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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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酢蛸

「ユリ、夕飯って決まってる?」

「まだよ。何にしようかしら。食べたいものある?」

「なら、俺がたこ焼き作るよ。キボウの分は、チーズとか餅とか、何かキボウが入れたい物入れれば良いし」

「何用意すれば良いの?」

「ユリが特別に食べたいものがなければ、ユリはたまには休んだら良いと思うよ!」

「手伝うにゃ!」

「てつだうー、てつだうー」

「あ、り、がとう。では、お言葉に甘えて、少し休みます」


ソウは、すぐに買い物に行ったらしい。

急に与えられたお休みに少し戸惑いながらも、見ていたら手を出したくなるので、部屋にいることにした。


少し読書をしたあと、昼ご飯を作ろうと部屋を出ると、ピザトーストが、あとは焼くだけに用意されていた。


「お昼ご飯は、ユメスペシャルにゃ!」

「あら? ソウは?」

「ソウにゃ、蛸 買ってきたのにゃ。でも違ったらしいのにゃ。また買いに行ったにゃ」

「どういうこと?」

「酢ダコだって言ってたにゃ」

「お正月だからかしら?」


中身を確認せず買ってきたのだろうか。

そうすると、酢ダコは余っているのかもしれない。

冷蔵庫を見ると、少し切った酢ダコがボールに入っていた。


「ただいま!」

「お帰りなさい」

「蛸くれるっていうの貰ったら、全部酢ダコでさぁ。マダコ買いに行ってきたよ」

「そういう事だったのね」


いつもの元上司から、去年のうちに貰っていたらしい。

ソウはてっきりマダコだと思い込んでいたら、酢漬けの水ダコで、切ってから、アレッ?と気がついたそうだ。


「その酢ダコはどうするの? そのまま食べる? 加工する?」

「そのまま食べる以外の食べ方あるの?」

「刻んで酢飯に混ぜてチラシ寿司やお稲荷さんに使ったり、甘めの味付けで唐揚げにしたり出来るわよ?」

「明日作るから教えてくれ!」

「わかったわ」



ソウが簡単なスープを作り、ユメが焼いてくれるピザトーストをみんなで食べた。


ふと見ると、キボウが同じものを食べている。


「キボウ君、今、ベーコン食べていなかった?」

「忘れてたにゃ!」

「おいしかったー」

「え?」「にゃ!?」「食えんの?」

「おいしかったー!」


「キボウ君、食べられないものは何?」

「わかんなーい」

「食べたらダメなものはある?」

「わかんなーい」

「食べたくないものある?」

「おにくー!」


「ユメちゃんが作ったピザトーストに、ベーコンが入っていたけれど、ベーコンは食べられるの?」

「べーこんどれ?」

「ベーコンはこれにゃ」


ユメが切る前のスライスベーコンを持ってきた。


「べーこん?」

「ベーコンは豚肉で作るのよ」

「べーこん、おいしかったー!」

「ええー!」「にゃー!」「まじか!」


ユリは、一つの結論に至った。


「キボウ君、もしかして、お肉やお魚を食べたことがないけど、美味しければ食べるの?」

「あたりー!」


お好み焼きに、鰹節をかけているのを見たときに、薄々そうかもしれないとは思っていたのだが、やっぱりだった。


ユリは、力が抜けるのを感じた。

もう、すき焼きも焼き肉もバーベキューも鍋物も、全部作ることにしましょ!


確かに、キボウは何かを食べられないとは一度も言っていない。刺身を要らないとは言ったが、生魚を初見で食べられる人はそれほど多くないのだ。ベジタリアンだと、みんなが勝手に誤解しただけである。


そもそも、リラが作ったトマトの料理を食べたとき、その料理が野菜オンリーだったかなんて、料理をしない人は見分けたりできないのだ。単に、トマトが好きなキボウは、知っている素材の料理を食べたいと言っただけで、肉が入っていないことを見抜いたわけではなかったのだ。そして、肉はキボウの食わず嫌いである。


ユリは部屋に戻り、メイプルたちに教えるメニューをもう一度見直した。

植物と、牛乳モドキと卵モドキがあるらしいが、肉は無いのではないかと考えている。

大人だけなら兎も角、プラタナス君は成長期だろうから、良質なタンパク質は必要だろうと思う。


最初の荷物には大豆ミートを持たせよう。

魔道具の鞄もあるらしいから、中に冬箱と真冬箱も入れて冷蔵庫として生肉も持っていったら良いかな?

時間は停止しているのだから、ブロックより、薄切りやミンチにして持たせるべきかしら?


世界樹の森に捕まりたくはないけれど、前世の私が作ったと言う家は見てみたいわね・・・。

台所のレベルとか、揃えられる食材は知りたいわね。


ユリは、キボウを探し、聞いてみることにした。

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