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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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挨拶

みんなで朝ご飯を食べ終わった頃、訪問者があった。


「誰か来た。マーレイかな?」

「見てくるにゃー!」

「キボーも!キボーも!」


ユリは北側の窓から下を覗いてみた。すると、普段と違った服装のマーレイとイリスが見えた。普段より豪華な感じの服を着ているように見える。


ユリも階段を降り、外へ顔を出した。後ろからソウもついてきた。


「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します」


そう言ったマーレイとイリスから何か渡された。


「明けましておめでとう。えっと? ごめんなさい。作法が分からないわ。教えて下さい」

「ユリ、ごめん! 言うの忘れてた。4日には、挨拶がくるんだよ。向こうで言う、お年玉を渡さないといけない」

「え! 何を渡せば良いの?」

「商家なら商品、貴族なら領地経営していれば特産品、していなければ手作りの物とか」

「うちは? お菓子で良いの?」

「マーレイ、何がほしい?」

「選んで良いのですか?」

「選んでくれた方がユリは助かると思う」

「はい。助かります」

「では、ジンジャエールをいただきたいです」

「ポテロンのようなお菓子をいただきたいです」

「ジンジャエールは、了解。ポテロンは在庫がないからすぐ出せるのは、ティラミスか、イチゴムースか、ヨーグルトゼリーかな」

「イチゴムースが良いです!」


ユリは、イチゴムースと、すぐ飲むジンジャエールと、強炭酸とジンジャエールの素を渡した。


「ありがとうございます」「ありがとうございます」


マーレイとイリスは、すぐに帰っていった。


「もしかして、他にもたくさん来るってこと?」

「分かりやすく言うとお年玉だからな」

「簡単に言って、誰まで来るの?」

「予想がつかないな。王宮のメンバーは来ないと思うけど、来ないとも言い切れないと言うか、なんと言うか」

「ご近所さんも来たりする?」

「子供は来るかも。いや、うちの場合大人もか?」

「時送ってない世界樹様のクッキー、黒猫クッキー、普通のパウンドケーキとかで良い?」

「ベストだと思う」

「ちょっと作るわ」

「ユリ、本当にごめん。すっかり失念してた」

「そんなに謝らなくて良いわよ。あれ?もしかして、これからリラちゃんも来る感じ?」

「おそらく」


リラが来たら、手伝う!と言って大変そうだとユリは思った。


「さっさと作ってしまいましょー!」

「手伝うにゃー」

「キボーも!キボーも!」

「俺も手伝うよ」

「みんな、ありがとう!」


普通のパウンドケーキを作りながらソウに聞いたところによると、今日は、お世話になった自分より上の人を、回れるだけ回る日らしい。

マーレイとイリスが来たのに、リラがすぐ来ないのは、パープル侯爵の所に先に行っているのかもしれないとのことだった。


パウンドケーキが作り終わった頃、レギュムとクララが来た。


「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します」


そう言った、レギュムとクララからも何か渡された。


「マーレイさんとイリスさんには、欲しいものを聞いたのよ。レギュムさんとクララさんもリクエストしてもらえる?」

「よろしいのですか?」

「その方が助かるわ」

「では、何か焼き菓子ではないお菓子があれはいただきたいです」

「すぐ出せるのは、ティラミスか、イチゴムースか、ヨーグルトゼリーだわ。あとは、生チョコね」

「生チョコをお願いします」

「私はティラミスが良いです」

「はい。どうぞ」

「ありがとうございます」「ありがとうございます」


レギュムとクララも、すぐに帰っていった。


「時送ってない世界樹様のクッキー作るわー!」


ほとんど同時進行で黒猫クッキーも仕込んだ。

キボウに、今日はスタンプを押さないと説明すると、残念そうだった。


時送りしていない世界樹様のクッキーを作り終わる頃、グランが来た。


グランは時送りした世界樹様のクッキーがほしいと言うので、渡した。やはりすぐ帰っていった。


ユメの鞄のご飯を昼食にし、少し休んだ(のち)、黒猫クッキーを作り始めた。


午後一番に来たのは、なんと、パープル夫妻だった。

屋敷に居なくて良いのだろうか?


やはり手紙のようなものを渡された。

他の人に貰った物も開いてみたが、独特な模様が書いてあるだけで、文書ではなかった。

少し心配なユリは聞いてみた。


「これって、王族も来るんですか?」

「基本的には、領内もしくは移動できる範囲だけでございます。そうしなければ、すべての貴族が王宮に挨拶にうかがいますので、誰一人領地に残ることができなくなります」

「成る程! では、いっぱいは来ないんですね」


良かったー。とほっとするユリに、少し考えたパープル侯爵が言った。


「あと、大物で来るとすれば、レッド公爵家(娘夫妻)かと」

「あー。来ますよね。確実に。うふふふふ」


パープル侯爵と、ローズマリーには、女神の慈愛パウンドケーキを1本ずつ渡した。

ちなみに、パープル侯爵邸には、息子のトリヤとスノードロップがいるので、問題ないらしい。


ユリが認識できる人には欲しいものを聞いたりしたが、良く来る常連さんには、一律、今日作った3つから選んで貰った。


「ユリ、少し出掛けてくるにゃ」

「どこに行くの?」

「城に顔出してくるにゃ」

「わかったわ」


夕方、ユメは出掛けていった。


馬車の音がして、誰か来たなと思った。

そもそもこういう日に、馬車でまで来るような人は少ない。


「ユリ様ーー!」


ユリが戸を開けると飛び付かれた。

ラベンダーだった。なんと後ろにリラもいる。


「どうして一緒なの?」

「はい。おじいちゃんに挨拶に来て、プチフールに帰る元番頭さんに乗せていただいてレッド領に伺い、ラベンダー様をお訪ねし、領主様(パープル侯爵)のお屋敷まで行かれるラベンダー様に送っていただくのが毎年の流れになってまして」

「ユリ様、こちらを」


やはり紙を渡された。

ラベンダーには、女神の慈愛パウンドケーキを渡し、リラからは、マシュマロがほしいと言われた。


「申し訳ないんだけど、この紙って受け取ったあと、どうしたら良いの?」

「ユリ様は今年が初めてございますね。何かと取り替えたあとの紙は、商店なら店に貼り出したり、貴族なら、門の前に貼り出したり、枚数を誇ります」

「へぇ。いつ貼り出すの?」

「お店再開の日でも、仕事始めでも来客の目に留まる日なら大丈夫でございます」

「私がお手伝いします!」


リラが手伝ってくれるらしいので、紙の件は任せることにした。


「リラちゃん、あなたはお店にいなくて良かったの?」

「おじいちゃんたちか、お兄ちゃんが居るはずなので大丈夫です!」

「成る程、それでみんなバラバラに来るのね」


すぐに帰るのが習わしらしく、ラベンダーもリラも、ユリの質問に答えるとすぐに帰っていった。


出掛けていたユメも戻ってきて食事の時間になり、やっと落ち着いた。

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