてください!」
「なら、しっかり休んでね」
「しっかり休むにゃー!」
「やすむー、やすむー」
「俺も、午後は手伝うよ」
全員休憩に入ったあと、ホワイトコーティングチョコと、粉糖、ブラックココア、フリーズドライイチゴを用意して、休憩に入った。
部屋に入って少しすると、ソウが来た。
「ユリ、ちょっと良い?」
「どうぞー」
「城に行ってきたんだけど、結婚式って、衣装替えするものなの?」
「向こうはそうだと思うけど、こちらは知らないわ」
「メイプルの結婚式の時は、そんなの無かったんだけど、民族衣装でも良いし、ドレスが2回でも良いって、ユリの希望を聞いてきてくれって」
「メイプルさんの時無かったものを、何故するの?」
「メインが、王子か、女王かの違いだって言われた」
「私がドレス2回とか今更言って、対応できるの?」
「それは、対応できるみたいだよ」
「私が和装を希望したら、ソウはどうするの?」
「白ベースの紋付き袴を用意するよ」
「それこそ、今更間に合うの?」
「実は、持ってる」
「えー! なんでお正月に着なかったの?」
「・・・派手だから」
ユリは想像した。
「ふうーん。・・・和装で!」
「わ、わかった。王妃に言っておく」




