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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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立体

総勢で行ったため、メイプル夫妻を呼び出したのに、メイプル夫妻の他、国王、王妃、王女ら大人全員が来た。


こちらは、ユリ、ソウ、ユメ、キボウの順に並び座っている。

向かいの相手は話す都合上、メイプル、アネモネ、国王(パウローニア)王妃(ハイドランジア)王女(サンダーソニア)の順だ。


めんどくさそうに、メイプル以外を無視して話すソウに、ユリが慌てた。


「ソウ? 皆さんには説明しないの?」

「え? 聞かないと不味いのは、メイプル夫妻だけだしと思って」


「シッスルー、シッスルー」


キボウが養育係りを呼んでいた。

そばに控えていたのか、養育係りのシッスルは、すぐに連れてこられた。


キボウがなにか必死に訴えかけると、すぐに理解し、解説してくれた。


「キボウ様がお持ちになった物に、魔鉱石を乗せてお使いになると、皆様でご覧になれるようでございます」

「シッスルー、ありがとにゃ」


どうやらユメが手配したらしい。


魔鉱石を持ってきてもらい、ユリが充填した。それをキボウに渡すと、誰もいない広い(ゆか)に葉っぱを置き、文字の上に魔鉱石を置き、キボウは離れた。


先程見た映像が、現実より少し小さめの立体映像になって現れた。


「うわー!」「おー!」「凄いにゃ!」


王族は、全員絶句していた。

映像が始まり、まずキッチンが映り、リスが出てきた辺りで、王族がざわざわしだした。


「ユリ様?」

「お(ぐし)の色が?」

「もしや、リス様!?」


「とりあえず最後まで見てくれ!」


ソウが言うと、全員おとなしくなり、食い入るように見ていた。


でもやはり、木の実から料理が出てきたところで大騒ぎになり、木の実を埋めたところで絶句していた。


映像が終わり、興奮(こうふん)冷めやらぬ状態で、質問が山盛りだった。


「俺に聞くなー。俺もさっき初めて見て、今ここに来てるから、質問はキボウにしてくれ」


キボウに質問することを躊躇しているようなので、ユリが話すことにした。


「料理を教えるよりも、色々な料理を持って行った方が良いと思うんです。魔道具の鞄に詰めて置けば、時間が経ちませんし、好きな食べ物を用意していった方が良いと思うんです。教わるべきは、せいぜいお茶をいれる方法とか、切り分ける方法とか、そういったものじゃないかと思います」


「な、なるほど、給仕を習うのが必要なのですね」


メイプルが理解したのか、ユリに同意していた。

切り方は兎も角、ユリでは上級の給仕は教えられないので、お付きの侍女にでも教わってもらおうと思う。


「ということで、私に依頼したい料理やお菓子を考えてください。多くは、食べ慣れたものが良いと思うので、いつも食事を作る人に頼んだ方が良いかと思われます。パウンドケーキは持ってきます」

「ユリ様、ありがとうございます。今、刺繍以外の簡単な裁縫を習っておりまして、メイプル様は、剣や歴史の復習をされていらっしゃいます。他に必要な技術等、思い付くことがおありでしたら、ご教授願えますでしょうか?」

「掃除とか洗濯は出来そうですか?」

「王宮の者ほどはできかねますが、下の者を知るということで、嫁ぐ前の若かりし頃に一通り体験したことがございます」


メイプルもアネモネも、色々習得したり復習したり頑張っているようだった。


「プラタナスが遊ぶための物も持って行った方が良いぞ?」

「成る程、左様でございますね」


ソウの助言に、アネモネが感心していた。

ユメがソウに何か言っていた。


「紙と画材は、俺から餞別を渡すよ」

「ソウ、かたじけない」


キボウが騒いで、ユメがキボウに何か言っておとなしくさせていた。


「何か私が用意するものを思い付いたらお知らせください」

「ハナノ様、ありがとうございます」


方向性が決まり、家に帰ってきた。


「良い時間だから、タコ焼き食べるか!」

「食べるにゃー!」

「たべるー、たべるー」

「飲み物でも用意するわ」


最初はすべてタコで作ったタコ焼きも、2度目はみんな好きなものをいれて、焼くのはソウだった。

キボウもタコのままのタコ焼きを食べていた。

美味しそうに食べている人がいれば、食べることにしたらしい。


キボウがニコニコしながらジャムの瓶を持ってきた。

責任持って食べるなら何入れても良いとは言ったけど、ジャムは合わないと思うわよ?とユリが止めた。キボウとしては、餃子の皮で出来たから、タコ焼きでも出来ると思ったらしい。


「それなら、こうしましょう」


ユリはソウに断って、ホットケーキの生地を作ってきた。


「これなら、ソーセージでもハムでもジャムでもチョコでも合うと思うわ」


型の油を良く拭き取り、バターを溶かして、ホットケーキの生地を入れ、好きな具を入れ、同じように丸く焼いた。

タコ焼きよりしっかりしているので、焼けたものを竹串に刺すと、キボウが喜んで受け取った。


もう一度タコ焼きに戻り、生地を流し入れると、ユメが作りたいと言い出した。


「私でも作れるにゃ?」

「少し慣れれば丸く出来るようになるぞ」


ソウが場所を代わり、ユメがタコ焼き器の前に座り、頑張ってひっくり返していた。


「丸くならないにゃ」


少しつぶれた形で、真ん丸にならないことが残念らしく、とても悔しがっていた。

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