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アルストロメリアのお菓子屋さん (本文完結済) ~ お菓子を作って、お菓子作りを教えて、楽しい異世界生活 ~  作者: 葉山麻代
6章

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桜花

屋根の上でおせち料理を食べたあと、リラを帰し、家に戻ってお雑煮を食べた。


普通の餅を雑煮にいれ、ヨモギ餅はきな粉を添え、桜花(おうか)餅は焼いて海苔を巻いた。


「桜の塩味(しおあじ)がなんだか美味しいにゃ!」

「俺も初めて食べたけど、旨いな」

「家内で食べるだけで、お店で出さなかったからね」

「おはなー?」

「そうよ。桜の花よ」

「こんなに旨いのに、なんで店で出さなかったの?」

「桜の塩抜きがいつも勘だから、毎度味が違うのよ。つまり商品としては出せなかったの」

「凄い理由だった」

「にゃはは。誰が作ってたのにゃ?」

「母よ」

「ユリが作っても味が変わるの?」

「母ほど酷くはないと思うけど、やっぱり難しいわね」


ほとんどの料理は料理人の父が作っていたが、なぜかこの桜花餅だけは、母が作っていた。

両親の店は、父が作り、母が配膳していたのだ。


「さて、お腹もいっぱいになったから、少し寝るか、散歩に行くか、みんなでゲームするかしましょうか?」

「ユリ、手芸の本がいっぱいあったけど、折り紙やフェルトもあるのにゃ?」

「折り紙もフェルトも布もたくさん有るわよ?使うなら出すけど、何か作るの?」

「何か作ってみたいのにゃ。作ったことがないのにゃ」

「一緒に作る? 内緒で作る?」

「最初は内緒で練習したいにゃ」

「わかったわ。作業部屋を使うと良いわよ。なんでも揃うから」

「ありがとにゃ!」


ユリは一緒に行って、ユメに物の場所を説明した。ユメは何か作りたいらしい。

主に、針と糸と布の場所を聞かれた。


ユリは折り紙を持ち出して、キボウに折ってみせた。

キボウは面白がってよくわからないものをたくさん折っていた。

又、世界樹様に持っていくのだろうか?


「ユリ、グンジョー見てこないか? 正月っぽいものがあるかもしれないし」

「キボウ君どうする?」

「おりがみー!」

「折り紙してるの?」

「あたりー!」


ユリは作業部屋の前まで行き、ユメに声をかけた。


「ユメちゃん、ソウが、グンジョー見に行くって言うけど、どうする?」

「二人で行ってきてにゃー。ご飯は鞄に有るから大丈夫にゃー」

「わかったわ。ちょっと見てくるわね」


リビングに戻り、キボウに、キボウが食べられるものを説明した。


「ソウ、二人で出掛けましょう」

「一年ぶりくらいな気がする」

「そうかもしれないわね」


和装の訪問着に着替え、ソウの部屋からグンジョーまで転移した。


まったく人が歩いていない。

行ったことの有る場所は、人っ子一人いなくて、地域全体が休日といった感じだった。

ユリもソウも、子供が凧揚げでもしてるかもしれないと思い、期待していたのだが、子供どころか、誰も居なかった。


「どこ行っちゃったのかしらね?」

「初詣的な何か有るのかもしれないな」

「そうね。うろうろしても不審者だから、帰りましょうか?」

「そうだな。・・・ユリ、結婚式、本当に任せて良いのか?」

「良いわよ。大事なのは、式じゃないからね」

「そうか。二週間後の1月15日で大丈夫か?」

「衣装合わせとかするの?」

「そういえば、聞いてないな。顔出して聞いてくるか?」

「そうね。ちょっと行きましょうか」


二人で城のソウの部屋に転移した。

人を呼び、式の衣装の事がわかる人を呼んでくれるように頼んだ。


来るかと思ったけど、やっぱり第一王子のメイプルが来た。

すぐ後ろに王子妃のアネモネもいて、ユリが来たのは、レッスンのためかと勘違いしたらしい。

ユリが民族衣装を着ているのを見て、正月の挨拶だったのかと気がついたようだ。


「せっかくですし、前回教えなかった呪文を教えておきましょうか」


ユリは、前回省いた生活魔法の、乾燥、保湿、冷却、加熱を教えた。


「冷却は、ウカヤキエル。冷却や加熱は、魔力の()めかたで温度が変わるので、桶に張った水などで練習してから他のもので試すようにしてください」

「ユリ様、保湿と乾燥の練習に適したものはございますか?」

「保湿や乾燥は、薄い紙や濡らした布などが良いかと思われます」

「ありがとうございます」

「保湿や乾燥は、あまり使いどころがわかりませんが、 冷却や加熱は、魔道具の方が有能です」


魔法教室をしていると、王妃のハイドランジアが来た。

どうやら、ユリの衣装担当は王妃らしい。


ユリが着ている民族衣装を誉めたあと、デザイン画のようなものを見せてくれた。サイズは、戴冠式の聖女の衣装の時に計ったままで作っているらしい。


サイズ合わせが必要かと思って来ただけで、注文や要望はないと言うと、驚かれた。


「ユリ様、お(ぐし)の飾りは、どのようになっているのでしょうか?」


先日リラと作ったプラ板細工のネモフィラを飾ったかんざしをさしていた。

さっと引き抜き、ハイドランジアに渡した。


「これは、遊びで作ったものですが、元の国では、かんざしと言って、今着ている民族衣装の時の髪飾りです」

「ユリ様がお作りになられたのですか!?」

「ええ、まあ」


教えてもらいたい。と言わないだけで、物凄く教えてほしそうな目で、訴えかけられた。


「まあ、そのうちにでも。リラちゃんが覚えたら、お店で作るとか言ってましたので」

「リラちゃんは元気ですか?」

「はい。物凄く元気です。ハイドランジアさんがとても良くしてくれたと何度も言っていましたよ」


横でソウが苦笑していた。リラは元気である。


「ユリ、そろそろ戻るか?」

「そうね」


ユリがハイドランジアと話している間、ソウはメイプルと話していたようで、試してみた結果、ソウの鞄を使えるようになったらしい。王宮の宝物庫の中から魔道具の入れ物も発見したそうで、体重以上の荷物は、転移の出来る人が同伴することにはなるけど、問題なく出発出来るそうだ。


転移の出来る人と言うと、ユリ、ソウ、ユメ、キボウ、花梨花(かりんか)だろう。

あとは、希望する料理を教えるだけだが、場所は確保できたのだろうか?


ソウと二人、王宮から直接ソウの部屋まで転移で帰ってきた。


お雑煮を作ると、キボウは食べに来たけど、ユメは要らないと言って、部屋にこもったままだった。

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