表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

345/690

鰹節

「ねぇキボウ君、メイプルさんたちは、どんなものを食べたら良いの?」

「わかんなーい」

「聞き方を変えるわね。世界樹の森でお肉を食べても良いの?」

「おにくなーい。きのみー!」

「卵と牛乳は良いのよね?」

「あたりー!」

「今、キボウ君が食べているような食事にすれば良いの?」

「あたりー!」


「ソウ、大豆ミートと七輪(しちりん)用意できる?」

「大豆ミートは、どのくらい要るんだ?」

「一度に持ち込むのが無理なら、毎月届けたら良いと思うのよ」


「おかあさま、つくるー。ほんあるー」

「ん? 私の前世らしいリスさんが書いたレシピがあるの?」

「あたりー!」

「材料を持ち込まなくても何かあって、レシピもあって、調理する場所もあるのね?」

「あるよー」

「嗜好品だけ持ち込めば良いのよね?」

「パウンドケーキー!」


教えるのは、大豆ミートの加工のしかただけかしら?


「油を使って揚げ物作れそう?」

「おかあさま、つくったー!」

「揚げ物作っていたことがあったの?」

「あたりー!」

「卵と牛乳は、持っていくのよね?」

「あるよー」

「えーと。リスさんが生きていたのって、300年以上前よね?」

「たまごのきー! ぎゅうにゅうのきー!」

「卵と牛乳は木に生るの!?」

「あたりー!」


ユリは、どうしようと焦った。


「えーと、キボウ君、私が今作っているお菓子の卵や牛乳は、鶏が産んだ卵と、牛から搾った牛乳なんだけど、食べて大丈夫だった?」

「だいじょーぶー」

「もしかして、魚の出汁も使って平気?」

「いーよー!」

「お肉とお魚を食べないだけで、お肉の皮や骨から抽出した成分は? ゼラチンっていう、お菓子を固める成分なんだけど」

「だいじょーぶー」


ユリは心の中で崩れ落ちた。必死の苦労はなんだったんだろう。


「キボウ君が食べられるものは、持ち込んで食べても大丈夫よね?」

「あたりー!」

「パンとかは有るの?」

「パンのきー!」

「それって、クワ科パンノキ属のパンノキではなく、パンが生る木って意味よね?」

「わかんなーい」


とりあえず、食材の調達はどうにかなるようだ。

地形の都合で魚を食べないらしい民族なので、肉だけなんとかすれば大丈夫そうである。

指導の方向性が見えて、ユリは安堵した。



「疲れたにゃ」


ユメが部屋から出てきた。


「お疲れ様ー」

「ユメ、何かできたか?」

「全然形にならないにゃ。ユリ、縫い方教えてにゃ」

「はーい。明日にする?」

「お願いするにゃ」


ソウに頼んで持ってきて貰ったホットプレートをセットした。


「お好み焼きを作ります。自分で焼いてみたい人ー!」

「焼きたいにゃ!」

「キボー、やくー、キボー、やくー、」

「焼いてもらいたい人ー」

「俺の分は頼む」


ユメとキボウに、生地を小分けしたボールと返しベラを渡し、ソウには、もんじゃベラを渡した。


「混ぜちゃうタイプを作るなら、ここで生地を混ぜます。生地とキャベツを別々にするなら、混ぜずに生地から焼きます」

「両方作ってみたいにゃ」

「なら、先に生地を半分使って、二回作ればいかが?」

「そうするにゃ!」


ユリは、刻みキャベツ、豚バラ薄切り肉、烏賊(いか)、餅、チーズ、茹でジャガイモ、キムチ、生卵、揚げ玉(天かす)、明太子などを並べた。


「中に入れたいものを決めてね」

「キボーは? キボーは?」

「キボウ君は、餅、チーズ、ポテトがおすすめよ。辛いの平気なら、キムチもあるわよ」

「俺ー、豚玉ー!」

「ソウのは(なん)にゃ?」

「豚ばら肉と玉子が入ったタイプね」

「ユリのは(なに)作るにゃ?」

「私は、烏賊(いか)と玉子と豚肉を入れるわ」

「俺も烏賊入れるー!」


「ユメちゃんは、生地の4割り程度を鉄板に流します。丸く広げて、上にキャベツと、乗せたい具をのせていきます。具の上から1割りの生地をかけてほどよく焼けたら、ヘラ2枚を使ってひっくり返します」


キボウはユメを真似て半分作っていた。

ユリは、自分の分の予定で、すでに一枚分をフライパンで焼いている。


「ユメ、もうひっくり返せるぞ」

「キボーは? キボーは?」

「キボウのももう良いぞ」


小さく作っていたので、二人ともひっくり返せたようだ。


「ソウ、できたわよ」

「早いな。ありがとう」

「ユメちゃん、焼けたらお皿にとって、ソースとマヨネーズと鰹節と青のりを好きなだけ使って、食べてください」

「キボーは? キボーは?」

「鰹節はお魚だけど、どうする? ソースとマヨネーズと青のりは大丈夫よ」


キボウは、鰹節を少しだけかけていた。


「美味しいにゃ!」

「ユメの美味しそうだな。初めて作ったんだろ? 上手だったな」

「ユメちゃん、本当、きれいにできているわね。残りはキャベツを混ぜて、焼いておいたら良いわよ。キボウ君も頑張ったわね」

「キボー、がんばったー!」


ユメとキボウは、具を混ぜて残りを焼きながら、今焼いた分を食べ始めた。自分で作ったお好み焼きはとても美味しいらしく、二人ともニコニコしながら食べていた。


ユリは自分の分をフライパンで焼きながら、飲み物を用意していた。

ソウが食べながらホットプレートを見てくれるので、ユリは自分の分に集中して作ることができた。


ユリの分が焼き上がる頃にはソウは食べ終わり、おかわり分を自分で焼いていた。明太餅チーズらしい。


ユメとキボウは、半分だけおかわりすると言い、ソウの真似をして、ユメは明太餅チーズを、キボウは、キムチ餅チーズを作っていた。


食べ終わると、食べすぎたー!と、ソウとユメとキボウが言っていた。

ユリはデザートに、ドラゴンフルーツとパイナップルを切り、みんなに提供した。



食事のあとは、簡単な料理や、夏板だけで作ることが出来る料理をまとめたノートを作った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ